日本人健聴者が手話を覚えられない理由

〔参考情報〕

『もう手話が嫌い』
〔2014年4月30日〕




日本人健聴者が手話を覚えられない理由


『難聴者Kさんの例』

Kさんは、軽度難聴者だ。
一対一で近くでならば、健聴者とほとんど、普通に
話せる人だ。
だが、それでも手話を覚えたくて、手話サークルに
通い始めた人だ。
なぜ、その程度の難聴で手話を覚えたいのかが、
私にはわからなかった。

しかも、Kさんが手話を覚えるには、もっと大きな
難点があった。
40歳を過ぎてから、初めて手話を学ぶというのだ。
こんな頭がコチコチで、手話を覚えられるのだろうか。

以前、東京都の中途失聴者・難聴者対象手話講習会
を見学してみたことがある、という。
でも、Kさんはそこが嫌だった。

なぜ嫌なのかと聞くと

「オレはな、ああいうところが嫌いなんだ」

という。

これでは理由がよくわからないので、彼がずっと後に
言った言葉を引用しよう。


「あなたのお父さん(80歳)は、今から手話をやっても
覚えられないと思いますよ。
これは君が東京都中途失聴者・難聴者対象手話講習会
に通っていて解っていますよね。
中度難聴ならば補聴器でかなり補えると思われます。
今の補聴器は性能がいいですから。・・・」


要するに

「あの講習会の学習環境では、手話獲得までは無理だ」

と思ったのだろう。
80歳までいっていなくとも、無理なのだ。


そこで、Kさんは都内のあちこちの手話サークルに行って、
週に2回は勉強した、という。
これは、あの佐村河内氏と同じ方法だ。
自分が手話を覚えることのできる、残された時間は少ない。
だから彼は、自分を手話漬けにしたのである。

さて、そんなKさんが必至になって手話を覚えようとした、
本当の理由を知った。

「オレはな、ろう者と手話で話したいんじゃない。
健聴者と結婚したくて、手話サークルに入ったんだ」

これが、彼が手話を学び始めた、本当の動機だったのだ。
それは、独身男の心に、人生最後の火を点けることだった。
男の飽くなき性欲を動機付ければ、ずっと続くものだ。
性欲と手話学習の目的を結びつける・・・これは、
最強タッグだろう。
男なら、スケベ手話なら、あっけなく覚えてしまうものだ。


確かに、健聴者の結婚相手を見つけたくて、
手話サークルにやってくる聴覚障害者もいる。
手話の出来る健聴者と結婚すれば、手話通訳者を
わざわざ呼ぶ必要もなくなるからだろう。
障害者同士の結婚を反対する親だって、
これなら反対はしない。
Kさんも、そう考えていたのかもしれない。

Kさんは最初の何年かは、本当に落ちこぼれだったので、
ろう者にも健聴者にも

「Kさんはダメみたいだね」

ということばっかり言われていた。

ところが・・・Kさんが手話を学んで約15年後に再会
してみると、彼の手話はペラペラになっていた。
読み取りの力もしっかりとしている。
あまりにも上達していたので、なぜ出来るようになった
のかと尋ねると

「ろう者と通じるようになった」

「はじめはEさん(ろう者)の手話がさっぱり
わからなかったが、だんだんとわかるようになってきた」

「オレの場合は、10年以上はかかったよ。
でも他人と比べないで、自分の方法で努力し続けたのが、
よかった」


などと言っていた。
ろう者と通じるということは、手話も確実に上手くなった、
というわけだ。

手話漬けの極意は「手話から逃げない」ことだ。
目をそらさず

「手話はまだ勉強中ですから」

と言って逃げないことが、手話上達の唯一の道だろう。

それならば、確かに、難聴者対象手話講習会へ行って
いたなら、手話ペラペラになるなんて、無理だったのかも
しれない。
あそこは言語圏が手話の環境ではない。

Kさんは、今では手話仲間の健聴者やろう者と、
楽しく交流している。

手話サークルって、確かに女性が多い。
よくそんな女性たちに介護してほしくて、手話サークルに
入ってくるおじいさん、おばあさんたちもいる。
本人にしてみれば

「ボケ防止にも役立つ」

のだという。
手話を学ぶ動機は、多少、不真面目なくらいがいいの
かもしれない。



〔参考〕


『手話をあっという間に覚えてしまった健聴者』
〔2012-02-21 20:41〕







『なぜ、私たちは3ヵ月で英語を話せるようになったのか?』



>「「お前は日本人なんだから、
日本語で考えてから英語に訳してしゃべれよ」

「俺だってノルウェー語で考えて、
英語に訳してからしゃべってるんだから、、」

ここで彼は、一つの気付きを得ます。
それは、

新しい言語を身につける方法は、ネイティブからではなく、
学習によって外国語を習得した非ネイティブから学ぶ
ほうがよい、ということを・・・」


>「1. 日本人は2つのメンタルブロックを抱えている」


これって、手話学習でも、同じなのではないだろうか。
少なくとも、私もそうなのだ。
非ネイティブである中途失聴者が、手話を覚えた後も、
依然として手話で表す前に、しゃべる意志が先立つ。
それは、母語である日本語で言葉を考えているからだ。
ろう者が、ろう語(日本手話)で考えるのと同じように。


>「2. 日本人は、正しい発音をならっていない」

これも、そうだ。
ろう者に言わせると「健聴者の手話はおかしい」とよく言う。
例えば「(単語を表出するときの)間の取り方」が違うそうだ。
ろう者が言うには、これも、手話文法の一つなのだというが、
健聴者の手話はそれを無視しているのだ。

N.M.S(ノン・マニュアル・シグナルズ)(※)も、ろう者は
使うのに、健聴者は全然使わない人が多い。
N.M.Sとは、実は大事な手話文法なのだが、
健聴者はそこまで気づいていない。


(※)関連記事
『誰でもできる 難聴者、中途失聴者とのコミュニケーション方法』
〔2014-03-27 19:00〕





>「3. 日本人は話す練習をしていない」

これも、そうだ。
手話ができない受講生は、休憩時間になると、
すぐ音声日本語でクラスメイトと話し始める。

「手話がまだできないから」

だと言う。
しかし、そのままでは、本当にいつまでたっても出来ない
のではないかな。
手話サークルがわざわざ、健聴者の手話上達のために
設定した、聴覚障害者との交流会で、積極的に手話で
話しかけてみているだろうか。


>「英語ができない日本人の気持ちを理解した
上で最適な方法で指導できる数少ない講師」


手話講師にも、こんな人がいるのかどうか、
わからないけど・・・。
少なくとも、教え方がわかりやすい講師と、
そうでない講師がいるのは事実。
ただし、何でも講師のせいにしてしまうモンスター
受講生もいることも事実。


>「英語をマスターするためには、毎日英語漬けに
して「英語脳」を作らないといけませんよね?
残念!違います。
日本語をマスターした大人にとっては、
日本語で考えることが、英語上達の近道です。」


>「日本人の99%が「対人恐怖症」と言われる理由 ・・・・・28」

>「欧米人が恐いのは「人の目」より「神の目」 ・・・・・50」

>「「うまくなってから街を走る」では永遠に上達しない ・・・・・71」

>「英語が通じないのは、日本語力に問題があった ・・・・・82」


>「曖昧な日本語のままでは通じない ・・・・・85」

>「知識のないことは英語にもならない ・・・・・86」

>「英語で考えて英語を話すのはあきらめなさい ・・・・・94」

>「英作文能力を身につければ、英語で考えているように見える ・・・・・100」

>「完璧なリスニングよりも、相手の言葉を予測せよ! ・・・・・122」

>「ネイティブも全部の英語を聞きとれているわけではない ・・・・・128」



ろう学校に通わず、普通の学校に通って、
大人になるまで手話を知らなかったろう者は、
手話を覚えられない健聴者に、こう言った
ことがある。

「あなたがたは、日本語についての正確な
知識がない。
それでは手話通訳者になるなんて、無理ですよ。
まず、日本語の勉強からはじめたほうがいい
のではないかな?」

これはつまり

「日本語の正確な知識がないのに、
手話に訳せるわけがない」

ということを言っているのである。
“手話の多様性”の学習で引っかかってしまう
健聴者に多いハードルだ。



〔参考情報〕

『手話表現で「みる」「きく」「わかる」
どう使い分ける?』

http://homepage2.nifty.com/cyacyamaruHP/syuwa/mlm/025.htm





>「衝撃!ABCソングの大罪。
実はABCソングを歌うことが、英語の上達を妨げる最初の
要因だったのです!」


これって、もしかして、ろう者のろう語(日本手話)獲得の邪魔
になる真実?!
そうだと思う。
耳の聞こえない人は、健聴者の手話歌を見て「おかしい」と
思うのは自然だと思う。



ろう児の日本語獲得が容易でない理由がある。
ろう児の日本語獲得は、容易ではない。

http://www.aichi-c.ed.jp/contents/shien/homepege19/shien/disorder/tyoukaku/def7.html

「6 日本語の獲得 
  健聴者は乳幼児期から聴覚を生かして様々な
言葉を学習していきます。
しかし,聴覚に障害のある子供たちの場合,
健聴児が自然に習得する単語を知らなかったり,
間違えて覚えていたりすることがよくあります。
動詞の活用や助詞,助動詞を正しく使うことが
苦手な子供も多いようです。
  日常生活では手話や身振り等で意思の疎通が
できます。
会話なら一部を省略してあいまいにしても概要は
通じることが多いようです。
しかし,文章を書く場合にはそうはいきません。
日本語を正確に表現しないと相手に正しく伝える
ことができません。
正しい日本語の獲得は,聴覚に障害のある多くの
子供たちの課題です。
  このため,小さいころから日々の経験を言葉に
して絵日記等で表すなど,
繰り返し地道に学習することで徐々に書き言葉
としての日本語を獲得していきます。」




勿論、この逆もある。
すなわち、普段、視覚言語である日本手話を
使わない健聴者や難聴者、中途失聴者が、
それを覚えるのが難しい理由でもある。
だから、彼らには日本語対応手話を覚えるのが
精一杯なのである。


『手話言語法制定に向けて』


この冊子のこちらのページにも

「手話ができる友人とできない友人で分かれて
しまうことも…」

という説明のイラストが出ている。
子どもですら、耳の聞こえる人と、そうでない人
とでは、こんな状況になってしまうのだろう。


ある日、ろう児数人と母親か先生だかわからない、
付き添いの大人が、電車に乗っていた姿を
見たことがある。

人工内耳装用の子どもは、付き添いの大人と
声でしゃべっていた。
しかし、ろう児と思える子どものほうは、
手話でしゃべっていた。
子ども同士ではほとんど話さないのはなぜなのか、
気になった。
なぜか、コミュニケーション方法がバラバラだった
ことに、違和感を覚えたが、付き添いの大人は
どちらでも理解できるようだった。
「子どもや親が選択すべき問題」で、先生はどちら
でもいい、と思っているのだろう。

「将来はどうなるのだろうか」

「お互いにずっと、友だち同士でいられるのだろうか」

と気になりつつ、見ていてしまった。

これは、健聴者、また聴覚障害者とにかかわらず、
手話講習会でも受講生の間で、実際によく起きて
いることだ。

そこでも、コミュニケーション方法でバラバラになって
いることが、よくある。
しかし、そのまま進級していったのでは、
コミュニケーションが音声日本語だけのままの
受講生は、やがて進級試験で落ちる。
そして、進級試験に合格した受講生だけが、
最後の講習会を受けられる、ということになる。

結局、最後は手話通訳者を養成するための
手話講習会なのだから、それは仕方のないことだ。



〔参考情報〕

『手話を学びたいのですが、簡単な会話ができるようになるのに、
どれくらい期間がかかりますか?』
〔2012/1/21 18:32:30〕

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by bunbun6610 | 2014-07-14 18:30 | 手話
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ある聴覚障害者から見た世界


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