料理人志望の聴覚障害者の現実

7年ほど前だろうか。
聴覚障害者のAさんと私は、
同じ手話講習会に通っていました。

Aさんは先天性の重度聴覚障害者であるにも
かかわらず、将来はフレンチ・レストランの
料理人を目指すべく、求職活動とフランス語の
勉強中でした。

そのAさんは、今はどうしているのだろうか?
料理の世界に入れて、鋭意修業中なのだろうか?
フランス語の勉強は、うまくいったのだろうか?

どちらを克服するにも、先天性の重度聴覚障害
というハンディを背負って挑戦するのは、
並みの努力では足らないだろう。

障害者が職業的自立を目指して

「手に職を」

と考える人は珍しくはありません。

若いからこそ、まだ怖れることは少ない。
そして、夢を持って挑戦できる。


だけれども一方で、私はこんな話も聞いた
ことがある。

ある聴覚障害者で調理師専門学校を卒業
したが、卒業後も就職先が決まらなかった、
という。
学校の講義は聞こえなかったので録音して、
家で母に通訳文を書いてもらい、それで
勉強を続けた、という(※)

(※)学校の聴覚障害者学生への情報保障
の整備は、専門・専修学校では大学に
比べて遅れている、と言われています。


就職の面接試験でも、そのことを会社側に
正直に話したらしい。
そうしたら、どこも採用してもらえなかったらしい。
面接で色々とほじぐられた挙句、不採用続きと
なったようだ。

やむを得ず、居酒屋での調理補助のアルバイトを
することに決まったものの、職場でイジメに遭い、
それも辞めたという。
以来、その人は再就職先を探しているものの、
まだ決まっていない、という。

健常者は未経験者でも雇用してもらえる可能性
はあるが、未経験ということに加えてハンディ
まである聴覚障害者には、この世界は非常に
難しい。

障害者雇用促進法があっても、どうやって雇用
したらよいか、会社側はわからない。
いや、考えようとしないのが現実だろう。

私も昔、料理人を志望したことがあったが、
当時は合理的配慮など全くありもしない時代だった
ので、諦めた。

何とか、聴覚障害者にも道を開いてゆけるように
できないものだろうか。

【参考記事】
 →当ブログ

  『公用語が“日本手話”と“書記日本語”のカフェ』
  〔2012-05-15 22:33〕

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by bunbun6610 | 2012-06-18 20:36 | 就労前の聴覚障害者問題A
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