胃部レントゲン検査 - 会社の健康診断で、複雑な気持ちになったこと

副題;『聴覚障害者だけ検査を後回しにするのは、
面倒で邪魔だからなのだろうか?』


会社では年に一回、社員への健康診断を実施しています。
その実施通知が人事部から届いたときは、同じ部署の人と
一緒に受けることになっていた。

入社後、初めての健診で、聴覚障害者の自分の場合はどうなる
のだろうかと心配したので、一応、人事部に相談することにした。


私;「聴覚障害者の私は、健診当日は、どのようにコミュニケーション
を行うのですか?
特に、胃レントゲン検査のほうは心配です」

人事;「大丈夫。心配ないから」

私;「でも、レントゲン技師によっては、上手に誘導できる人、
そうでない人もいると、いろいろです。
うまくできない技師には、怒声のように何度も言われてしまって、
それでもわからず、時間がかかって、お互いにストレスになって
しまったこともありました」(※1)


(※1)放射線室という密室の中で、実際にあった事例です。
六本木Rビル内にあるクリニックでの事例です。



人事;「そういうことはないから・・・」

私;「いいえ、それだけではありません。
人間の胃は個人差があって(※2)、あるクリニックでは

「あなたの胃の場合は、バリウムが流れてしまうのが速いので、
迅速に検査を行わないと、精確な検査結果が得られない。
だから、コミュニケーション伝達も大事ですね」

と言われたことがあります。
実際に胃のレントゲン写真を見せてもらい、説明してくれました。
それと、放射線検査で時間がかかると、被験者への被爆量も増す(※3)
そうです」



(※2)
『胃レントゲン検査での聴覚障害者問題 (3)』
〔2012-01-02 22:09〕


参照。




(※3)詳細は、当ブログ

『胃レントゲン検査での聴覚障害者問題 (1)』
〔2012-01-02 21:07〕



または、

『聴覚障害者の胃レントゲン検査時のコミュニケーション支援システムの開発と評価』


参照。





人事;「なるほど・・・。
医療機関に相談したほうがいいな・・・」



そして、私は東京都予防医学協会にある、聴覚障害者にも
対応できる検診車や、手話、あるいは文字カードなどを使う
方法があることを話した。

文字カードの例は、下記をプリントして渡した。



====================================



手話番号   指示内容           手話           備考
  1   一口飲んで下さい       1/口/飲む

  2   全部一気に飲んで下さい   全部/飲む

  3   左へ1回転させてください   左/1回転

  4   右へ1回転させてください   右/1回転

  5   仰向けにして下さい   手の腹側を上にする

  6   うつ伏せにしてください   手の甲を上にする

  7   息を吸ってください   息を吸う身振り

  8   呼吸を止めてください   息/中止

  9   身体を斜めにして下さい(右を少し上げる)  例:5の姿勢からの場合、
その手話で右側を少し上げてやる(OKなら「OKサイン」、
違ってたら「NO」(首を横に振る)を出せばわかる)

 10   身体を斜めにして下さい(左を少し上げる)例:5の姿勢からの場合、
その手話で左側を少し上げてやる(OKなら「OKサイン」、
違ってたら「NO」(首を横に振る)を出せばわかる)

 11   両手で両側のバーを握っていてください  両手を握る

 12   身体を水平にして下さい    手を水平にする

 13   終わりました。お疲れ様です。  手話で「終わり」を表す

 14   OK                   手でOKマークのサインを出す。

 15  違う               ①首を横に振る。 ②手を左右に振る



====================================





その後、人事から連絡があった。
人事からは、次のように言われた。

人事;「あなたの場合は

「胃以外の検査にしても時間がかかりそうだから」

ということで、比較的空(す)いている日時へ健診日を変更しました。
それと、胃レントゲン検査は、別の日に、クリニックへ直接行って
もらうことにしたので、それはまた後日、連絡します」


こうして、かなり大変な設定になってしまいました。
なぜ、こんなに特別になってしまうのだろうかと、疑問に
思ったものです。
胃レントゲン検査の日時も、クリニック側の都合で決まったが、
それは「混雑を避けた日時」であることは明らかだったので

「良かったかなー?
(本当に「配慮してくれた」ということなのだろうか?)」

という気持ちと

「聴覚障害者が邪魔になるので、他の人と別設定にした
のではないだろうか?」

という気持ちと、半々になっていた。
それに、もっと遠くにある診療所にまで行かなければ
ならなくなってしまったのは、私のさらなる負担増になった。

個人的に、正直にこのクリニックのやり方を評価するとしたら、
「最低レベル」だと思う。

なぜなら、胃レントゲン検査を受ける準備として、前日の午後
8時から検査が終わるまでは、飲まず食わずで我慢しなければ
ならない。
検査時間が午前11時以降というのは、順番も最後のほうなので、
やっぱり我慢する時間も長くなり、しかも遠方へ出掛けなければ
ならないということも、被験者にストレスを与えてしまう設定だと
言わざるをえないと思う。

だから、どのクリニックでも、こういう検査項目がある健診の場合は、
なるべく早い時間に終わるように、予約の時間を決めていると思う。
しかも、幾ら面倒な聴覚障害者だからといっても、自分だけこれでは、
不愉快な気分にさせられるものだ。

私の場合、実際には11時に行っても、さらにまた30分待たされてしまい、
検査が終わって食事が出来たのは、午後1時になってからだった。

肝心の聴覚障害者に対する検査の仕方も、健聴者にする方法と
ほとんど変わらなかった。

これでは一体、診療所は何のためにこんな設定にしたのか、
全く理解できない。

この診療所の、聴覚障害者対応の事例を、できるだけ詳細に紹介しよう。
どの技師さんであっても、健聴者だから、検査を始める前に、
ほぼ必ずこう言うのだ。

(私の間近で)
「聞こえますか?」

私は

「今は聞こえますが、マイクの音声は苦手なのです」

と答えると、「わかった」と言い、そのまま行って、
コミュニケーション方法も説明せず、勝手に検査を始めてしまった。

検査準備が出来て、検査台(機械)の上に乗ると、技師はA4サイズ
くらいのカードを私に見せた。
それは文章も長すぎて字が小さすぎたので、非常に読みにくかった。
内容を覚えていないが、次のように書いてあったと思う。


「まず、コップを左手に持って下さい。それから、右手の薬(膨張剤?)を飲んで、左手のコップのものを飲んで下さい。ゲップはしないで下さい。次に、バリウムを一口飲んで下さい。その次は、全部飲んで下さい。」
(文章は、このように改行もしていなかった)



健聴者がつくった文字カードは、文章があまりにも長すぎるので、
文字が小さくなり、読みづらくなってしまうことが、すぐにわかった。

それに、このカードを見せてくれたのは一度だけ、
それもたったの10秒間ほどだけだったのだ。
これを今すぐ、全部覚えろと言うのだろうか。

それで私は、以前に別のクリニックが説明していた


「聴覚障害者のバリウム検査の際
以前は指示をプレートに書いたものをお渡しして
胃の検査を行っておりましたが
受診者がプレートを読むのに集中してしまい
思ったように検査が出来なかった経緯もあり
現在の方法を行っております。」



という言葉の事情は、こういうことだったのではないかと思った。
もしそうだとすれば、医療機関がつくったカードが悪かったという
ことになる。
これでは、誰だって読むのが大変だし、理解して動くのにも、
時間がかかって当たり前だ。


文字カードをどのようにすればよかったのかというと、指示内容を
もっと細切れにしてカードを分け、大きな文字で表示すればよかった
と思う。
そうすると、文字が見やすくなるだけでなく、指示が伝わったか
どうかも、技師もすぐにわかるはずなのではないだろうか。
(※4)



(※4)詳細は

『胃レントゲン検査での聴覚障害者問題 (2)』
〔2012-01-02 21:31〕



を参照。



ついでに、予防医学協会(※5)の検査機械に付属の手話・文字
ガイド付きモニターでは、被験者の至近距離にあり、文字も短くて
大きい。

その後は、もうカードを使わず、技師さんが大変そうに何度も、
ドアから出たり入ったりしてきて、そしてお決まりの
「勝手に被験者の身体を押して動かす」という行動パターン
になっていた。

「医療機関は全然改善案を聞き入れていない」

ということがわかり、私は頭に来てしまった。


帰りに診療所のトイレに行き、小便をしたら、トイレ内には
たくさんの被験者用検尿コップがズラリと並んでいた。
それが小便をする自分の顔の間近にあるので臭くてたまらなかった。

「何という、ずさんな検尿管理をしている診療所だろう」

と思った。


「もう二度と、あんな診療所には行きたくない」

と思った。
最低の診療所だったが、ここを利用している有名企業もかなり多い。
本当に、信じられないことだと思う。



(※5)【参考】

下の医療機関や、こういったシステムの場合は、聴覚障害者にも
胃レントゲン検査が、すごくスムーズにできます。


東京都予防医学協会

『胃のX線検査と聴覚障害者』
〔2011-09-20 20:41〕





日本財団助成による、胃部エックス線検診車




〔関連情報〕

ねこたさんのごった煮日和
『協力してね』
〔2008年 02月 06日〕




『聴覚障害者の受療における医療機関側の対応の実態調査』
(上野裕美 瀬戸瑠里子 仲宗根ありさ 林香里 牧野綾)




『あいち補聴器センターブログ すべては『聞こえ』のために!!
X線撮影で配慮を。』
〔2007年05月13日〕





一方では、専門のレントゲン技師さんが書いている、
あるブログに、当ブログへの批判的意見だが、
下の記事も見られた。

『蒼穹というモンスターペイシェント』
〔2013/6/24(月) 午後 9:39〕



しかし、「接待技術」優先思考だとか「クレーマー」として
片付けられる問題だろうか?

聴覚障害者は赤ん坊ではない。
言葉がわからないのではない。
そういう扱いを医療機関でも受けなければならないことに
対して、苦痛に感じるということが、医療機関の人には
わからないというのだろうか。
私はそうしたことに、非常な怒りを感じているのだが。
実際に気分を害している、こちらのことも考えてもらいたい
ものだと思う。

まず手話や文字ボード、画像などを活用してみて、

「それでも技師の誘導についてこれない場合は、触診して動かし、
検査精度を上げる」

ようにすればいいではないか。
あんな簡単な検査なのに、何度も触られることに対しては、
正直、怒りを感じているのだ。

「オレは、赤ん坊ではない!」

健聴者の一方的なやり方に対しては、医療行為といえども
怒りを感じざるをえない。




『聴覚障害者のための放射線部門におけるガイドライン』 



『[PDF] 聴覚障害者向け胃部検診システムの DR検診車への搭載』



『KAKEN 聴覚障害者の胃レントゲン検査時のコミュニケーション支援システムの開発と評価』



『県内初! 聴覚障害者に配慮した胃部検診車「房総22号」デビュー』



『胃部X線検査における聴覚障害者向け情報提供システムを開発
-手話と文字の表示により胃部X線検査の受診を容易に-』
〔2003年3月25日〕



『手話と文字の表示により胃部X線検査の受診を容易に
-日立製作所、胃部X線検査用の聴覚障害者向け情報提供システムを開発-』
〔2003/04/02(Wed.)〕

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by bunbun6610 | 2013-12-19 18:00 | 医療バリア&バリアフリー


ある聴覚障害者から見た世界


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