職場内障害者授産施設 (17)なぜ障害者はやる気がないのか①

あるとき、会社の人事部と障害者雇用問題の話をしたことがあります。


私;「入社してから、もう半年過ぎていますが、雇用契約書を
まだもらっていませんでしたので、下さい」

人事;「雇用契約書はありますが、何に使うのですか?
 裁判にですか?」

私;「裁判?! いいえ、違います。
確認したいことがありますので」

人事;「ちょっと待っていて下さい。
今、探してみますから・・・」

人事の人が、だいぶ時間が経ってから戻ってきた。

人事;「どこかにあるはずなのですが・・・。
雇用契約書は、ハローワークには出してあるはずですが、
労働者に必ず渡さなければならないという義務はないです。
ただ『雇用条件等明示書』ならば、ありました」(※)


(※)
この説明が、どこまで正しいのかは、かなり怪しいと思う。
私が以前に労働基準監督署で相談したときは、確か

「雇用契約書は、労働者に求められた場合には、
使用者は交付しなければならない」

だったと思います。
正確には、下記の情報を見てください。

http://www.taka-hayashi.jp/article/14216447.html

http://www.onyx.dti.ne.jp/~kinotaka/jouhou/0307.html



私;「大きな会社なら、雇用契約書は作成しています。
しかも、2部作成して、2部とも使用者(会社)、労働者双方
の署名捺印をして、一部は会社、もう一部は労働者に
渡されています」

人事;「・・・(無視している様子)」

私;「多分、雇用契約書はまだつくっていないと思います。
その『雇用条件等明示書』のコピーをもらえますか?」

すると、人事がコピーを取って、私にくれた。

それをよく見ると、ハローワーク求人票とは違う点があった。
しかも、私はそれにちゃんと署名していたのだった。

会社がハローワークに出していた求人票には、
「賞与あり」という記載があったが、雇用条件等明示書には
「賞与;なし」となっていたのだ。
私は入社時にその文をよく確認せずに署名していたので、

「自分だけはもらえないということになってしまう」

のだと思い、私はひどく落胆した。

他の障害者はもらっているのに、自分だけもらえないのだとしたら、
契約上の合意とはいえ、ちょっと納得できない。
このことについて、人事から正しい説明を聞いてみることにした。


人事;「ボーナスは、本当はあります。
あなたももらえますよ。
その明示書には「なし」と書いていますが、コンピュータ上には「あり」
となっているんです。
だから心配しなくて大丈夫です」

だいたい、このような説明だったと思う。


ところが、数日後になってから、人事の担当者から

「この前の説明に誤りがあったので、再説明させていただきたい」

という申し出があった。
それを聞くと、次のような説明になった。


人事;「ハローワークの求人票の場合は、ハローワークが定めている
書式があり、そこには夏冬に支払われる一時金は「賞与」としか
書かれていない。
当社では、社員には賞与があるが、パートさんには賞与はないんです。
だから、当社が独自に作成している『雇用条件等明示書』には、
「賞与なし」となっているのです。
でもそのかわり、パートさんには「寸志」があります。
ハローワーク向け求人票に「賞与あり」と書いてあるのは、実はそういう
意味です」

私;「『ボーナス』ではなく『寸志』というと、成果報酬ではないのでしょうか?
 障害者には能力評価は行っていないのですか?」



(実を言うと、私は前からAさんに

「障害者もボーナスはもらえるよ。
みんな5万円だよ」

と聞かされていたのだが、会社の障害者雇用の真実を知りたかったので、
わざと何も知らないフリをして、人事に質問していた。
人事はその質問に対し、次のように言う。)


人事;「いや・・・。
障害者にも能力評価はしています。
寸志の額も、段階設定があって1~5万円で、それは能力評価によって
決めています」

この人事の説明は「真っ赤なウソ」だと、誰にでもわかった。
健常者のパートも5万円、そしてあのやる気のない障害者Aさんも5万円
だと言っていたからだ。

私は、最高5万円までになっている理由を知りたくなり、もう少し質問してみた。


私;「なぜ5万円までなのですか?」
(なぜ障害者には、たったの5万円までと決まっているのですか?)

人事;「それは・・・。
パートさんのなかには税制のことも考えて「年収が○○万円以下のほうがいい」
という主婦の方もいて・・・それでです」


もしも読者が、私や障害者の立場だったとして、この説明をされたときの
気持ちを想像してみるといい。
納得できるだろうか。
やる気が失せてこないだろうか。
私は主婦じゃないのだ。
だから、人事のこの答えは、問題点をすり替えて、ごまかしているのだ。
「はぐらかされている」のだ。

果たして本当に障害者も、このほうがいいのだろうか。


私の勘で説明することを断っておくが、これには障害年金の所得制限が
関係しているのではないか、と思う。
それは、次のようになっている。

http://www.nenkin.go.jp/n/www/service/detail.jsp?id=3226



障害年金があるから、重度身体障害者(特別障害者)は低所得でも
生活できるのだ。
おかげで重度障害者は給料が安くてもいいのだからと、会社にとっても
助かっている。
それでダブルカウント障害者を雇用する企業もあるだろう。
仕事も今のような、ほとんどほったらかしの“福祉的就労形態”でいいのだ。

だがもし、健常者並みに頑張って、それなりの給料をもらい、その結果、
障害年金が減額されたり、ストップされてしまうのならば、その障害者は
どっちを選ぶだろうか。
答えは勿論、障害年金をもらえるほうがラクに決まっている。
私だって、そうする。

障害者のほうも

「仕事を頑張って稼ぐよりも、障害年金に甘えていたほうがいい」

と思っているのだ。


この話、今問題になっている何かと、似ていないだろうか。

そう、生活保護問題だ。
生活保護も「働かないほうがマシ」という風潮ができつつある。

障害者もそうだろう。
努力するよりも、ラクをしたい人のほうが多い。
もし、障害年金で足りなければ、親と同居するとか、不足分を
生活保護費で何とかしてもらっている障害者もいるかもしれない。

しかし、それはやはり、甘えではないだろうか。


「働かないほうがいい」と考えるのは、当ブログ


『障害者雇用の減退効果か、シナジー効果か』
〔2011-07-12 23:14〕



で述べているように、障害年金も生活保護と同様、受給者の
経済的自立を阻む要因、つまり働く意欲の減退効果がある
からだろう。

次のような事例もある。


『中途障害者の就労後問題点 ―「障害の受容」とは』
〔2013-04-10 20:09〕



だから私は、今の障害年金や、障害者を福祉漬けにしてしまう
障害者福祉や、職場内障害者授産施設に、疑問を持っているのだ。

それらを、すぐになくすことは難しいが、少なくとも、もっと別の
よい方法があるはずだ。
それに切り替えなければ、社会の負担はどんどん重くなってしまう
だろう。

将来的には障害年金なんか必要なくなるような、誰もが働けて、
平等な社会参加ができる社会になってほしいものだ。

会社も、今のほうが障害者との双方にとって好都合、と考えている
だろう。
差別はあるが、その代償として甘い就労環境(職場内障害者授産施設)
を特別に提供すれば、低賃金労働者と国からの障害者雇用助成金が
手に入る。

結局、今のままでは企業も障害者も、国庫金に甘えている状況は、
これからも続くと思う。

『障害者の経済学』は、この聖域にメスを入れようとしているのだが。

一流企業に30年以上も勤めている障害者もいるが、いまだに障害年金
を満額もらって生活しているという。
つまり、給料はほとんど上がっていない、というわけだ。

原因の一つには企業、障害者の双方とも、障害年金に甘えていると
考えられる。

それでも、その障害者は、会社の差別や不満は言いつつも、生活面では
満足そうだ。
だが、それが本当の幸せなのだろうか。



〔参考情報〕
他の方では、例えば、次のように考えておられる方もいます。

『障害年金と給与の問題について』
〔やべっち (2011年5月28日 17:31)〕

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by bunbun6610 | 2013-12-12 19:00 | E.大手カー・ディーラー


ある聴覚障害者から見た世界


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