手話がわからなくても、やってみよう

『手話がわからなくても、やってみよう
 - ろう者や外国人とのコミュニケーション力を磨く』


手話サークルの健聴者とか、難聴者がよく言うのが

「手話は、勉強しないとわからないし、
覚えられないから」

「手話を教えてくれる人がいない」

といったことだ。

かなり当たっていると思う。
日本語も外国語も、音声言語であるのに対し、手話は
視覚言語であるから、理解することに戸惑いやすい。

日本語だけを母語として、しかもほとんど、その言語しか
使わない日本人にとって、手話も外国語と同じようなもので、
第二言語として学ぶ必要がある。
しかし、だからといって、最初から最後まで教わらなければ
いけない、と思うのは考えものだと思う。

やっぱり、自分で研究し、学習の工夫をしながら、やってみる
ことも大切だ。

私は日本語をしゃべることができるが、聞くことには不自由で
ある。
そういうことがわかっている、ある健聴者との会話で、次のよう
なものがあった。


私;「休日は何をしているんですか?」

Mさん(健聴者);「・・・」(身振りだけで;バットを振る仕草を見せる)

私;「ああ、草野球ですか。ポジションは?」

Mさん;「・・・」(ファーストの構えを見せる)

私;「ファーストですか。毎週やっているんですか?」

Mさん;「・・・」(うなづく)

私;「試合はどれぐらいやってますか?」

Mさん;「・・・」(首をひねって「う~ん」と考える仕草を見せてから、
人差し指を見せて、またちょっと首を傾ける)

私;「月1回ぐらいですか?」

Mさん;「・・・」(YESの表情を見せる)


こんなふうに、結構できた。

初心者の人は、ピア・カウンセリングみたいに二人一組に
なって向き合い、片方は声で質問し、もう片方は手話、
ジェスチャーなどで答える(声禁止)、というルールで、
やってみてはどうだろうか。
テーマを決めてもよいし、ある程度やったら、テーマを段々
と難易度が高いものへと変えていく。

『スポーツ』や『最近のテレビの話題』なら、初心者向きなの
ではないか、と思う。
本能的に身振りが出やすいように、立ってコミュニケーション
をしたほうが、身体がよく動いて、わかりやすく伝えられる
のではないか、と思う。

実際、上の話も、Mさんと私は、通勤途中でばったりと出会い、
筆談用具もない状況だったので、歩きながらやった。

「サッカー」なら、足でボールを蹴る仕草。

「水泳」は、上体を動かしながら、前へ進む様子を表現できる。

『スポーツ』の話題といえば、6、7月のFIFAワールドカップの
話をすると、誰でもある程度のことは知っているから、
通じやすい場合が増えるかもしれない。

「この前、ワールドカップで優勝した国はどこ?」

「ドイツ!」


「ドイツ」の手話はドイツ兵のかぶるヘルメットの特徴を表現するが、

「ドイツ」の手話

「ビール」と「ソーセージ」で、相手に連想させてもいいのだ。


「準優勝は?」

「アルゼンチン!」


「アルゼンチン」の手話はどうやるのか知らないが、ろう者は
アルゼンチン・タンゴの踊りを真似たりとか、胸に抱えて弾く
アコーディオン・オルガンが有名だと言う。
アルゼンチン・タンゴ劇『ブエノスアイレスのマリア』のポスターに、
よくこの楽器が写っている。
ろう者には、音が聞こえない分、この視覚情報のイメージが強い
そうだ。
そういう、視覚情報と脳との結びつきを強くするためにも、
イメージ力は大切だ。
伝言ジェスチャーゲームと同様に、やってみると面白いものだ。

声を出す人がいることによって、表現者は自分の表現力で
伝わったかどうか確認できるし、声を出すだけの人もいろいろな
方法があることを知る機会になる、と思う。
こうやって、新しい手話、変わった手話をひねり出してみるのも
面白い。

相手は時間を決めて交代し、何人かでやると、いろんな表現が
生まれるかもしれないし、それだけたくさんのことが学べる。
勉強ではなく、やってみることがコミュニケーション力を磨くには
大切だ。
手話通訳者になるためには手話通訳の勉強をしなければ
ならないだろうが、それ以前に、ろう者とのコミュニケーションが
できなければ、良い通訳者になるための勉強はできないのでは
ないだろうか。

意外と難易度が高いと思われるのは『道を尋ねる』というテーマ
だろう。
質問は

「ここから一番近いコンビニへは、どうやって行けばいいですか?」

と簡単でも、道順が複雑になってくれば、相手に上手く伝えるのは
難しくなる。
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by bunbun6610 | 2014-09-18 18:30 | 手話

ある聴覚障害者から見た世界


by bunbun6610