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蒼穹 -そうきゅう-

聞こえなくてもわかる - ある日、バス停で

聞こえなくてもわかる - ある日、バス停で


バス停でバスが来るのを待っている時、
親子でやって来た人たちがいた。

お母さんはもう65歳以上かと思えた。
そして、その人の娘さんは、40歳ぐらいに見えた。

その子は表情がとても暗くて、まるっきり変わらず、
会話もしなかった。
お母さんは娘の障害のこともよくわかっていて、
ただ見守るような眼差しだった。
娘さんは重度の知的障害とか、自閉症の人に違いない、
と思った。
ここまでずっと付き添ってきたお母さんは、
これからもずっと娘さんの世話ができるわけではない。
そこが心配に思った。


私;「このバス、どこに行くのかな?」

お母さん;「●×▲★■・・・」
(え? ■◎◆○ですよ。)

私;「北海道へ行くのかな?」

お母さん;「●×▲★■・・・」
(え?! そうですね・・・。〔笑って〕)

私;「函館まで行くんじゃないかな?」

お母さん;「●×▲★■・・・」
(■◎◆○〔笑〕)

私;「函館で、イカ漁やってるよね。
着いたら、イカソーメン食べられるよ」

お母さん;「・・・」〔笑〕

私;「娘さん、障害者ですか?」

お母さん;「●×▲★■・・・」
(え? ええ、まあ。〔うなづく〕)

私;「僕も障害者です。聴覚の」

お母さん;「●×▲★■・・・」
(へえ。〔ちょっと微笑む〕)

私;「障害者って、意外と身近にいますよね」

お母さん;「●×▲★■・・・」
(そうですね・・・。)

私;「このバスは、障害者割引とか無料乗車券
とかは、ありますか?」

お母さん;「●×▲★■・・・」
(はい、〔「お金」の手話を表して〕「はんがく」
〔と口型を見せて言った〕)

私;「無料乗車券はなくて、半額ですか」


耳の聞こえない人相手だと、健聴者は戸惑ってしまい、
なかなか普通に会話することができないものだが、
このお母さんはやはり違った。
障害者とどのように接するべきかを、わかっていた。

このコミュニケーション場面では、あくまで私が
しゃべる側で、健聴者は受け身に徹している。
会話の主導権は私が持っていて、お母さんに
Y-N疑問文ばかりで話しかければ、これぐらいの
会話はできる、
というわけだ。

しかし、これが逆になると、私は話がさっぱり
わからなくなる。
よく、難聴者と話していて、難聴者が受け身に
なっていることがある。
たまに何か言っても

「ええ、そですね」

「へぇー」

「なるほど」

という返事しか返ってこない場合もある。
こんな時は、その難聴者は、それまでの話の内容を
理解できていない可能性もある。
そういうときは、聞こえていても、語音明瞭度がかなり
下がっていて、話の内容までは理解できていない
可能性もあると思う。

「今の話、わかった?」

と聞いても、うなづくだけだったり

「わかりました」

と言うだけだったりする。

ごまかして、難聴を隠す人は少なくないだろう。
話せるからといって、健聴者とは限らないのだ。

難聴者や中途失聴者特有のコミュニケーション術
に引っかかる健聴者も多い。
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by bunbun6610 | 2014-08-02 18:30 | コミュニケーション能力