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ある聴覚障害者から見た世界


by bunbun6610

「しつこい」と「しっこい」 - 語音明瞭度の障害と、学習障害の関係

『「しつこい」と「しっこい」

 - 日本語の促音は感音性難聴者にとって、聞き取りにくい』

 ※これは、感音性難聴者の、語音明瞭度についての話でもある。
  学習障害とも、関係が深い話と思っていいだろう。



当ブログでは聴覚障害について、いろいろな説明を
試みているが、あくまで素人の記述である。

だが、当事者の体験などに基づいて書いているわけで、
それはそれで、何かの役に立つかもしれない。

聴覚障害のことは、健聴者にはわからないことが多い
のではないか、と感じるので、参考にはなるだろう。

勿論、聴覚障害の症状は人により千差万別、と
言われるので、一概にこうだと言えるものではない
ことも、忘れないでほしい。


さて、今回は「学習障害」について話そうと思う。
「コミュニケーション障害」「情報障害」「関係障害」
などの他にも、いろいろな障害が連鎖的に起こる。
それが、耳の障害なのだ。
幅広い障害になってしまう、と思ったほうがいいだろう。



「ベルリッツは、しつこい。」


最近の、電車内の広告にある文字だ。

私は大人になっても、ずっと「しつこい」という日本語を
「しっこい」と読み書きしていた。
一体、この言葉を覚えるのは、健聴者ならば何歳ぐらい
だろうか?
おそらく、中学生になるまでは、知っているのではない
だろうか?

中学生の時、同級生がこの言葉を使っているを聞いたこと
がある。

「あいつの話は、しつこい!」


とか、他人の良くない噂話をする時に、出てくる言葉だ。
感音性難聴だった私は、間近で幾ら聞いても、その言葉を
聞き取ることができなかった。
その話に興味があるというより、聞き取れなかった日本語
を早く覚えたくて、何度も

「え? 何? 何て言ったの?」

と聞き返した。
それも含めて

「お前は、しつこい!」

と言われた記憶がある。
同級生は声を大きくして言うが、それでもよく聞き取れない。
そして最後は怒ってしまい

「しっこい!!!」

と、怒鳴っていた。
この言葉は、怒った時に言われると「つ」の部分が、
促音のように聞こえる気がした。
「つ」が、どうしてもよく聞き取れなかった。

もう仕方がないので、自分でこの言葉を、想像してみた。

「し●こい」

これが「しこい」のはずがない。
「●」の音は、ほとんど聞き取れなかったのだが、
「し」と「こい」の間に、微妙な何かがあることは
感覚的にわかった。
もう少し小さな子どもがよく使う、似たような言葉
だったら、「おしっこ」がある。
それで、「●」の部分は、この「っ」(促音)に違いない、
と思い込んだのだ。

以来、ずっと私は、「しつこい」を「しっこい」と
言っていたり、書いていた。

そんな気がつかない失敗が、数え切れないほどある。
今はパソコンで自習できるし、メールのやりとりなどで、
自然に覚えられる時代だが、昔は一度思い込んでしまったら、
ずっとそれが直らなかった。

健聴者には

「聴覚障害者はバカだ」

と言われることがある。

それがある意味で、当たっていることまでは否定しない。
けれども、なぜそうなのかを知ろうとしないのは、
そしてどうしたらよいのか考えようとしないのは、
健聴者社会の傲慢ではないか、と思う。
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by bunbun6610 | 2014-07-01 18:30 | 聴覚障害