聴覚障害者への支援 - 良い通訳者、悪い通訳者

だいぶ以前のことだが、聴覚障害者対象の通訳利用で、
気になることがあった。

通訳者もそうだが、健聴者も普段から気をつけてほしい
と思うので、この話をする。


聴覚障害者が健聴者と、通訳(手話や要約筆記)を介して
話す場面では、よくあることだ。

それは相手の健聴者が、通訳者がいる場ではついつい、
聴覚障害者へではなく、通訳者に向かって話してしまう
からである。

しかし、これは何も、聴覚障害者との場合だけに限った
ことではないようだ。
松兼功氏にも、似たような体験の話がある。


『『こころの段差にスロープを』(松兼功/著)(8/13)ホスピス』
〔2014-06-08 18:30〕




要するに、健聴者は障害者を“子ども同然”と見なして
いるのだろう。

「どうせ障害者に聞いてもムダだから」

「結局は、通訳者に聞いて、話してもらうのだから」

「こっちとしては、障害者本人よりも、最初から“付き添い”
(と、通訳者を勘違いしているようだ)の人と話したほうが、
やりやすいから」

とでも思っているのだろう。
そういう心理が見え見えだから、こちらとしては戦意が
燃えてくる。
話し合いには人間関係が大切だから、その場では我慢しても、
ブログでは遠慮なく、ぶちまけてやりたくなるものだ。

それだけではなく、なかには支援者の立場に過ぎない
通訳者が、何やら健聴者の質問に答えてしまっていて、
その場の通訳は放り出してしまっている。

後で、それは何だったのか通訳者に聞いてみたら

「聴覚障害のことについて聞かれたので、一般的な説明をした」

という。
どうやら、この通訳者は、まだまだ新米で、自分の本来の仕事
をわかっていなかったようだ。

厳しく言うならば、この新米通訳者は「障害者の主権侵害」に
当たる行為をとったことになる。

ちゃんとした一人前の通訳者ならば、こんなことはしない。

たとえ、利用者(聴覚障害者)が未熟で、健聴者の質問に
答えられなくて困っていたとしても、通訳者は口をはさんでは
ならない。


そもそも、聴覚障害についても質問に対し、健聴者が勝手に
答えるとは何事か、と思う。
聴覚障害の症状は人により千差万別で、その人の聴覚障害は、
その人でなければわからない。
それなのに、そんな他人が出しゃばるやり方では、
その聴覚障害者が相手に求める配慮とは何だったのか、
知る機会を逃してしまうだろう。

たとえ大事な面談で、利用者が失敗して恥をかいたとしても、
それは別に通訳者の責任ではない。
むしろ、利用者にそういう経験をさせるのが、利用者のためにも
なるのである。

なかには、事後になって、責任を通訳者になすりつける利用者も
いると聞いているが、そんなのは当然、無視していい。


ただ、終わった後に

「こうすればよかったのかしら」

と、さりげなく、迷惑にならない程度にアドバイス等を伝える
通訳者もいる。

この場合は、逆に良い例である。

本番中は口出し無用、しかし、終わった後は、ともに反省会を
してみるのは良いことだと思う。
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by bunbun6610 | 2014-08-11 18:30 | 情報保障・通訳

ある聴覚障害者から見た世界


by bunbun6610