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職場で聴覚障害者が起こした事件

2011年1月13日(木) メール相談

●様

このままでは、また頭が変になりそうです。
森ビルのときと、同じ繰り返しになるでしょう。
だから私は「差別に鈍感になればいいじゃないか」とか
「もっと自分の鈍感力を磨くべきなのか」と
悩むこともあります。

でもこれだって、ある意味、本当は異常だと思います。
差別を差別と思わなければ、それは問題意識の抹殺であり、
真の問題解決から逃げているだけでしょう。
これは、もっと深く、人生における大切な悩みなのです。

昨年11月、突然、森ビルの●さんからメールがきました。
●さんは森ビルをリストラされると。
私は「これは自分と同じケースになるな」と確信しました。
話を聞いたら、まさに予測通りでした。

●さんは

「社員に「●●」と言ってしまい、
産業医には「●●」と言ってしまった」
ということです。

私が我慢できなくなり、脅迫してしまったのと同じでした。

でも、森ビルでの聴覚障害者事件は私の前にも前例があって、
つまり私が2人目、●で3人目だったのです。
私は2002年10月に森ビルの面接試験を受けましたが、
一旦は落ちました。
しかし突然、11月下旬に「採用したい」との連絡が入り、
運良く入社しました。
でもそれは、その後の手話サークルの知人の話で、
本当の理由がわかったのです。
その人は

「森ビルで働いていたろう者が、ケンカして首になった。
だから君が急に雇用された」

と話していました。

●さんには、●センターから、
ジョブコーチが出ていたそうです。
その理由は、NHKテレビ『ろうを生きる 難聴を生きる』
(聴覚障害者ジョブコーチ支援)でもあった例のように、
●さんが職場で落ちついて仕事ができていないように
思われました。

私は森ビル在籍時に、●さんとよく話していたので、
●さんの状況は知っていました。
●さん自身が「うつ病」だと漏らしていました。
私も、●さんは情緒不安定でキレやすく、
付き合いにくいヤツだなぁ、
と思っていました。
私の友人も、●さんのことをそのように話していました。

「だからいずれは、こうなるんじゃないか?」

という心配をしていましたが、
やっぱり最後は辞めることになったのです。

会社員として長続きするためには、
鈍感になることだと思います。

ろう運動も真剣に考えて仕事を続けるのは、
とても苦しいことでしょう。
でも、鈍感になる選択なんて、本当にできるでしょうか?

そんなことをすれば、それこそ周囲の健聴者は、
間違った「理解」をするでしょう。
私は“人間の尊厳”は決して、障害者であっても
捨てられないと思います。


by bunbun6610 | 2011-01-13 18:00 | 聴覚障害者労働問題・相談

ある障害者から見た世界


by bunbun6610