『こころの段差にスロープを』(松兼功/著)(13/13)マジョリティの感覚

『こころの段差にスロープを』
(松兼功/著 日本経済新聞社/発行所
1997年10月7日/初版発行)



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「友人が通うある有名私立大学で、車イスの学生の受け入れに備えて、
校舎の一角にエレベーターを設置することになった。
すると、かなりの数の学生から、

「ごくひと握りの障害者のために、たくさんの金を使ってエレベーターを
付けるぐらいなら、もっと授業料を安くしろ!」

という反対の声が上がったそうだ。
車イスを通して、駅の階段や狭いトイレの不便さを体感しながら、私と
一緒にあちらこちらを旅している友人は、

「自分の大学で、そんなバカなことを言うヤツがいるなんて、ホントに
情けないです」

と、頭をかいた。
私も「そうだね・・・」と、ため息まじりの苦笑いでうなずいた。

反対の声を上げた学生たちとの間に存在する“こころの段差”に、私たち
は失望を感じた。
私の母校の寮の三段の階段よりも、それはあまりに大きく、しかも目には
見えないのだ。
恐らく自分の立場しか考えようとしない学生たちは、自分で段差を作り出し
ていることにまったく気づいていなかったのだろう。
でもその無関心こそ、相手との関係を隔てる見えないバリアそのものなのだ。

後日エレベーターは計画通りに設置されたという。

近い将来、その大学には車イスの学生が入学してくることだろう。
そうすれば、設置に異を唱えていた学生たちとの出会いも生まれる。
その密度が濃くなるにつれ、

「エレベーターを付けるぐらいなら、もっと授業料を安くしろ」

という感覚は彼らから消えていくに違いない。」
(P217~218)



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〔参考情報〕


『4つのあったかバリアフリー』
〔2012-07-11 09:11:05〕




「心のバリア」という言葉も、聞いたことがあると思う。
それが、4番目のバリア(障壁)だ。
これを取り除くのが、最も難しいと言われている。

聴覚障害者も、情報保障・通訳がついてもバリアが解決しない、
と感じることがあるが、それがこのバリアが原因だったりする。
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by bunbun6610 | 2014-06-13 18:30 | バリア&バリアフリー
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ある聴覚障害者から見た世界


by bunbun6610
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