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蒼穹 -そうきゅう-

『あの日の夢を今リングへ ―ヤミキ 63歳の挑戦―』

副題;『ヤミキさんの本音は?』


Eテレ『ろうを生きる 難聴を生きる』
2014年7月20日(日) [Eテレ] 午後7時30分~7時45分放送
『あの日の夢を今リングへ ―ヤミキ 63歳の挑戦―』




DEAF JAPAN PRO-WRESTLING HERO




ヤミキさんは、若い時に新日本プロレスリングに、練習生として入門。
練習に通うのはいいが、試合をすることは認めてもらえなかった。
なぜ試合はダメなのか、番組にも詳しい説明はない。


それで思い出したのは、昔、ろう者ボクサーがいたことだ。
ボクサーの場合も、プロテスト合格(認定)までは認めて
もらえたが、試合は禁止されていた、という。

プロボクシング協会の理由は

「試合中のゴングの音が聞こえないのでは、危ないから。
ボクサーの拳は凶器。
もし、(ラウンド終了の)ゴングが鳴っても(ろう者が)
パンチを打ち込んだら、相手選手はそのパンチを
モロに食らってしまい、非常に危険だから」

ということだった。


このろう者ボクサーは結局、どうしても日本国内での試合は
できなかったので、タイに行って、ようやくプロデビューした。
相手もタイの選手だ。


プロレスでも、そんな理由なのだろうか。


確かに、その説明は一応わかる。

しかし、プロレスの場合は、健聴者だって、
聞こえていても無視することはよくある。
特にヒール(悪役)は、レフェリーが止めに入っても、
危険行為をやめないものだ。
ベビーフェースだって、もう我慢できずカッとなれば、
レフェリーのいうことなんか聞かなくなる。
それは認められているというのに、ろう者の「聞こえない」
は認められないのはおかしくないだろうか?
それに、合図の方法は声だけではなく、手話で伝えたり、
選手の身体に触れる方法など、いろいろあると思う。
実際、プロレスの場合は、身体を張って制止するレフェリー
は多い。
(ジョー樋口やタイガー服部など)
ギブアップの取り方だって、選手の身体に直接触れて
確認するレフェリーもよくいる。
方法を変えてもできるはずだ。
だから、疑問が出てくる。


しかし、ヤミキさんはろう者のプロレス団体で2010年、
59歳の時にプロデビューしたそうだ。

やはり、その夢はあきらめられなかったらしい。
そして、現在63歳だが、まだ現役だという。


一度は諦めたときに、本当は会社員で自分の働き甲斐を
捜し求めてみたのではないだろうか。
でも、障害者雇用枠のなかでの就労では、そんな高い
レベルの仕事はみつからないし、どう頑張っても就けない
と思う。
そこでも、また多くの壁があったはずだ。

もし、障害が理由でプロレスを辞めても、どこかに新しい道が
見つかれば、そこで頑張れたはずだ。
プロレスに未練はなかったはず。
そういう道を、まだ誰もつくってはいない。

それがなかったから、若い時に追い求めていた夢に回帰して
いったのではないだろうか。
彼の原点が、そこにあるような気がする。

そうした社会の残酷さに、この映像を通して、私は気がつく。

テレビでは『あの日の夢を今リングへ』などと、美談テーマで
仕上げているが、本当は聴覚障害者差別という障壁を
浮き彫りにしたノンフィクションだ。

だから、ヤミキさんは、この壁を壊す挑戦を始めたのだろう。
プロレスの道を借りて。
勿論、プロレスも好きで戻ったに違いないが。

以上、私なりの解釈で書かせてもらったが。
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by bunbun6610 | 2014-07-26 08:57 | ろう者世界