聴覚障害者の視点で観た障害者の労働とは

昨年、Eテレ『バリバラ』というテレビ番組で


『テーマ;「作業所」工賃アップ大作戦 第1弾!』
〔2013年9月13日(金)21:00~21:30放送〕




『テーマ;「作業所」 工賃アップ大作戦 第2弾!』
〔2013年12月13日(金)21:00~21:30放送〕




というテーマがあった。

工賃アップという目的のもと、プロの方に、
障害者たちがつくった商品を見てもらったところ、
なかには酷評を受けたものもあった。

工賃をアップさせるには、健常者の作ったものにも
負けない魅力のある商品をつくらなければならない
だろう。
売り上げが工賃に反映される以上、競争しなければ
ならないのだ。
国や地方自治体などからの補助金もないところでは、
なおさらそうだ。

ところが、現実はどうか。
またそれは、障害者にも、現実に可能なのだろうか。

もし障害者が健常者に勝っちゃったら、「障害者雇用」
なんていうのも、もう要らないだろう。


障害者施設でつくられたパンやお菓子を買い、
食べてみたことがある。
私は食べ歩きが趣味なので、いろいろな美味しい
ものを知っている。
それで厳しい意見になるかもしれないが、
その感想を正直に書こう。



①ガーリックフランス 130円
②セサミダッチ 110円
価格設定は他の店と同じくらいか、高いところよりも
10%ほど安いくらい。
焼き立てではないし、いつ焼いたのかもわからない
パンだった。
当然だが、焼きたてパンを売るお店のパンのほうが、
圧倒的にいい。
食べ物は、香りも非常に大事で、客を呼び込む魅力
になる、ということを知らないのだろうか。
作業所内で働いているだけの障害者には、おそらく、
焼きたての香りのよさは知っていても、売店へ並んだ
ときの状態までは知らないのだろう。
それが、作業所に引きこもってしまっている障害者
たちの思考停止ではないのだろうか。
ただ、これは、どちらかというと作業所の運営者に
責任があると思われる。

また「ホイロオーバー」(※1)というのか、発酵させ
すぎてから焼いたパンだと思うので、ふわふわ
しすぎて、味、テクスチャー〔食感〕(※2)ともに、
美味しさが十分感じられなかった。


(※1)「ホイロオーバー」
http://www.toshitoshi.net/e-pan/kiso/kiso60-2.htm



(※2)「テクスチャー」
http://ci.nii.ac.jp/naid/110001099761




商品としての魅力はない。
私なら、もう二度と買わない。

つくっている人たちの写真と説明があったが、
精神障害者や知的障害者がつくっているという。
だが客にとって、そんなことはどうでもいいのだ。
買った商品が美味しいか不味いか、それが問題
なのである。



③パウンドケーキ(ブルーベリー) 150円
社会福祉法人の作業所でつくっている焼き菓子
である。
安いが、味もそれなりなだけである。
家庭の主婦が趣味で作った類のお菓子と
変わらない。



④バナナマフィン ¥120
これも社会福祉法人の作業所でつくっている
もので、印象に残るものではなかった。



⑤チキンとチーズのベーグルサンド ¥240
⑥タマゴサンド ¥220
社会福祉法人がつくったサンドゥイッチである。
出来栄えも味も、普通のパン屋さんと同等、
あるいはそれ以上のものだった。
手作り感があって、これで220円は安い。
とても、同じところがつくった商品だとは
思えなかった。

多分、この製品の場合は、つくったのは
健常者で、障害者は材料計量や下準備、
包装や道具の片付け、
洗い物などの仕事をしているのではない
だろうか。
それくらい、他の作業所がつくったものとは、
品質があまりにも良かったのである。
もし、障害者がつくったというのならば、
さすがだと思う。


商品についての感想は、以上である。


よく言われていることだが

「何で障害者が作ったものは、美味しくない
んだろうか?」

という疑問がある。
障害者に健常者と同じレベルのものを作る
ことはできない。
だから、値段を多少安くして、あとはせめて
何とか、同情で買ってもらう。
そんな感じの商売をやっているところが多い
ように思う。


知的障害者や、精神障害者には、ストレスに
弱いため、健常者と同じように働かせることは
難しい、とも言われる。
これで、ブラック企業ばかりの一般企業で働く
健常者に勝て、と言う方が無理なのだ。

それでは、健常者に負けない商品をつくる
ことは、障害者にはできないのだろうか。
だが決して、そうとは限らないのではない
だろうか。

一口に「障害者」といっても、障害者には
いろいろな人がいる。
ストレスにも強くなれる障害者はいる。
健常者並みの身体能力を持つ障害者だって
いる。
そして、技能を磨く力も、問題はない。
指導をはじめとするコミュニケーションは、
手話や筆談でもできる。
それが、聴覚障害者だ。

この分野の仕事で聴覚障害者に、健常者と
同等以上の仕事ができないはずがない。

なぜ知的・精神障害者ばかりを集めて、
こういった食品製造の仕事をさせる障害者
施設はたくさんあるのに、聴覚障害者の
特性を生かしたところはないのだろうか。

これが私には、大変不思議に思う。

実際に、聴覚障害者のそうした長所に注目し、
聴覚障害者を雇用している飲食店などは、
いくつかあるはずだ。

さらに、一定数以上の障害者を雇用すると、
国からは障害者雇用助成金もつく。

こういうふうに気づいたら、障害者を雇う会社も
大儲けすることだって可能なのではないだろうか。

こんなふうに、障害者雇用に目をつけるとよい
のではないだろうか。


ただし、一つ気になることもある。
それは、“温室”“甘やかされ過ぎた”障害者雇用に
どっぷりと浸かってしまった障害者にはもう、
厳しい修行の世界に耐えてゆくことなどは、
かなり難しいのではないか、と思う。

大甘の『職場内障害者授産施設』で働いてきた
障害者が、職人の世界に転職したところで、
どうせすぐ逃げ出してしまうに違いない。
この国には、苦しみを乗り越えて自立するよりも、
甘えたがる障害者のほうが、はるかに多い。

それは、障害者への批判というより、
企業が“職場内障害者授産施設”をつくり、
そこに障害者を閉じ込めるようにして働かせて
いること、それが最大の悪弊だと思う。
これでは障害者は成長しないし、むしろダメに
なってゆくのが当たり前だ。

結局、ブラック企業のような厳しい職場環境
でも働きたい、という強い意思のある障害者は、
聴覚障害者であっても、少ないだろう。

本物の夢を実現する道は、障害者だからと
いって、決して甘くはないのだ。
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by bunbun6610 | 2014-01-23 18:30 | 就労前の聴覚障害者問題A
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ある聴覚障害者から見た世界


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