蒼穹 -そうきゅう- bunbun6610.exblog.jp

ある聴覚障害者から見た世界


by bunbun6610

聴覚障害者の、聴覚障害をカバーする能力 - 音声情報を推測する能力

『聴覚障害者の、聴覚障害をカバーする能力 - 音声情報を推測する能力』

聴覚障害者は、その場ですぐに物事を理解できない場合が少なくない。

しかし、後になって、理解できるようになる場合もある。



〔参考記事〕

『聴き取りにくい言葉 -「喫煙席? 禁煙席?」』
〔2013-04-28 18:00〕




『情報障害 -聴覚障害者への情報伝達は限定的』
〔2013-11-22 18:00〕



『聴覚障害者の「言葉のパターン」の学習能力』
〔2014-01-09 18:00〕




上の〔参考記事〕なども、そうして書いた例である。

自分の頭の中でもう一度、(過去に見た)視覚情報の
記憶をリプレイし、そして失われている音声情報は
何だったのか、推測する。
この能力は日常的に用いていて、よく当たる。

福祉関係者には

「頭(勘)がいい」

と言われたこともある。

そのため健聴者は

「聞こえている」

と、よく勘違いするのだが。


ある時、職場でこんなことがあった。

私は営業部が使うパンフレットの準備を、机の上でしていた。
右側の前方にはE上司が座っていた。
そして、左側には先輩のAさんがいた。
Aさんは電話中だった。

話をしているのは分かったが、何を話しているのかまでは、
もちろん全く分からない。
両耳に補聴器を装用していても、私には

「ただの雑音かな?」

ぐらいにしか認識できない。

そして突然、Aさんは私の後ろに動き出した。
私は

「Aさんは今、忙しそうだなぁ」

と思うだけだった。

右側のE上司がその時、私を見た。
なぜだかは、その時はさっぱり、分からなかった。
そしてAさんが今度は、私の後ろから右側へひょっこり
と出てきて、パンフレットを取り出していった。

ここまで事が進んでから、やっとこの状況の意味を、
私は理解しはじめた。

Aさんは、電話相手の話を聞いて、私の右側にある
パンフレットを取り出したかったのだ。
それでAさんは最初、私に

「ちょっと、どいて!」

などと声をかけたのだろう。

ところが、それが私に言われていることだとは、
まるっきり分からなかった。
それで、右側にいたE上司は、私のほうを見た。
しかし、その意味も、私は最初、気づかなかった。

それでAさんは、もう仕方がないからと、私の後ろで、
自分で動き回ってパンフレットを取り出した、
というワケだ。


このような推測力は、聴覚障害者なら誰でも使って
いることだろうし、健聴者にも、こういう能力は
あるだろう。
ただ健聴者は普段、こういう能力を使う必要がない
だけではないだろうか。


テレビのサスペンス・ドラマなんかだと、よく、
謎解きのリプレイ・シーンが出てくると思うが、
あれと同じことを自分でやっている、と思っていい。

聴覚障害者の場合は、記憶を映像として、非常に
よく憶えているからだ。
聞こえなくても、失われている音声情報を推測する
(理解ではないと思うが)秘密の一つが、
この能力にある。
[PR]
by bunbun6610 | 2014-03-20 18:30 | コミュニケーション能力