トップがやらなければできない、トップにしかできない決断とは

「原発即ゼロ宣言」を、山本太郎議員が言うのならば、
誰も驚かないだろう。

しかし、元首相の小泉純一郎氏が突然、言い出したのだから、
周りも騒ぐようになったのだと思う。

何しろ、原発を推進し、交付金などさまざまなものを
ばら撒いてきたのは、小泉氏を含めた自民党だったのだから。

それが今になって一転し、即ゼロを、現首相に向かって、
鋭い論調で訴えるように方向転換したのだから、まるで
「裏切り者ではないか」とさえ思えてしまう。

しかし、そうだろうか。

震災であのような事故が起きるまでは、誰も原発の隠された
問題のことは、おそらく知らなかったのではないだろうか。

おそらく多くの国民が

「原発ほど、安くて安全なエネルギーはない」

と信じていただろう。

実際は、危険性や将来の問題点などの多くが隠されていて、
国民は騙されていたのだが。

今は、それを知った。
それならば、今度はどうするのか。
どうすればよいのかを、真摯に考えるときではないか。
今考えなかったら、また考えなくなってしまうだろう。
そうなってからでは遅い。

決して、小泉氏の言っていることは、突飛でもなく、
まして変人でもない。
似たような人物が、過去にいた。
それは誰なのかというと、故森稔氏(森ビル株式会社・前社長)だ。

約10年前の六本木ヒルズでの回転ドア児童死亡事故は、
日本中で騒がれた。
森氏は、この事故で人が亡くなられたことを非常に悔やみ

「(回転ドアは)二度と使わない」

と言った。
そして、事故後、ただちに、森ビルが管理している全てのビルから、
回転ドアを、一つも残さずに撤去したのである。
さらにこれだけではなく、施設全体の安全性向上の運動にも取り組み、
より安全な街づくりに貢献した。
後になって聞いた話では、この安全対策には、たった2、3年で
数十億円を遣い果たしたのだという。
森ビルの財務状況も当然、悪化した。

「何も、(急いで)そこまでしなくても・・・」

と思う人も多かったかもしれない。
けれども、従来型のスライド式ドアほどの安全性を示せていなかった
回転ドアは、それ以上使い続けるわけにもいかなかったのだろう。
私も、回転ドアの継続使用に反対の意見を、森社長宛に書いていた。(※)


(※)当ブログ

『六本木ヒルズ回転ドア事故<4> -『森ビルへの抗議文』-』
〔2011-04-19 20:07〕


参照。



やっぱり、トップがやらなければできない、トップにしかできない
決断というものがある。
それ次第で、会社の危機や、将来も変わるのだ。

このような決断力、そして実行力は、森氏の反省心の強さを表して
いたと思う。
日本の首相は大丈夫だろうか。

そして

「森氏と小泉氏は、ちょっと似ていないだろうか」

と思う、この頃である。



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http://takumi296.hatenablog.com/entry/2013/03/26/042522


『takumi296's diary

技術士・匠習作の考へるヒント』より。(全文)


小さな命を奪った、六本木ヒルズの回転ドア

2013-03-26


2004年(平成16年)03月26日午前11時30分頃、東京都港区
六本木の大型複合施設「六本木ヒルズ」内の森タワー二階正面
入口で、母親と観光に訪れていた6歳男児が三和タジマ製の大型
自動回転ドアに挟まれて死亡した。

男児は母親より先に森タワーに入ろうと小走りで正面入口の三和
タジマ製の大型自動回転ドアに入りかけ、回転するドアとドア枠に
頭部を挟まれた。
回転ドアの重量が重く、停止動作開始後に停止するまでに時間が
かかること、および男児がセンサの死角に入り緊急停止が働かな
かったことが主な原因である。
後からきた母親と近くにいた人たちが、ドアを逆回転させて助け出し
たが、すでに男児の意識はなかったという。
その後病院に搬送されたが、約2時間後に死亡した。

事故当時は男児の反対側のスペースに人がいたため、ドアは3.2
回転/分、周速にすると約80cm/秒の速度で回転していた。
この回転速度はより多くの人の出入りを可能にするための処置で、
本回転ドアの最高速度であった。
また、天井のセンサは、同様の理由で感知距離を1.6mからさらに
40cm短くしていた。

事故後、刑事訴訟で森ビル側の管理過失および三和タジマの製品
製作上の過失が認定された。

原因

1.回転ドアの回転部が重すぎた
回転ドアは回転部の重量が増すほど、回転の慣性力が大きくなり、
挟まれたときの危険度が増す。
本回転ドアのオリジナルのブーンイダム社(オランダ)の回転部の
重量は1トン以下であった。
それが3倍近い2.7トンの重量となっていた。
このオリジナルからの危険性の増大について、ドアメーカ、ユーザ
(ビルオーナー)、ビル建設会社ともに気付いていなかった。

2.センサーに死角があった
ドア天井のセンサーの感知距離の設定が地上から約120cmに対して、
男児の身長が117cmであり死角に入ってしまった。
またドア枠には地上15cmの位置に真横に赤外線センサも設置されて
いたが、頭から男児が駆け込んだため、足を感知しなかったと推定される。

3.制御安全への過信
危険をセンサで感知して緊急停止させる「制御安全」に頼る設計となって
いた。
しかし、事故当時回転速度が最速に設定されていたため、実際には
センサで緊急停止がかかっても、慣性力で完全に停止するまでには
25cmも動くようになっていた。

4.安全管理の欠如
森タワーが2003年4月25日にオープンしてからこの事故までの1年弱
の間に、大型回転ドア12件、小型回転ドア10件の事故が発生していた。
しかも大型回転ドアのうち7件はいずれも8歳以下の子供が体を挟まれた
もので今回と類似の事故であったが、駆け込みを防止するための簡易
ポールを立てるなどの簡便な対応で終わっていた。

//// ここまでは、失敗知識データベースから省略・加筆して転載した。

技術者倫理の本にも良く紹介される事故例である。
あれから、9年も経つのかと言う思いがする。
この事故から、全国で大型の回転ドア数が明らかに減った。
ドアには、
「10ジュールの法則」と呼ばれる暗黙知がある。
作用する力が10ジュール以下なら安全というものである。
しかし、大型回転ドアのエネルギーは凄まじく、10ジュールなど言う物
ではない。
事故を起こしたドアの場合は、2.7トンのドアが外周速80cm/秒で回転
していた。
子供がはさまれた最外周では、約8000ニュートン(800キロ)の力が
作用しエネルギー換算では8000ジュールになる。
これは、子供ではなくとも人間の体が破壊される力である。
この事故の際、ネット上では子供の手を離した母親を非難する声があった
と聞いた。
しかし、それは間違いだ。
ドアに挟まれただけで、死に至ることになると普通の人は考えない。
考えるわけがない。
加えて、この事故から遡り、1年弱の間で32件も人が挟まれる事故が
発生しているのである。
事故の対策を本気で考え、現場を確認する管理者や技術者がいれば
十分に防止できた事故だと思う。
何しろ、ヒルズ側が行った対策は、ビニールテープを張って「危険」と注意
をしただけである。
また、何かが挟まれば停止するはずの安全制御装置は、信号が入って
から停止するまで20センチも動くものであり、2.7トンのギロチンが20センチ
動いたら大人でも怪我をするだろう。

回転ドア自体は、まだ未成熟な新しい機構である。
そのため、六本木ヒルズに限らず全国で事故が起きている。
この事故を契機に全国の回転ドア(特に大型のもの)が撤去されたのは良い
ことだと思っている。
実を言うと、私自身、池袋駅前のホテルにあった回転ドアに挟まれたことがある。
よそ見をしていた、私が悪いのだがその時も回転ドアは危ないものだと思った。
そのホテルは、六本木ヒルズの事故後、すぐに回転ドアを撤去している。



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by bunbun6610 | 2013-11-30 18:00 | 原発問題

ある聴覚障害者から見た世界


by bunbun6610