『こころの段差にスロープを』(松兼功/著)(4/13)エスカル

『こころの段差にスロープを』
(松兼功/著 日本経済新聞社/発行所
1997年10月7日/初版発行)




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「歓迎会場は新幹線口の反対の北口にあり、
まっすぐ行くには駅の構内を通ることになる。
その途中で30段ほどの下りの階段がある、
そこに“エスカル”と呼ばれる車イス用の
エスカレーターが設置されていた。
エスカルは既存の階段の隅にレールを取り付け、
車イスを搭載するカタツムリのような形をした
ゴンドラを、そのレールに沿って稼動させる
ものだ。

とはいえ、私たちが目の前にしたエスカルの
ゴンドラは階段の下でレールから外され、
大きなビニールのカバーがかけられていた。
また、稼動させるためのリモコンのコントロール
ボックスにも鍵がかけられ、すぐには使えない
状況になっていた。
社協職員の男性は慣れた様子で50メートル
ぐらい離れた売店に鍵を取りに行った後、
ゴンドラのカバーを外し、コントロールボックス
を開けてエスカルを動かした。

結局、私がゴンドラを使って階段を下りきる
までに7、8分を要した。
もし車イスの人が単独でこの階段にさしかかった
場合、インターホンで連絡を受けた駅員さんが
駆けつけてくれるとのことだが、それにしても
かなりの時間待たされることは容易に想像
できた。
ないよりはあったほうがいいのかもしれないが、
それでは障害をもつ人たちがいつまでも気軽に
使えるものとは言えない。

残念なことに、車イスや歩行器で全国各地を
歩いていると、同じような最新福祉機器の放置
状態にあちらこちらで出くわす。
それだけに、K市のエスカルを前にしても

「なんだ、このことか・・・」

とぐらいにしか思わなかった。」(P30~31)



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by bunbun6610 | 2014-06-04 18:30 | バリア&バリアフリー
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ある聴覚障害者から見た世界


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