洋菓子技術講習会での情報保障はどうするか?

聴覚障害者がパティシェを目指すには、
健聴者よりもいろいろな努力が必要です。

例えば、修業中、自分の仕事場で技術を磨くだけでなく、
仕事が休みの日にも、洋菓子技術知識を増やすために
洋菓子技術講習会に通うことも、努力方法の一つです。
そのときに情報保障はどうしますか?

手話・要約筆記通訳は原則、主催者が準備・費用負担する
ことになっていますが、何も知らない相手にいきなり

「情報保障をお願いできますでしょうか?」

と頼んでも、向こうは聴覚障害者情報保障について、
何も知らないわけだから、うまくいくはずがありません。
相手方が準備に失敗して、自分が損するのは目に見えています。

ですから、やはり自分で情報保障を準備するつもりで、
講習会に申し込んだほうがいいでしょう。

この場合、できれば要約筆記のほうがいいのではないか、
と思います。
なぜなら、講師の実演と手話通訳の両方を見ながら覚え、
理解する自信がありますか?
さらに、講師配布のレジュメも見ながら、ノートも取れますか?

できる人ならば、この問題はありませんが、
出来ないという人はやはり、隙を見てチラッと見ることができる
ノートテイク要約筆記のほうが断然いいです。

この他に、手話通訳者だと目立つので、他の受講生が気になって
集中できなくなる、と言われてしまう可能性もあると思います。

洋菓子講習会は、まずとにかく、実演をしっかりと見ることが
非常に重要です。
それは他の受講生だって同じで、会場内で目立つ手話通訳が
全員に気になってしまうのは問題だと思います。

けれども要約筆記だと、自分の目を離せる時だけ、
いつでも情報保障をチラッと見れるので、
安心して実演を見ることに集中できますし、
他の受講生も全く気にならないので、
他の人へ配慮する心配もいりません。

また、洋菓子講習会は午前と午後にまたがる、1日講習会になる
場合が多いのですが、それでも午前1名、午後1名の派遣で充分です。

普通の講演会などでは2名派遣で途中交代するのですが、

洋菓子講習会は実演が多く、そのときは講師もあまり喋らないので、
要約筆記者は1名で足りるわけです。

他に注意したいことは、どのような情報保障をして欲しいか、
派遣センターへ事前に依頼しておくことです。
その分野が得意な要約筆記者を選んでもらうためにも、です。

特に通訳で注意して欲しい点を、きちんと要望しておくことも大切です。
要約筆記だと、説明を全文で筆記することはできないので、
何かは省かれると思います。
例えば原文が

「このように、メレンゲの気泡をできるだけつぶさないように、
ていねいに混ぜます」

という説明文だったとしましょう。
これを、要約筆記だからといって、

「メレンゲを混ぜる」

だけだったら、大変な抜け落ちになってしまいます。
洋菓子講習会の場合、手法や結果(結論)だけ書けば
いいものではないと思います。
技術習得で重要なのは、特に過程も、できるだけ詳細に
知ることだと思います。
これが何も書かれていない通訳では、技術講習会に参加する意味も
半減してしまいます。
何割ぐらい混ぜるのかも、書いてあるのとそうでないのとでは、
講師とそれを見ている受講生とで、意味の取り方、
重要度も違ってきてしまいます。

この場合、最低でも

「メレンゲをできるだけつぶさないように混ぜる」

の説明は必要です。
ですから、「どのように」の説明もできるだけ盛り込んでもらうように、
通訳者に要望してみましょう。

実演を見るだけでわかる場合もありますが、講師は見ただけではわからない
ポイントを声で説明している場合だってあります。
それに、着席場所によっては、受講生にはよく見えない場面もあります。

「生クリームを4分立てにする。
「4分立て」とは、ホイッパーですくい上げたときに、
ホイッパーのワイヤーに、クリームがわずかに引っかかって
見えるぐらいです」


は、ほとんど見えないので、この音声説明があったら、
聞こえる人だけにしかわかりません。
通訳にきちんと書いてもらうしか、知る方法はありません。


この場合、理想の通訳は
製法を先に書いて、後に余っている時間で、
「どのように」を書いてくれることです。

「生クリームを4分立て
          ↑
      ホイッパーのワイヤーにわずかに引っかかって見えるぐらい。」


それと言い忘れていましたが、専門用語を説明しておくこと、
通訳の質を上げるためにも略記の工夫もしておくこともよい手段です。
耳の聞こえる通訳者でも、初めて聞く言葉は聞き間違えたり、
書けなかったりすることがあるからです。
要約筆記者でも、フランス語表記は苦手でしょう。
講習会が始まる前に、レジュメに目を通してもらうことも必要です。

このように、聴覚障害者も通訳の上手な使い方も身につける必要があります。
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by bunbun6610 | 2012-03-21 22:54 | 情報保障・通訳
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ある聴覚障害者から見た世界


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