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蒼穹 -そうきゅう-

職場内障害者授産施設 (11)企業の本音は?②

私の職場には3人の障害者が働いています。
内臓の障害とうつ病を抱えるAさんと、脳性マヒ障害者Bさん、
そして聴覚障害者である私の3人です。

会社は障害の特性により、仕事の内容を変えるように
配慮しています。

ただ、これまですでに述べたように、それがどうも疑問に思う
ことも度々あります。

Aさんのうつ病再発を恐れる上司は、Aさんが嫌がる仕事は
依頼できません。
それでAさんは自分の都合のいい仕事しかしたくないように
見えます。

Bさんは脳性マヒ障害という、3人の障害者の中では最も
重い障害を持つ人なので、仕事内容にはかなりの制限が
あります。

その結果、障害者の中で最も幅広い仕事を任され、最も
重労働な仕事を頼まれるのが聴覚障害者の私です。

実はこの会社は、応募の際、履歴書を郵送したらすぐに

「面接をしたいので、一番早い面接可能日を教えて欲しい」

というメールが届きました。

約3日後の面接可能日を伝えて行ったら、いきなり

「いつから来られますか?」

と聞いてきたので、驚いてしまいました。
書類選考と一目見ただけで合格だったわけです。

確かに、障害者に任せる仕事内容は簡単なので、
普通の聴覚障害者は全く問題ないとは思います。

私は少し不安になってきたのですが、条件を2つ
お願いしました。

すると、その条件も即答で飲んでくれるというので、
その場ですぐに決めたい、という会社側の様子が
わかりました。

入社して、半年ほどしてからわかったのですが、
私が配属された職場にはAさん、Bさんのような
障害者がいます。
(本当は、Bさんは私の後から異動されてきましたが)

その人たちには仕事内容に制限があるため、
代わりにできる障害者が欲しかったようです。

また特に、これからやる業務には重労働も含まれて
います。

「健常者並みに、体力の要る仕事もこなせる障害者が、
どうしても欲しい」

ということらしく、男性の聴覚障害者を望んでいたようです。

実際、D上司はAさん、Bさんにはほとんどかまっていなくて、
私ばかりを遣うようになりました。
他の障害者は使いにくかったのは明らかでした。

それに気づいたとき、当ブログ

『NHK『バリバラ』 障害者の悩み -就労 (1)』
〔2013-04-21 18:00〕




で述べていた

「障害者にしてもらう仕事がない」

という企業側の言葉を思い出しました。


この理由は、果たして本当だろうか。
本当かもしれないが、単に「仕事がない」という理由だけでは
ないのではないだろうか。

会社は、Aさん、Bさんという障害者に配慮して、仕事内容は
限定しています。

しかし、本当にこれだけの仕事しか、任せられないのだろうか?
そこに非常に大きな疑問を感じます。

他の障害者たちの消極的過ぎる勤務態度、なかでもAさん
のような「ワガママではないのか?」と思える対応にも問題が
あると思います。
D上司は「それならば」と思い、聴覚障害者の私にばかり、
仕事を押し付けてきます。
D上司はそれで「問題が解決した」と思っています。
しかし、それで大変な思いをしているのは、聴覚障害者のほう
なのです。

初めのうちは

「しようがないから」

と思っていましたが、次第に

「これは、不公平なんじゃないだろうか」

と納得のいかないように思えてきました。
それをD上司や重役にも伝えると、
D上司は私を密室に連れ出し、こう言いました。
(筆談で)

「スマン。
差別するつもりはないんだ。
オレも、オレの妻も障害者なんだ。
妻の介護で大変だよ。
君と同じだから、大変なのはわかるよ」(※1)


(※1)D上司の障害名は知らないが

「難病で、薬を毎日飲むだけで症状は抑えられるので、
普通の人と同じに暮らせる」

という。
薬は高価なものらしく、国からの補助金があるそうです。
したがって「身体障害者」というより「難病者」ではないかと思う。
健常者と同じように仕事が出来るのだから、障害者雇用で
働いている障害者とは、だいぶ違うのだ。




D上司は続けて次のように言った。

「サラリーマンは“何か言われているうちが華”だよ」

この意味は私もわかっている。
これで、AさんやBさんがなぜ仕事をしていなくても、
何も言われないのかがわかる。
D上司は、彼らはもはや“華”ではないと思っている。

Aさんについては、部長も言っていたように

「元上司だった人だから、誰でもAさんに言いにくい状況」

だからだ。

そして、Bさんについては

「障害が重いから、仕事を頼みづらい」

とか

「時間かかかってしまう」

といった理由があるようだ。

それでどの上司も、仕事はなるべく私に頼むようになっています。

だけど、D上司の、他の障害者に対してだけの同情論的な説明に、
私は納得できませんでした。(※2)



(※2)
この話を聞く前にAさんに

「なぜ皆は忙しいくらい仕事があるのに、障害者には
仕事を分けてくれないのでしょうか?」

Aさんはこの部署の元トップだったので、
その答えをわかっていました。

「みんな、自分でやっているから」

今のD上司は「できるだけ自分でやれ」と全社員に指示、
教育しているらしい。
そうなると、障害者を雇用していても結局、
障害者には仕事が無い、ということになってしまう。

理由は説明してくれなかったが、顧客から信頼されて
引き受けた受注だから、自分で各自、責任を持ってやる
ように、ということらしい。

しかし、人事部では障害者の法定雇用率を守るのが仕事であり、
配属部署には障害者の雇用を創出してもらいたい。
その板ばさみの状態に、働く障害者がいる、というわけです。



D上司に、私はこう切り返した。

「あなたと、私の障害は違います。
あなたは健常者と同じように仕事ができるわけだし、
現にしている。
しかし聴覚障害者は、健聴者と同じにはできないのです。
耳が聞こえないだけで、差別を受けています」

D上司は聞く耳がないらしく、こう言いました。

「今のようなことは、良くないよ。
キミのためにはならないから」

話はそれで終わりでした。


この事例からもわかるように、健常者の本音は

「障害者にしてもらう仕事がない」

のではなくて

「障害者に任せられない」

というのが本音なのです。
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by bunbun6610 | 2013-10-19 19:00 | 就労後の聴覚障害者問題E