乙武氏がレストランで入店拒否されたことで…。

乙武氏がレストランで入店拒否されたことで
…健常者も障害者も学ぶこと。


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http://ototake.com/mail/307/

『OTO ZONE』(乙武匡洋オフィシャルブログ)より。

『イタリアン入店拒否について』

(2013年5月21日)

軽率だった。
自分でも、冷静さを欠いた行為だったと思う。

では、なぜ僕はあのとき、店名を挙げるという、
多くの方からお叱りを受けるような愚挙に至ったのか。
ここに記しておきたい。

 19時過ぎ、一週間ほど前に予約していた店に到着した。
奥にエレベーターが見えたが、ビルの入口に三段ほどの
段差があり、車いすではビルに入ることさえできない。

しかも、エレベーターも店舗のある2階には止まらない
ようだった。

僕の使用する電動車いすは100kgの重量があるため、
こういう場合は歩道に“路駐”して、僕の体だけ店内に
向かうしかない。

 お恥ずかしい話だが、自分で店を予約する際、
あまりバリアフリー状況を下調べしたことがない。
さらに、店舗に対して、こちらが車いすであることを
伝えたことも記憶にない。
それは、とくにポリシーがあってそうしているわけではなく、
これまで困ったことがなかったのだ。

 普段は、事務所の男性スタッフが店まで送迎して
くれることが多い。
だから、たとえ段差だらけの店であっても座席まで
抱えてくれる。

スタッフが不在の場合でも、友人たちが代わりに
抱えてくれる。
また、店のスタッフが抱えてくださることも少なくない。
いざとなれば、僕は自力で階段をのぼることも
できるので、デニムを履いている日などは自分で
上がっていってしまうこともある。

 だが、この日はすべてタイミングが悪かった。
事務所のスタッフは仕事の都合で来れず、
当日同行していたのは、ひさしぶりに会う約束を
していた女性の友人。

身長150cm台の彼女が、僕を抱えて2階まで
上がることはまず不可能だ。
自力で歩いていこうかとも思ったが、あいにく
この日は仕事の都合でスーツを着ていた。
10mほど先の階段まで歩き、さらにそこから
尻を擦るようにして階段の上り下りをすれば、
スーツは泥まみれになるだろうし、
下手すれば破れてしまうかもしれない。

 もちろん、すべてこちらの事情なのだが、
ここまで悪条件が重なってしまうと、どうしても
お店のスタッフにお手伝いいただくしかない。

僕は路上で待機し、友人だけがお店に向かい、
様子を聞いてきてくれることとなった。

 店内は、僕らが想像していた以上にこじんまり
とした造りだったようだ。
スタッフは、店主と思しきシェフがキッチンを
一人で切り盛りし、もうひとりの大柄な男性
スタッフがホールを担当していたという。
土曜日の夜ということもあり、店はずいぶん
繁盛していたようで、おふたりとも忙しく立ち
働かれていたという。

彼女はホールスタッフの男性にこちらの事情
を伝え、階下で待つ僕の体だけを店内まで
抱えてもらうことができないかと頼んでくれた。

彼は

「いまは手が離せないので難しいけれど、
手が空き次第、迎えに行きます」

と言ってくださったそうだ。
その言葉に安堵した友人は、そのことを
伝えるため、路上で待つ僕のところに戻って
きてくれた。

しかし、10分ほどお待ちしていてもスタッフが
来られなかったため、友人がもう一度、様子を
うかがいに店まで行ってくれた。
しばらくして彼女の存在に気づいたホール
スタッフの男性が、

「ようやくひと段落したので」

と階下に向かってくださろうとした。
そのとき、店主がキッチンから出てきて、
彼女にこう伝えたのだそうだ。

「車いすのお客様は、事前にご連絡いただかないと
対応できません」

「あ、でも、車いすは置きっぱなしで、
友人の体を抱えていただくだけでいいんです
けど」

「ほかのお客様の迷惑になりますので」

 おそらく、店主は

「ひとりの客を抱えるためにスタッフが数分でも
不在になると、せっかく作った料理が最高の
タイミングで提供できなくなる恐れがある。
そうなれば、ほかのお客様にご迷惑がかかる」

ということが言いたかったのかもしれない。

だが、彼の表情や言葉のチョイスはそうした
ニュアンスを伝えられなかったようで、
友人はひどくショックを受けてしまったようだ。

「車いすの人が来たら、迷惑ってことですか?」

「そういうわけじゃ……とにかく、うちは店も狭い
ですし、対応できません」

 僕はその場にいたわけではないので、
どこまで彼らのやりとりを忠実に再現できている
かはわからない。

だが、とにかく彼女は店主の言葉や態度から

「排除されている」

という感覚を強く受けたという。

 女性ならではの感性かもしれない。
このやりとりに傷ついた友人は、泣きながら
階段を駆けおりてきた。
僕は予期せぬ出来事に目を白黒させていたが、
話を聞くうち、ひさしぶりに会った友人が、
僕のせいでこれだけ悲しい思いをしてしまった
ことに、ただただ申し訳ない気持ちでいっぱい
になった。

 ふたりでその場にたたずんでいると、40代くらい
の店主が階段を下りてこられた。
僕の姿を確認すると、一瞬ギョッとしたようだった
が、すぐに気を取り直し、僕に向かってこう口にした。

「エレベーターが2階には止まらないって、
ホームページにも書いてあるんですけどね」

「ああ、そうでしたか。
僕、今回は『食べログ』を見てお電話したので……」

「何を見たかは知りませんけど、予約の時点で
車いすって言っとくのが常識じゃないですか?」

 キョトンとしてしまった。
僕は、いまなぜこの人にケンカを売られている
のだろう?
いや、もしかしたら彼にはケンカを売っている
つもりなどないのかもしれない。
でも、それはどう考えても初対面の相手に放つべき
言葉ではないと思うし、あきらかにケンカを吹っかけ
ているようにしか思えない口ぶりだった。

「そうですよね。
事前にお知らせもせず、失礼しました」

 この状況でも、こんなセリフが素直に口をついて
出てくる大人に、僕はなりたい。

でも、僕はなれなかった。
愚かなことに、そのケンカ調の言い草に、ケンカ調
で返してしまったのだ。
それは、僕の友人を泣かせるような対応をした
ことに対する憤りもあったかもしれない。

「いや、それが常識なのか、僕にはわからないです。
そもそも、僕はこれまで一度もそんなことをせずとも
外食を楽しんできましたし」

「いや、常識でしょ」

 他人を小馬鹿にしたような笑みを浮かべる店主に、
ますます僕は頭に血がのぼってしまった。

「じゃあ、それが本当に常識なのか、
広く世に問うてみましょうよ」

「ええ、どうぞ」

 もう、この頃になると、僕は激昂状態だった。
こんなに冷静さを失ったのは、いったい何年ぶりだろう。

 このあと、二言三言やりとりがあったかと思うが、
残念ながら記憶が定かではない。

だが、店主が最後に言った言葉だけは絶対に忘れない。

「これがうちのスタイルなんで」

 その言葉はとても冷たく、これ以上のコミュニケーション
を拒むひとことだった。

扉を、閉ざされた思いがした。
この時点で、僕は完全に思考停止となってしまった。

 彼はTwitterで、

「うちのスタイルだなんて言ってない」

と否定しているが、なぜそんなウソをつくのか。
もしくは、記憶から抜け落ちてしまったのか。
だけど、僕は絶対に忘れない。
ついさっき、女性ならではの感性かも――と書いたが、
けっしてそんなことはない。

僕もいま、この瞬間、はっきりと彼によって排除された
ような腹立たしさと情けなさとを感じとった。

仮に彼にその意図がなかったとしても、彼の態度は、
言葉は、表情は、残念ながら僕らふたりに、
くっきりとそのような印象を与えた。

 ネット上の声を見るかぎり、僕は

「店側に抱えてもらえなかったことに逆ギレした」

となっている。
でも、それはまったくの誤解だ。

 これまで何とかなってきたことで必要性を感じて
いなかったとはいえ、事前に連絡をしていれば
スムーズにご案内いただけたかもしれない。
これは、僕の落ち度。
だから、お店の状況によっては対応が難しく、
結果的に入店が難しいと言われても、

「じゃあ、またの機会にお願いします」

と笑顔でその店を後にすることができる。
僕にだって、それくらいの理性と常識はある
つもりだ。

 相手が、理性と常識あるコミュニケーションを
図ってくださるなら。
 
 ここだけは誤解されたくないので、
繰り返させてほしい。
僕はいきなり訪れた店で無理難題を吹っかけて、
それが受け入れられなかったから逆ギレした
のではない。
客とか、店主とか、そんな関係性を抜きにして、
はなから相手を小馬鹿にしたような、見下したような、
あの態度が許せなかったのだ。

彼の本意がどこにあるにせよ、こちらにそう受け
取らせるコミュニケーションに、
僕は深く傷つき、腹を立ててしまったのだ。

 僕はあのお店の料理に惹かれ、ひさしぶりに
会う友人との会食を楽しみに、お店へと向かった。

でも、そんなワクワク感もぺしゃんこになってしまった。
わずかでもいい。

「何かできることはないか」

「どうにか店の料理を味わってもらうことはできないか」

――そんな心意気が少しでも感じられたなら、
結果的に入店がかなわなくとも、
僕は気持ちよくその店をあとにすることができたと
思うのだ。

だが、彼の態度から、そうした心はまるで感じられ
なかった。
僕らは、刺々しい扉のまえで門前払いをされたような、
とてもさみしい気持ちになってしまった。

 そんな思いが、店名を公開するという安直な行為に
結びついたことには、深く恥じ入るしかない。

「こんなひどい対応をされた」と、普段から応援して
くださっているみなさんに泣きつきたかったのだ。
愚痴りたかったのだ。そうでもしなければ、
とてもやりきれなかったのだ。

当日夜のTwitterでは、店名を公開した理由として

「僕のように、こんな悲しい、人間としての尊厳を
傷つけられるような車いすユーザーが一人でも
減るように」

と書いたが、その思いにウソはない。
だが、あの日の僕は、あきらかに正常な判断能力を
失っていたことも、あわせて告白しなければならない。

 僕が公開したことによって店側に抗議の電話などが
行き、業務に支障などきたしていたら、それは本当に
申し訳ないし、本意ではない。

僕がみずから蒔いた種とはいえ、みなさんには絶対に
そうした行為は行わないでほしい。

 もし、僕があのとき冷静さを保っていられたなら、
店名を伏せて、

「じつは、こんなことがあったのですが」

という形で報告できていたなら、それは

「飲食店のバリアフリーを問う」

といったテーマで広くみなさんに議論していただく
ことが可能だったかもしれない。
それが、ひとえに僕の未熟さにより、その機会を
つくれなかったこと、猛省しています。

 もしかしたら、あの店主も、ただ不器用で、
人づきあいがうまくないだけなのかもしれない。
もしそうだとしたら、もう一度、あの店に行って、
カウンター席にすわって、

「シェフ、この料理おいしいですね」

なんて会話を交わしながら、舌鼓を打てたらいい。
そこでふたりで写真を取って、Twitterでアップでも
したら、今回の幕引きとしては美しいのかもしれない。

 でも、ダメだった。
 あの日の夜のことを思うと、どうしてもそうした気分
になれないのだ。
そんな未熟な自分が、いまはただ腹立たしい。
まだまだ、僕は人間が小さいのだと痛感させられる。

 今回の件で僕に対して批判的なみなさんが、
このブログを読んで考えを変えてくださるとは思って
いません。
でも、ウソをついてまで、何かを偽ってまで釈明しようと
いう気にはどうしてもなれませんでした。
ここまで書いたことが、あの夜に思ったことすべて。
これ以上でも、以下でもありません。

 長文を最後までお読みいただき、心から感謝します。


 P.S.でも、やっぱり、店主がお許しくださるのなら、
いつの日か再訪してみたいな。
だって、お店の料理、本当においしそうだったから。




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http://kasakoblog.exblog.jp/20514356/

ブログ『つぶやきかさこ』より。

『弱者を気取った強者
=車椅子の王様・乙武氏
の横暴極まれり』


(2013年5月19日)



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http://kasakoblog.exblog.jp/20523301/


ブログ『つぶやきかさこ』より。

『乙武氏ツィートの銀座の店に行き、
店主に取材しました』


(2013年5月20日)



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出ていますね。

お店側の

障害者への「合理的配慮」はどこまですればいいの?

できる、できないの判断基準はどうする?

という問題も。
こういう議論になるケースもあるわけですね。

でも、これが障害者差別になるか、ならないかの見分け方に
なるわけですから、双方にとって大変デリケートで難しい
問題でしょう。


それと、こういう問題はよく

「言った、言わないの話になる」

ということ。

健聴者の乙武氏でさえ、
どうして、こうなるのだろうか。


聴覚障害者だと、よく

「あなたの聞き間違いだよ」

などと言いくるめられるものです。(※)


(※)〔参考記事〕当ブログ
『職場での聴覚障害者いじめ (2)』
〔2012-07-16 09:33〕

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by bunbun6610 | 2013-05-21 23:08 | バリア&バリアフリー


ある聴覚障害者から見た世界


by bunbun6610

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