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ある聴覚障害者から見た世界


by bunbun6610

『レインツリーの国』(有川浩/原作)

『レインツリーの国』(有川浩/原作)

  →http://ameblo.jp/uchidamayumi/entry-11200323879.html

  →http://book.akahoshitakuya.com/b/4103018712

  →http://www.shinchosha.co.jp/book/127631/


は、原作者が難聴協会の難聴者から
実際の難聴者像を聞き込み、
書き上げていったそうです。

手話テレビドラマでは、過去にろう者を主人公に
した物語が度々放送されて、
その内容がろう者から「奇麗事過ぎる」とか
「ろう者の実像を忠実に描写していない」
「ドラマで使われている言語(手話)が、
私たち(ろう者)のものとは違う」
など、さまざまな批判がありました。

もともと健聴者が楽しむテレビドラマ用に
脚色され過ぎていて、
ろう者理解のためのテレビ番組ではありませんから…。

しかし、この本については、そのような批評は
聞かれないようです。
むしろ、難聴者から共感を呼ぶところが多い
ようです。

インターネットのサイトで、ある男女が知り合い、
話をしていくうちに、直接会って交際を始めてゆき、
お互いの理解を深めていくというあらすじだった
と思います。

はじめ、伸(健聴者)はひとみ(難聴者)を、
顔を知らないだけでなく、
まさか難聴者だとは思いもしなかったのですが、
難聴者が障害者とは限らない日本では、
これは普通のことです。

そこから誤解も生じ、よくもつれたりするのですが、
お互いの理解のためには、
その障害を乗り越えていかなければならない、
ということがわかってきます。

私はやはり、ひとみの「難聴者心理」に関心を
持ちました。
それに対する健聴者・伸の反応はまだいいほう
だと思います。

大抵の健聴者は、そこまで難聴者の立場を
考えようとはしないものですから。
それと、手話テレビドラマとは違い、
注目したのは、聴覚障害者と健聴者の恋愛ドラマなのに、
手話がないのです。
この二人はコミュニケーションを一体、
どうやったのだろうか、というところが、
このストーリーの読みどころだと思いました。

難聴障害は、隠そうと思えば隠せるし、
相手は気づかない場合も多々あります。

しかし、それではやはり本人の心の内には
もどかしさや、相手を騙しているような罪悪感が
生じたりすることもあります。
難聴者心理にはそうした葛藤が、必ずあります。

難聴はその程度によっては、たまたま、
相手にちょっとした配慮があれば、
あるいは自分で工夫をすれば、
何とかなる聴覚障害であって、
聴覚障害者というほど、どうしても克服困難な
障害ではありません。

なので、本人も自覚が希薄だったり、
あまり深刻に考えないほうが自分にとっても
相手にとってもよいと考えたりしてしまいがちです。

まずインターネット・サイトでの書き込み相手として、
障害が全くない状況から発展し、
友達として付き合いたいというのなら、
なおさらそういうフランクな考え方に徹したほうがいい
と思うのが自然だと思います。
しかし、それでも難聴者の心の中はそうはいきません。
さらに、それ以上の関係に入っていくと、
ますますそうはいかなくなります。

健聴者の受け止め方はさまざまですが、
伸の場合はまだいいほうだと思いました。

相手が聴覚障害者だと知ると、途端に離れていって
しまう健聴者もいます。
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by bunbun6610 | 2012-04-19 20:47 | 難聴・中途失聴