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蒼穹 -そうきゅう-

聴覚障害者が、会社面接で落ちる理由

障害者雇用の会社面接って、
自分では落ちた理由がよくわからな
かったとしても、やはり落ちる理由は
あるのだと思います。

以下、聴覚障害の私の経験で、
思ったことを書いてみます。

落ちるにしても、受かるにしても、
幾つかの会社に共通点があると思います。

それは会社の聴覚障害者雇用の考え方で
左右されている、と思います。
その会社の、聴覚障害者雇用実績が
反映されている、ということでもあります。

例えば、精神障害者の雇用実績が良好な
会社があったとします。
その会社では、精神障害者を雇用する
ノウハウがある、ということであり、
それがあれば連鎖的に、
次々と精神障害者を雇用していくでしょう。

うまくいけば、そうなるのだと思います。(※1)


(※1)精神障害者雇用の事例がこれでは
ないか、と思われます。

『和風会 所沢中央病院 障害者雇用の
取り組みについて聞く』

http://www.atarimae.jp/crosstalk2/02/article.php



聴覚障害者でも原理的には同様、
だと思われます。

私は聴覚障害者ですので、会社面接にいくと、
聴覚障害者として聞かれることをよく知っています。
どの会社でも、聞かれることに大差はありません。
ですから、それが聴覚障害者との面接での
質問パターンになっているのだと思われます。

そして、落ちた会社と、受かった会社とでは、
聴覚障害者との対し方が、
明らかに違っているのです。
両者には聴覚障害者雇用実績の良し悪しも
出ています。
そこで、聴覚障害者に向いている会社、
向いていない会社に分かれるのだと思います。

両者を比較する意味で、その詳細を書いて
みます。


≪聴覚障害についての理解度の差がある≫
落ちる会社では面接で「耳の障害について」を、
必ず聞いてくる。

一方、受かった会社では、これは必ずしも
聞いてくる質問ではない。
聞いてくる場合もあるが、確認程度です。
なぜなら、応募者が聴覚障害者だと初めから
知っていて、手帳の等級を見て大体理解して
いるから。
だから、わざわざ聞いてくることもない。

しかし、落ちる会社では、応募者の聴覚障害が
どの程度なのかを、見極めようとして面接を
設定している。
そこで聴覚障害の程度を、しつこく探ろうとしてくる。
以前に働いていた会社では、コミュニケーションの
仕方はどうだったのかなどを、延々と聞いてくる。
そこでもし、何か少しでも不安要素が発見されれば
採用しない、という方針のようです。

勿論、このような会社では、職場での聴覚障害の
克服方法など提示できない。
企業がわからないことは、提示できないのだ。

一方、受かった会社では、そんな探りは入れて
こない。
会社は聴覚障害者の雇用を真剣に考えている、
というスタンスなので。
当然、障害についての克服方法も知っていて、
双方で解決していこうという姿勢がある。


≪障害の配慮に対する考え方があるかないか、の差≫
落ちる会社では

「あなたの障害では、どんな配慮をしてほしいのか?」

ということも、必ず聞いてくる。
そして、こちらが筆談や手話によるコミュニケーションを
挙げると、受かるのは稀であった。
この質問は、受かる会社でも当然聞いてくるが、
両者では違う点がある。
落ちる会社では、聴覚障害者を落とすだけ。

一方、受かった会社では、合理的配慮は当然だからする、
と採用前に約束してくれる。
この違いはなぜなのかというと、理由があるらしい。

落ちた会社では、まだ聴覚障害者を雇用したことが
ないとか、あるいは過去に聴覚障害者がいたことが
あるが、今はいない、という。
この会社では以前から、聴覚障害者雇用がうまく
いっていなかった、
と推測される。

一方、合理的配慮をすると約束してまで、
聴覚障害者を採用する会社は、
現に聴覚障害者が働いている、という。
それで、実際に聴覚障害者雇用がうまくいっている、
と推測される。
実際に面接段階でも、手話・要約筆記通訳を
積極的に利用する姿勢が見られ、場合によっては、
面接官が自ら筆談をしてくれる場合さえある。
このような会社では、すでに聴覚障害者が
在籍していて、職場でもそのようにしていると
推測される。

この違いが、聴覚障害者雇用の明暗を分けて
いるように思える。

主にこの2点の違いが、面接での聴覚障害者
採用の明暗を分けている、のだと考えられます。

障害者の仕事をする能力を見極めている、
という問題ではありません。

応募者である聴覚障害者の能力以前に、
企業が聴覚障害者を聴力や、
音声コミュニケーション能力への適応力で
差別をしている、ということです。

聴覚障害者雇用であっても、音声コミュニケー
ション能力にこだわっているか、そうでないかの
違いが、企業の聴覚障害者雇用の考え方を
左右しているようなのです。


【落ちた会社の面接例】

以下は、アマゾン・ジャパン株式会社の事例より。

会社;「コミュニケーション方法はどうしてきたの?」

私;「聞き漏らしてしまったり、
聞き間違えてしまうこともあるので、
大事なことは筆談で伝えてもらうように
しています」

会社;「(突然、話を変えて)もしも、後ろから
呼ばれた場合、どうするの?」


(聴覚障害者に、こういう質問をすること
自体が、おかしいと思うのだが…。
この面接官は、わざと意地悪な質問をして、
単に欠点探しをしているだけ、
のように思える)


私;「後ろから呼ばれても聞こえなかった場合は、
仕方がないです。
気づいてもらえる方法で呼んでもらいます。
例えば、近くまで来て、肩を叩いてもらうとか、
回りこんで視界に入ってもらってきてから
呼んでもらう、とかです」

会社;「ふ~ん…。(考え込む)」

私;「貴社では、今までに聴覚障害者を雇用して
いましたか?」

会社;「過去にはいたけど、今はいない」

私;「その聴覚障害者は、なぜ辞めたのでしょうか?」

会社;「わかりません」



【受かった会社の面接例①】

私;「補聴器を使って聞こえる場合もありますが、
それでも充分には聞こえませんので、
大事なコミュニケーションには筆談をしていただく
と確実です」

会社;「それは、わかっています。
当社には既に聾(ろう者)の聴覚障害者がいて、
彼は聞くことも話すことも全くできませんが、
一緒に働いています。
ですから、心配いりません」


本当は面接対策での障害やその克服方法の
説明に苦心するよりも、
聴覚障害者に理解のある会社を探すほうが、
採用率はずっと良くなると思われます。

しかし、そういう会社は、まだごく稀なのです。



【受かった会社の面接例②】
通訳なしで補聴器装用で臨む場合、
面接官の話を完全に聞き取ることは難しい。
しかし、面接官の話し方によっては、
話の内容がわかる場合もある。
この場合は聴覚障害者にとってチャンスだ。

耳の障害のことを確認してくるとき

「今の声、聞こえますか」

「このくらいなら、聞こえますよね」

こう話しかけてくる健聴者は多い。
これなら、誰でもわかる。
口を読むのも簡単なので、
聞こえない聴覚障害者でも

「わかります」

と言える。
聞こえの不具合はなるべく隠したり、
サーナの面接アドバイス(※2)でもあったように、
適当にごまかすのが利口だ。


(※2)当ブログ

『難聴者の会社面接対策(2) サーナの面接アドバイス』
〔2011-07-06 20:37〕


参照。



もし、聞き取れない部分があったとしても、
とりあえず

「あなたの今言ったことは、要するにこうですね」

という感じで尋ね返してみるとよい。
推測でも大体当たっていれば、相手は

「よし、この人は聞こえているんだな。
これなら大丈夫だろう」

と勘違いしてくれます。
これを利用しない手はない。
そもそも、聴覚障害者だということは面接官も
わかっているのですから、
話の内容はある程度でもわかれば大丈夫です。
これは私がよくやる、聴力ごまかしのテクニックです。

自分がわかりそうなところだけ言えばいいのです。
わからないことまで一生懸命推測して言うと、
ボロが出てしまいます。

ごまかして入社できたとしても、
後で苦労するのですが、
人事部の人のお世話になるのは、
大抵は入社までです。

配属先の人とは対応を変えて、
自分も障害への理解にきちんと努力して、
配慮を求めればいいのです。(※3)


(※3)当ブログ

『障害者ジョブコーチ(職場適応支援者)の募集案内』
〔2012-10-22 18:00〕


参照。

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by bunbun6610 | 2013-01-05 18:00 | 就労前の聴覚障害者問題A