職場内障害者授産施設 (9)悩みは、部下を公平に見ている上司に相談する

副題;『障害者が職場で特別扱いされる理由』

人事の障害者雇用担当者は、まだ異動されて
日が浅い、新米の人だったので、
相談してもうまくいかなかったのだろう。

それで今度は、職場の部長に
話してみることにした。

人事は遠く離れた本社の中で、私のいる部署
の事情はほとんど把握していない。

しかし、部長は違う。
部長はいつも職場にいて、毎日、全員を見渡して
おり、AさんのこともBさんのことも当然よく知って
いる。
勿論、私の仕事ぶりも、ちゃんと見ている。


部長;「どうしたの?」

私;「実は、辞めようかな、と思っています」

部長;「そういえば、あなたは初めの頃は仕事熱心
だったが、最近はちょっと落ちてきた気がする。
何で? 今まで一緒にやってきたのに。
話してみて」

私;「F上司が、パンフレットや、Aさんと事前打ち合わせ
をして、そして天候や気分などで、仕事内容を割り当てて
いるようです。
肉体的に重い仕事も、D上司が私を指名してばかりで、
大変だと思います。
でも元々は、人事との面接で事務補助の仕事と今の
仕事を、といった仕事内容のはずでした。
それが、Bさんがここに来てから、事務補助の仕事を
全部Bさんにとられてしまい、私は二人が出来ない
仕事をやるという形になってしまいました。
これでは入社前の、最初の説明とは違ってきてしまって
います」

部長;「Aさんはね、実はここのバリバリのトップだった
人です。
でも、障害者になってしまい、その地位から降ろされた。
ここにいる誰よりも偉かった人です。
だから、今のどの上司も、言いにくいんだ」

私;「そのことは知っています」

部長;「Aさんは義理が厚い人です。
例えば、○○さんの会社が倒産したとき、○○さんを
この会社へ引き入れたのはAさんだ。
ここにいる人は、みんなAさんに何かしらの恩がある
から、Aさんに指示などはしにくい。
僕も、今の重役も、みんなAさんの部下だった」

私;「そうだったのですか。
わかりました」


部長;「それから、Bさんはね、実は脳性マヒ障害だけ
じゃない。
頭もなんだ。」

私;「頭・・・もですか? 人事はそれを知っている
のですか?」

部長;「知っている。
Bさんには出来ない仕事もある。
例えば、複雑な仕事を覚えるのは時間がかかる。
だから、あなたにやってもらったほうが早いね」

私;「・・・」(諦めるというか、納得するしかない表情で)


見た目にはわかりづらいことだが、
確かに、Bさんには知的障害や発達障害のような
面も見られる。

結局、部長もAさんやBさんをかばっている面もあるが、
各上司の今までの各障害者に対して行っている、
仕事の割り当て方では私にも無理がきてしまうことは
理解できるそうで、今後、各上司を集めて考えてみる
ことになった。


部長;「他には?」

私;「F上司の筆談が、何を言いたいのかわかりにくいです。
仕事の指示も要領が悪くて、時間がたつにつれてコロコロと
変わってしまうので、イライラしてしまいます。
それならば、仕事内容がハッキリと決まってから指示を
伝えてほしいです」

部長;「単刀直入。これだよね。
でも、言い回しをする人もいる。
いろんな上司がいる。
サラリーマンの宿命だよ。
僕だって、××さんが嫌いだと言っても、
上司は選べない。
だから、みんな我慢だよ」

私;「サラリーマンって、そうですね・・・」

部長;「我々の仕事は、顧客の都合に最大限合わせて、
努力すること。
だが今後は、できるだけ仕事をまとめてから指示を
伝えるよう、各上司に伝えておく」

私;「よろしくお願いします」


その後、Aさんの様子も次第に、変わっていった。
この件が重役にも伝わり、Aさんに慎重に改善案を
伝えたようだ。
それ以来、Aさんの都合で仕事内容がコロコロ変わったり
することも、なくなってきた。




この文章は、音声会話のように書かれているが、
それは次の理由によります。
相手が筆談した原語をそのまま記憶することは難しい。
印象を憶えて再現しているためです。

通常、筆談で書かれた言葉は淡白で、
印象を持ちにくいものです。
そのため、音声会話ではあるはずのニュアンスを
感じ取るようにしています。
ニュアンスを感じ取るということは、
話し手の表情や仕草など、視覚情報から本心を
感じ取るということで、コミュニケーションでは
重要だと思っています。

相手が書いた言葉を表面的に理解したりはしません。
したがって、書かれた内容に主観的解釈が
入っていることは否めないと思います。

例えば、相手の筆談しているときの態度が短気で
読みにくい文字で書いている場合には

「こちらの気持ちなんか考えていない人」

「結局、自分の言い訳や言いたいことしか書かない人」

と感じる場合があります。
そんな場合は、そういう印象に書くことになります。

今回、部長の説明には全面理解とはいきませんが
「やさしさはある人だな」と思いました。

健聴者が親しい人と噂話などの音声会話をしているときも、
無意識に同じことをしているだろうと思います。

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by bunbun6610 | 2013-10-16 18:30 | E.大手カー・ディーラー
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ある聴覚障害者から見た世界


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