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セールのパンが買えなかった日

駅構内にある売店形式のパン屋さんが、
閉店時刻が近づいてきたので、
3割引販売を開始していました。

先に集まってきているお客さんが、
すでに注文していたので、
私は順番を待つことにしました。

そのお客さんは8個も買うようでしたが、
何とかまだ自分が欲しいパンは残って
います。

あせらずに、先のお客さんの会計が
終わるまで待ちました。

で、いよいよ自分の番が来たと思って、
ちょっとタイミングを見て店員さんに言おうと
思っていたところです。

その瞬間、すぐに店員さんは、
また忙しそうにショーケースからパンを
一つずつ取り出し始めました。

「あれ?」

と思って、キョロキョロ見渡すと、
今度は後ろにいるおばちゃんがパンを
注文していました。

「まぁ、いいか」

と思って待っていたのですが、
何しろ閉店前の売れ残り商品が、
全品3割引なものなので、
品物がどんどん減っていきました。

「あぁぁ…。
もしかして、このおばちゃんがオレの
買いたいパンまで、全部買い占めて
しまうんじゃないだろうか?」

と、心配になってきました。

そして、その不安は的中してしまい、
買いたかったパンは全部なくなって
しまいました。

結局、並んで待った時間も、損しました。


実はこういったことが、耳の聞こえない
自分には、よくあるのです。

こういうところでは、順番を待っていても、
コンビニや郵便局のように整列して
並ぶルールがありません。

だから、聞こえない自分は声の競争に
負けてしまいます。

店員さんに気づいてくれ、とは言いません
けど、

「せめてお客さんが待っている順番を
覚えていてくれる配慮があっても
良かったのではないだろうか」

と思いました。

皆が、私のことを耳の聞こえない人だとは
わかるはずもないのですから、
いつのまにかこうなってしまうことは
よくあります。

「仕方がない」

と諦めて帰りました。

「耳の聞こえない人も社会にはいるという
ことも、まだまだ認知されていないんだなぁ」

と思うのは、相変わらず自分だけなのかと
思うと、寂しいものです。

だから、そういうことをできる限り広く
知ってもらいたくて、
このブログを書いているのですけれども。

手話サークルなどでもよくあることなの
ですが、健聴者は聞こえない人たちと違って、
音声を優先して反応する性質があるようです。

例えば、健聴者は、ろう者と手話で話して
いる最中でも、後ろから声で呼ばれると、
すぐ

「え? 何?」

と、顔を背けてしまいます。
そして、ろう者との話を勝手に中断してしまい、
後から声を掛けてきた健聴者と音声会話を
始めます。

これは、手話サークルでもそうだし、
先ほど話した店先での事例でもそうです。
また職場でも、非常によくあることなのです。

要するに、健聴者社会とは
「音声会話が出来る人優先社会」
なのです。


あるろう者は

「これは、ろう者社会では失礼に当たる」

と言いました。
ではこんな場合、どうするのかというと

「すみません。
ちょっと失礼させていただいてもいいで
しょうか?」

とろう者にひとこと言ってから、
顔を後の健聴者のほうに向けるのです。
それを見て、私は感心し、納得できました。

でも、健聴者は違う人が多いんですよね。
聴覚障害者に対しては、ホントに失礼なこと
を平気でやっている人が多い。


店先でも、健聴者は音声会話優先になる
から、しようがないのかなぁ。
by bunbun6610 | 2013-04-12 18:00 | バリア&バリアフリー

ある障害者から見た世界


by bunbun6610