成長する(できる)障害者と、堕落する障害者

健常者にはいろいろな人がいるのと同じように、
障害者にもいろいろな人がいる。

仕事がデキる人もいるが、デキない人もいる。
デキない人でも、それはその仕事が、もしかしたら、
その障害者には合っていないのかもしれない。

確かに、その仕事を選んで会社面接へ行ったのは、
その障害者自身である。

けれども、このブログをよく読んできた人ならば、
わかってもらえるかもしれないが、障害者は、
障害者雇用枠の範囲内にある求人票からしか、
仕事を選べない。
そのほとんどが、みな同じような仕事ばかりで、
単純労働、雑用と決まっているのである。

そのうえ、健常者が一方的に適性判断したために、
重要であるはずの障害の特性を考慮せず、ミスマッチ
へと至る事例が非常に多い。

たまに

「健常者と同じ仕事をさせてもらえるのではないか」

と思えなくもない求人票も見かける。
しかし、入社してみると、それはやはり疑似餌だったのだ
とわかる場合も、よくある。

私は、障害者でありながらも、実は健常者と同じ一般雇用
で働いたことも、障害者雇用で働いたこともある。

その経験で思うことは、やはり、健常者のレーンと、
障害者のレーンは別々に存在する、ということだった。
障害者のレーンを『職場内障害者授産施設』と呼ぶこともある。
これが、健常者の障害者に対する「特別扱い」なのだ。

その原因は何かというと、このブログでは「差別である」
と結論づけてきた。

では、なぜそういう差別があるのだろうか。


おそらく、健常者の側には、障害者に対する偏見や
無知・無理解が、少なくないだろう。

その顕著な例が、健常者が勝手に決めた障害者福祉に、
障害者を漬け込んでしまっていることであろう。
ある聴覚障害者は、これを「福祉漬け」と言う。

そして、もう一方では、この保護に慣れきってしまった障害者が、
声を上げないということも、この状況が変わらない要因の
一つとなっているのではないか、と思う。


自分で仕事を選べない障害者は、「仕事は与えられるもの」という
方向へ思考が行きがちになってしまう。
そればかりでは、本当の“やる気”が出るだろうか。
働きがいが持てるようになるだろうか。
意欲は持続するだろうか。

「やる気のない人なら、健常者にだっている。
障害は関係ない。
だから結局は、心の問題だよ」

こんなふうに言う健常者もいるかもしれない。

しかし、そう言えるだけの健常者と、多くの差別に
遭ってきた障害者とでは、やはり違う点があると思う。
それは、主体性に関わることで、障害者の場合は、
それが崩壊してしまっているかのように見える。

ある難聴者は、自分の深刻な悩みについて
「アイデンティティ・クライシス」(※)と告白していた。



(※)〔参考情報〕

『アイデンティティが正常に発達しない場合』
〔2011/6/6(月) 午後 10:20〕



その人は難聴になり、自分が誇りを持っていた仕事を
辞めざるをえなくなった。
国家資格を有している人で、それがなければ就くことが
できない仕事をしていた。
努力で築いてきた、自分のすべてと言えるような、
その仕事を失ったのだ。
そういう苦しみを持つようになった聴覚障害者もいる。

だが、それは必ずしも障害が原因ではない。
社会の「差別」が原因なのだ。

さらに、障害の程度から障害者手帳を取得できず、
再就職することもできなかった。


こうなると、障害をごまかす図太さを身につけない限り、
生きてはゆけないだろう。
だがそれには、自分のアイデンティティを、自らの手で歪め
なくてはならないのだ。
難聴の先輩にも、悪いことを平気でやるように勧めるより、
他に手はない、と言う人もいる。

この社会で生きていくためには、聴覚障害者はアイデンティティ
なんて、持てないのだ。
仮面をかぶって生きていくより、他にない。

けれども、人間にとって、本当に怖いのは、このように
なってしまうことであって、身体の障害ではないのだ。
障害があるから、その人の主体性が崩壊するのではない。

障害者の主体性を壊す原因が、社会のほうにあるのだ。



「このテーマとは違う話ではないか」

と思うかもしれないが、決してそんなことはない。

成長する障害者、逆に堕落してゆく障害者も、キーポイントは、
主体性のありようにある。

「健常者に合わせなければならないから」

と言って、自らの主体性を放棄してしまう障害者もいるだろう。
そういう障害者が、よい方向に向かっている姿を、
私は今まで見たことがない。

だが、職場では仮面芝居をやっていて、自分の生活では、
自分らしさを大いに発揮している障害者もいる。
ベストな状態ではないが、それでもよいのだ。
誰だって、理想通りにはいくものではないだろう。

それでも、なかには、職場でも少しずつ、自分の提案をしていく
障害者もいる。
障害者だって、いろいろだ。

でもそれは、一人の障害者の努力だけでできることではなく、
まわりのサポートもあるから、できることでもある。
だから、自分にはできないからといって、障害者が落ち込む
必要はない。


確実に言える真理がある。
それは

「自分の持っている障害を否定しない、むしろ、肯定できる
障害者は、自己成長もできる」

ということだ。

障害者の持っている障害は、健常者が考えているような、
「負の産物」だとは言い切れない。

むしろそれは、健常者には持っていない、宝である。

ただ、愚かな健常者が、それに全く気がつかないだけの
ことだ。
デキる障害者ならば、きっと自分の障害から生まれる
長所にも、気づいているはずだ。
勿論、短所にも。
両方に気づくには、自分を客観的に見ることである。

障害によって、物事の見方が変わるから、他の人にはない
見方があるのだ。
それが新しい仕事を生み出すことだってあるだろう。

障害者のなかには、一つのことに対して、
非常に高い集中力を発揮する人もいる。
知的障害者や自閉症の人によくいるといわれるが、
聴覚障害者にもいたりする。


私は以前、ある会社で「重要文書管理」という業務を
担当したことがある。
これには、非常によく似た名前の文書も多数存在するため、
全ての文書を個別に識別できなければならない。
それにはまず、データ入力を正確に行わなくてはならない。

ところが、まわりの健常者のなかには、
これを正確にやらずに、管理者である私に納庫申請を
上げてくる人が何人もいた。
毎月のようにミスをしている人もいた。
間違えて納庫してしまったら、もう見つけ出すことができなく
なってしまうので、几帳面な性格で、責任感のある人に
向いている仕事だったと思う。

私は、納庫申請書と納庫する文書をチェックして、
ミスがあった場合は取り下げてもらうのだが、
真面目に申請書をつくらない者や、
修正を面倒くさがる人もいた。

そのなかには、朝の電話番の当番制も守らず、
毎日遅刻している者もいた。
噂では、毎晩、酒を飲んでいたらしい。

それで皆、バカバカしくなったのか、誰も出社しなくなり

「電話番が誰もいないとはどういうことか」

という苦情が隣の部署からきたほどだ。

彼らは一流大学卒業の、3000人以上の応募者の中から
選ばれた十数人のなかの人たちであり、会社が選び抜いた
「エリートの卵」だ。
それが、こんなだらしなさでは・・・。

この人たちが正社員で、障害者は嘱託社員だったのだから、
全くおかしな差別をしている会社だったと思う。
日本が学歴社会だというのは、本当だったと思う。
六本木ヒルズに入居している、非常に有名な会社がである。

でも、こういった能力は、私に限ったことではない。
当ブログの過去記事に

『NHK『バリバラ』 障害者の悩み -就労 (1)』
〔2013-04-21 18:00〕



「この仕事は、以前は健常者にやらせていて、
1年で10件程度の配送ミスがあった、という。

それが障害者に任せてからは何と!
2年で1件にまで激減した、という。」



という記事があった。
この会社では知的・精神障害者にチェックの仕事をやらせて
みたところ、健常者だと年間10件のミスがあったのが、
障害者では2年で1件にまで減らせたのだという。


これは障害者に「注意力」のほかにも、例えば「観る力」などが
あるのではないかと考えられる。
聴覚障害者にも、その能力が高い人がよくいることは確かで、
私も子供の頃から学力は低かったのに、
漢字テストとなると高得点で、周囲を驚かせていた。
聞く力がない分、見たことを、その特徴をすぐに覚えてしまう
能力が自然に伸びていたようだ。
社会に出てからはパティシェになったが、それも化学者のような
観察力があったため、自分で研究しながら覚えてしまった。

そのほかにも、障害者は、自分の障害に関しては、
そのバリアフリーのよき提案者になれるのではないだろうか。
そこから学ぶことによって、そのような障害を持ったお客様
対応にも生かせるはずだ。

障害者も、会社面接で

「あなたの得意なこと、苦手なことは何ですか?」

と、よく聞かれるだろう。
そのときで、得意なことは詳しく言わないで、できないこと
のほうばかり、長々としゃべってしまっていないだろうか。

しかし、面接では、やはり自分の得意なことを、自信を持って
しゃべったほうがトクだ。

自分自身の成長も、そこにかかっているはずだ。


反対に、かつては優秀な健常者だったが、病気や事故などで
障害者になり、堕落してしまった人もいる。
中途障害者に多い、といわれる例だ。

彼らは、できなくなってしまったことに、あまりにも深くこだわり
過ぎるようになってしまったからだ。

過去にも『職場内障害者授産施設』というテーマの記事で
述べてきた、Aさんという人がそうだ。
この人は、非常にプライドが高い。


『職場内障害者授産施設 (3)本当にうつ病障害者? 病前性格のワガママ障害者?』
〔2013-09-04 18:30〕




また、他にも、次のような元健常者もいる。
この人も、非常にプライドが高く、障害者雇用でそれが粉々に
されるのが耐えられなかったらしい。
もっとも、以前は人を遣う立場だった人が、障害者になって、
自分よりも能力のない、若い人に遣われる立場になってしまった
のだから、無理もないと言えばそうなのだが・・・。


『中途障害者の就労後問題点 ―「障害の受容」とは』
〔2013-04-10 20:09〕




Aさんに対する会社の配慮を見ると、おかしな事例がいくつもある。

例えば、Aさん自身が「パソコンができない」のだと言う。
けれども、本人によく聞いてみると

「パソコンが嫌い」

なのだという。
パソコンに触るのも嫌いなのだというのだから

「練習して覚えよう」

という気はない。
それでは

「パソコンを少しでも使う仕事は全部イヤだ」

と会社に文句を言っているのと変わらない。
これだけではなく、他にも、Aさんが嫌う仕事はたくさんある。

だから結局、Aさんは自分が「やってもいい」と認める、
たった一つの仕事しかやらない。
それは何なのかというと、出張なのである。

しかも、その出張も、行きたくない所もある、となる。
だから、いつも、F上司と調整(話し合い)した後、
私のところには、要するにAさんがやりたくないと言い出した
仕事ばかりが回ってくることになっている。

さらに、信じられないことに、出張したら、会社にはもう、
ほとんど戻ってこないということだ。
つまり「直帰」だ。

出張は主に、官公庁へ提出する重要書類を持ち運ぶ仕事である。
大事な顧客情報が含まれた書類を持ったまま、帰りはすみやかに
会社に戻すこともなく、自宅に持ち帰っている。
そして翌日に出勤したら、上司に渡しているのは、Aさんだけだ。
これは、個人情報保護の観点から見ると、NGだ。

おそらく、本社もこの事実を知らないと思う。
会社もおかしいが、こんなこともいい加減にして、会社の変な
「障害者配慮」「特別扱い」に甘えているAさんのほうだって、
おかしい。
もしバレたり、紛失してしまったり、万一でも顧客情報が漏れて
しまったら、会社の社会的信用は失墜してしまうのだ。


Aさん自身が言うには「うつ病だから」と言う。
過去に会社に提出していた診断書があるから、
このようにやっていられるのだ。
診断書や障害者手帳が、Aさんにとっては都合の良い道具
として利用され、ワガママ暴走になってしまっているのだ。



(以前に、乗客の少ない電車の中で、多分

「オレは障害者だぞ!」

とか言って、障害者手帳を見せつけ(これは、実際に私も見た)、

「このシルバーシートに、健常者のおまえらが
座るんじゃない!」

とか怒鳴って、健常者を追い出していた障害者がいた。
その障害者は、あちこちのシルバーシートに移動して、
同じことを繰り返していた。
そして、それに飽きるたのか、今度は一人で
シルバーシートの上に寝そべっていた。
情けないなと思ったのは、健常者は誰も相手にせず、
なかには逃げていた人もいたことだ。

ここでも、会社の健常者と全く同じ状況だ。
その障害者は、どうせこうなるとわかっていて、
こんなことをしているのだろう。
それと同じなのだ。)


けれども、これは一体、「障害者への配慮」なのだろうか。

言うまでもないことだが、“甘えを許す”ことが“配慮”では
ないはずだ。

おそらく、こんな変な例は、他の会社でもあるのではないか、
と思う。

香山リカ氏の

『「私はうつ」と言いたがる人たち』(PHP新書)

にも、これとほとんど同じ事例が載っている。

考えられるのは、自分の障害や病気をうまく利用
(過重に見せかけた申告をするなど)して、
特別扱いしてもらっている、ということだろう。
そのほうが会社でも、自分は居心地がいいからだ。

要するに、うつ病というよりは「自己中心」になっている。
こういう障害者は、もう堕落している、と言っていい。

周囲も、本音は「ポンコツ」(「使いものにならない」の意)
だとしか思っていないだろうから、無視しているのだと思う。

会社の人は

「もう、障害者は使いたくない」

と思うかもしれないが、Aさんにとっては、障害者の評判など、
どうでもいいのだ。
「自分さえよければいい」という自己中心主義がある。

こんな人が、難聴者にもいそうだ。
身体障害者手帳を取得して、国の障害者福祉のメリットを
受けるが、障害者と同じ扱いをされるのはイヤだという、
自分の都合のいいように福祉制度を利用するだけ、
といった人たちである。
障害者差別を受けるのはイヤだから、健常者には聴覚障害を
隠して続けるのである。
彼らは「闘争」ではなく「逃走」の歴史を、自ら選択し、
歩んでいるとしか思えない。
生活のために障害者福祉のメリットは受けたいのだが、
自らを障害者だと認めることはできない、障害者なのである。

これから障害者を雇おうと思っている会社は、どうか障害者を、
その障害の程度や、過去のキャリアだけで採否を決めないでほしい。

障害者雇用で、最も大切なのは、本人の「働きたい」という、
純真さがあるかどうか、だと思う。

障害者雇用という、障害者の社会参加への入り口(門)を、
健常者の差別意識や無知・偏見で狭めたりしないでほしい。
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by bunbun6610 | 2014-01-30 18:30 | E.大手カー・ディーラー


ある聴覚障害者から見た世界


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