幼児時代の「無口」の記憶

松森果林氏のブログ

『松森果林UD劇場~聞こえない世界に移住して~』

には、最初の記事

『日常劇場』(2007年8月12日)

 →http://d.hatena.ne.jp/karinmatasumori/20070812

に、ご本人の自己紹介が書かれています。
自身を中途失聴者と紹介しています。

つまり健聴者のときもあった、という。
これは、本人もハッキリと自覚している事実。
だから、健聴者から難聴になり、数年間を経て失聴に至った、
と説明できるわけです。

こういう人ならおそらく、私の聴覚障害についても、
“途中で失聴した”ということは、わかってくれるだろう。

ただ私は、自分が元・健聴者だったと思える
記憶はありません。
原因不明なのでわからないのですが、
少なくとも物心がついたときからは、
もう難聴のようでした。

言葉を覚えるのが、他の子どもと比べて遅く、
そのため自分が喋りだしたのは幼稚園の頃でも、
果たしてあったのかどうか、ほとんど記憶にありません。

確実に覚えているのは、その頃は全く無口な子どもでした。
ですから、聴覚障害児ではよく言われるように、
周囲の子とのコミュニケーションも全く苦手でした。
両親と楽しく話した記憶さえ、ほとんどないのです。
自分の幼児時代は、言葉を覚えるのが遅かったこと、
そして、コミュニケーション能力の発達も遅れていた、
と確実に記憶しています。


(それでは「どうして今は言葉を喋れるのか?」と、
よく聞かれるのですが、それは感音性難聴だったからだ。
感音性難聴は全く聞こえない場合もあれば、
中途半端に聞こえる場合もあり、
さらに完全に聞こえる場合もある。
それは、自分で完全にコントロールすることは出来ない。
だから「聴き取り難い聴覚障害」として残り続け、
完全解決は難しい。
しかし、健聴者と同等ではないまでも、
どうにか言葉を覚えることはできたわけです。

感音性難聴障害についての詳細は、当ブログ

『感音性難聴障害を、健聴者や、ろう者にどう説明するか』
〔2011-07-23 00:10〕

を参照。)



私の場合は、松森氏のような中途失聴者ではないかもしれません。
では、自分は何と呼べばいいのか。
他人に、何と紹介すればよいのか。
それも全く分からないまま、今日まで生きてきました。

「中途失聴者です」と自己紹介すれば「元・健聴者だった」と思われる。
あるいは「難聴者」でも「中途難聴者」でもない。
「失聴者」と言うと、やはり「元・健聴者」だと思われるから、
この言葉を使用しても、正確な説明はできません。
かと言って「ろう者」でもない。
自分は一体、何者だと言えばよいのだろうか。

結局、このために自分の聴覚障害のことを、
正確に説明することは難しいし、
周囲の誰にも理解できないのだろう。

だから、「あなたは珍しい聴覚障害者だ」と言われたり、
よく誤解されたりするわけです。

健聴者もろう者も難聴者も中途失聴者も、
誰も私のことを理解はできないだろうと思います。
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by bunbun6610 | 2012-05-21 23:11 | 難聴・中途失聴


ある聴覚障害者から見た世界


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