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ある聴覚障害者から見た世界


by bunbun6610

健聴者の、耳の聞こえないお年寄りへの対応

C県のK駅のすぐ近くのバス停でのことです。

終点なので、バスを降りる乗客が料金箱のところへ押し寄せています。
私も降りるところで、並んでいました。
前が遅々としていて、詰まっています。

見ると、おばあちゃんが料金箱の前で立っていました。
はじめは、運転手さんと何かモメているように見えたのですが、
よく見ると、争っているわけではありません。
こんな会話をしているように見えました。

おばあちゃん;「……」
(ガマ口からお金を取り出して見せるが、
運賃を支払う様子がない)

運転手さん;「○円ですよ! ○円!!」
(イライラして、かなり声が大きくなっている)

おばあちゃん;「……」(じっとしていて、動かない)

運転手さん;「○円です!」
(と言って、おばあちゃんの掌の小銭からお金を取って、
料金箱に入れる)

おばあちゃんは、なおも黙って、
バスの降車口から降りていきました。

バスの運転手さんは、親切のつもりでおばあちゃんに
大きな声で言ったつもりなのでしょうが、
他の人の耳には、まるでおばあちゃんが
怒鳴られているような印象です。


また、私はスーパーマーケットのレジでも、
難聴者と健聴者のやりとりを見かけたことがあります。
その時も、高齢難聴者のようでした。

私も耳が聞こえないので、想像で書いているに過ぎませんが、
やりとりはだいたい、次のような感じです。


高齢者;「え? 幾ら?」(と言って、財布からお金を
ジャランと見せびらかす)

レジ員;「○円です」

高齢者;「え? ここから、取ってちょうだい」

レジ員;「はいはい。わかりました」(と言って、お金を取る)

高齢者;「■○▲×……」(何かボソボソと言っている。
多分「ありがとう」という意味の言葉か)


おそらく、健聴者は

「あー、なるほど。
この人は歳を取っているから、もう耳が遠いんだ」

と思っているでしょう。
でも、健聴者が考えることといったら、それだけ。

それ以上に頭を使おうとはしません。
この世は、そういうものなのです。

そういう高齢者の財布には、大抵、
いつも小銭がいっぱい入っているでしょう。
これは偶然ではなく、本人が財布の中身を
管理できないからでもありません。
理由は、聴覚障害者(難聴者)だからなのです。

そして「○○円ですよ」と親切に言われても聞こえないから、
掌〔てのひら〕にお金をいっぱい持ってレジ員に見せたり、
いつも大目の金額(千円札とか五百円玉)を支払うのです。
だから、その人の財布には小銭が増えてしまい、
そして減らないというのです。

聴覚障害者の先輩からも

「そういうことは、昔からある」

と聞いています。
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by bunbun6610 | 2013-04-22 18:00 | 聴覚障害