健聴者も手話を使っていた島 - ヴィンヤード島

副題;『ろう者差別がなかったヴィンヤード島』


手話が公用語(二言語併用法)になっていた島が、
アメリカにあった。

この島のろう者と健聴者には、
一般社会のような“言葉の壁”などなかったのです。

現代では、こういった集団が模擬的にならある、
と思います。
そこも今や壊滅的な状況ではありますが、
たとえば日本の手話サークルではないでしょうか。

ろう者がお客様としてたまにやって来る程度
に過ぎなくなりましたが、
昔はもっと多くのろう者が来ていました。

手話サークルは、もともとは健聴者も難聴者も、
ろう者の手話を学ぶところでした。

この事例を、日本に長期滞在中で日本文化にも詳しい、
外国のろう者に聞いてみると

「日本のように、健聴者や難聴者も手話を学び、
手話講習会や手話サークル、テレビ番組でも
手話の勉強があるというのは、世界的にも
非常に珍しい例だ」

と話しました。


ただ今は、残念ながら近年はろう者と健聴者との間に、
ズレが出来てきてしまっているようですが・・・。

障害者福祉としての「手話通訳」(中間型手話)と、
聾文化における「ろう者の手話」(“日本手話”)は違う、
と認識されるようになってきました。

両者は違います。



〔参考情報1〕 「ウィキペディア」より。

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%89%8B%E8%A9%B1

『世界の手話』を参照。

「マサチューセッツ州にあるマーサズ・ヴィニヤード島には
ヴィニヤード手話(ヴィニヤードサインランゲージ)と呼ばれる、
独自の手話がある。
この島は米本土に近いが、以前はなんらかの理由で本土との
交流が少なく、半ば隔離され閉塞された環境だったため、
近親婚が行われ、元来からの聴覚障害遺伝子が拡大し聾者が
多く出生した。
これに伴って独自の発展をとげたのがこの島独自の手話である。

この現象はいわば「自然のもたらした言語学的、社会学的実験」
であった。
ここでは家族、親族の中に必ずろう者がいるという特殊な社会的
条件から、聴者も流暢に手話を使い、しばしば音声語と手話は
併用されていた。

彼らにとって手話は特別な物ではなかった。
歴史的調査をする研究者が

「当時その話をしてくれたのは聞こえる人でしたか?
聞こえない人でしたか?」

と質問しても、当人達は相手がろう者か聞こえる者だったかさえ
思い出すことができないほどだった。
彼らにとって「聞こえないこと」は偏見や差別の原因とはならなかった。
ろう者はコミュニティーの一員として確固とした立場を保っており、
市長や社長に就任する者もいた。
この島では使用言語の優位性に基づく差別がなかった[要出典]。

こうした独自の手話が自然発生した例には、ほかにもニカラグアの
全寮制ろう学校で誕生したニカラグア手話、ろう者が非常に高い
割合で生まれる村落で自然発生したアル=サイード・ベドウィン手話
とアダモロベ手話などがある。」




〔参考情報2〕
『みんなが手話で話した島』
(ノーラ・E・グロース/著 佐野正信/訳
1991年11月11日/初版発行 築地書館株式会社/発行)

「ヴィンヤード島に限って見られた特徴とは何かといえば、
それはこうした遺伝の発生に対して社会的に適応して
みせたことである。
ヴィンヤード島では、三百年以上にわたり、健聴者が島の
手話を覚え、実生活の場でそれを用いていた。
島の健聴者の多くは、ちょうどメキシコとの国境沿いでくらす
今日のアメリカの子供が英語とスペイン語を覚えてしまうのと
同じように、英語と手話という二言語を完全に併用しながら
大人になっていった。

ろう者の社会生活や職業生活を制限しているのは、聞こえない
という障害ではなく、まわりの健聴世界との間に立ちはだかる
言葉の壁なのだ――ろう者がしばしばこう発言しているのを
考えると、ヴィンヤード島で見られた情況には大きな意義が
あるといえよう。

そのような壁が取り除かれたとき、どのような情況が生じるの
だろうか。

ろう者は、そしてまたほかの障害者は、社会が万人に適応
しようとした場合、自由に社会にとけ込めるのだろうか。

ヴィンヤード島は、こうした問いかけに対する答えを見つける
のにうってつけの場所である。
そしてここ十年間、障害者の権利拡大運動が世界中で大きな
盛り上がりを見せていることを考えると、現在ほど、こうした
問いかけをするのにふさわしい時期もない。障害者や障害者
の集団が、障害者の問題の多くは、肉体や感覚や精神の障害
から生じるのではなく、障害者のまえに立ちはだかっている壁
――つまり人間関係や障害者観や法律の壁から生じるのだと
いうことを声高に主張している。

かれらのいい分はこうである。

『少しだけこちらに合わせてください。
そうすれば社会のお役に立てますから』。

今や障害者の問題は、医学とリハビリテーションの領域から
市民権の領域にその射程を移し変えている。
障害をもつ市民が社会にとけ込もうとしたとき、本当に社会の
側では、そうした情況に適応したり、そうした情況から何かを
引き出したりできるのだろうか。
ヴィンヤード島の住民が三百年間にわたって経験したことは、
この問いかけについて考える手がかりを与えてくれるはず
である。
それは私たちすべての将来とじかに関わる『自然の実験』
だったのだから。」
(『はじめに』より)

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by bunbun6610 | 2013-10-02 18:30 | 手話


ある聴覚障害者から見た世界


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