なぜ聴覚障害者版サムハルをつくったほうがよいのか?

「なぜ聴覚障害者版サムハルをつくったほうがよいのか?」

それは、いろいろな答えがある。



〔関連記事〕

『「日本版サムハル」と「聴覚障害者版サムハル」』
〔2014-05-09 18:30〕




財団法人全日本ろうあ連盟出版局の『手話教室 入門』
(1999年3月15日初版発行)には、次の記述がある。

「身体障害者の雇用についての法律は1960年、
身体障害者雇用促進法の制度があります。
しかし、積極的に障害者を雇用する企業もあれば、
義務ではないので我関せずという企業もありました。

そこで1976年にはこの法律を義務付けます。
守らない所は納付金を納める事になったのです。

この為、多くの企業が特に新しく設備を作る必要の
ない聴覚障害者を積極的に雇用し始めます。
しかし、しばらくすると聴覚障害者雇用の難しさに
気付き始めます。」



これを読んで理解すべきだと思うことは、たくさんある。


①企業は聴覚障害者も含めた障害者雇用については、
消極的である。

②企業は、聴覚障害者の特性を理解しておらず、
したがって活用もできていない。

③企業には、聴覚障害者の訓練養成ができるノウハウ
が全くない。やる気もない。

④単に障害者雇用助成金が丸々と企業のものになるから
と言って、安易な雇い入れ、雇い止めを繰り返している。


では、もしも聴覚障害者が経営者として聴覚障害者版
サムハルを立ち上げ、自分たちで聴覚障害者を雇い、
国からの助成金も受けて活用し、サムハルのような
システムをマネして経営したら、どうなるだろうか。

そこで聴覚障害者を戦力になるまで育成し、
社会に次々と送り出していったらどうだろうか。
画期的なことではないか。

例えば、将来は独立することも可能なパティシエを
養成する聴覚障害者版サムハルをつくるとする。
助成金を受給できる期間は2年間と定められている。
重度聴覚障害者を雇い入れた場合、一人につき、
最大で240万円の雇用助成金が受給できる。
それを運転資金にして事業をしながら、聴覚障害者
パティシエを2年という期間限定で育てる。
その後は、自主退職してもらう。
そして、また新たな入門希望者を雇うことにする。

この繰り返しで、何人もの聴覚障害者パティシエを
育てて、社会に送り出していくことができるのでは
ないだろうか。

ただ、この方法は、多くの企業もやっているとはいえ、
道義的に良くないのでは、という見方もあるだろう。

しかし、それでも、この方法は聴覚障害者にも、
そして中小企業にも、大きなプラスになるはずだ。
中小企業は、聴覚障害者を雇いたくても、育てるだけ
の体力がないのが現状なので、そこを聴覚障害者版
サムハルでフォローすれば、即戦力になるまで育てた
卒業者を、雇ってくれるに違いない。

2年経ったら、新たな助成金の獲得のために、育てた
人を辞めさせなくてはならないが、それはスウェーデン
のサムハルだって同じだ。
やるほうには、そんなリスクがあるが

「それでもいいから、真剣に修行がしたい」

と思っている聴覚障害者には、朗報だろう。

しかし、外部の人はそうは思わない。
こうした事業はやはり、批判的に見られることは確実だ。

仮に、2年で聴覚障害者版サムハルを卒業させて、
その後は一般の洋菓子店や工場などへ再就職斡旋を
するなど、最後まで責任を持って面倒を見てやる。
としても、それが完全保証できるわけではないだろう。

そこで、やってみても結局、人が思うように集まらない、
回らない、という悪循環に陥ってしまう可能性が高い。
ろう者に限定するという点も、なおさら困難を極めた
経営になることは目に見えている。

そこで、何人かの優秀な人は聴覚障害者版サムハル
へ残して、利益を出す社員として継続雇用し、他は
研修社員というような形で原則2年間雇用する、
という方法が現実的だろう。

ただ、こうなってくると、手話通訳者兼社会保険労務士
の資格を持つ人がいたほうがいいかもしれない。


例えば、イスラム圏の外国人だって日本国内に、
自分たちのコミュニティー、ハラール・ショップなど
をつくって、自由にそこへ集まり、自分たちの商売に
必要な輸入食材を買ったり、仕事や生活に必要な情報
を得たりしている。
同じイスラム圏の同業者、異業者とのネットワーク
もつくって、徐々に広がりを見せている。

そういったコミュニティーを、ろう者でもやることは
できるはずだ。
ただ言語が違うだけのことなのだから、できるはずだ。

後は、日本の法律をうまく守ってやればいいだけの
ことである。
そのコミュニティーができてくれば、聴覚障害者版
サムハルを卒業したろう者の再就職問題も、
自然に解決していくのではないだろうか。
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by bunbun6610 | 2014-05-09 19:00 | 聴覚障害者版サムハル
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ある聴覚障害者から見た世界


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