聴覚障害者の面接試験対策

以前にハローワークに行って、仕事を紹介して
もらっていたときのことです。


私;「私は、補聴器をして、さらに環境条件も良ければ、
   相手の話し声を聞きとれる場合もあります。
   今の場所は静かなほうなので、あなたの声が聞き取れています。


   でも会社では、聞き取れない場合もあります。
   職場ではいろいろな音が入り混じっていて、
   それが補聴器に全部入ってきてしまうからです。
   健聴者はそれでも聞き分けることが出来ますが、
   補聴器は聞き分けることができません。」


HW;「なるほど。
    いろいろな音が混じって入ってきてしまうのですね。
    でも、今は聞こえるでしょう。
    わかりました。
    ご希望の会社に応募できるかどうか、今電話してみます。
    ちょっとお待ち下さい。」

HW;「あ、●●社人事部の●●様(採用担当者)でしょうか?
    ハローワークの●●と申します。
    早速ですが、聴覚障害者の方で、応募したいという話があるのですが…」
    (※ この文は、あくまでも私が受けた情報からのイメージです。
    実際は多少、違うかもしれません)


●●社;「聴覚障害者? 聞こえないのですか?」

HW;「いえ、聞こえます。ただ、聞こえない場合もちょっとあるそうです。
    今、補聴器をされていて、私と話すことは問題のない方です。
    え? 応募してよろしいでしょうか?
    それでは、応募者のお名前は●●です。
    まず履歴書等を郵送後、書類選考ということで?
    はい、ではよろしくお願いいたします。」
    (※ この文は、あくまでも私が受けた情報からのイメージです。
    実際は多少、違うかもしれません)


HW;「応募できます。履歴書等を郵送して下さい。」

私;「わかりました。ありがとうございます」


そして、書類選考が通り、面接試験に臨みました。
会社へは要約筆記通訳を同行させることも伝えていました。
ところが、

●●社;「ふ~ん。要約筆記という通訳を使うの?
    職場でも、コミュニケーション方法は筆談なのね。
    ハローワークの人からは『聞こえる』と聞いたのだけど???

なぜ、面接になって聞こえの問題が出てきたのかわかりませんが、
私は、

「相手の話し方や声質、環境によっても違ってきます。
個人差があります」

と答えました。
すると、今度は、

誰かに呼ばれても聞こえなかったら、そのときあなたはどうするの?」

と聞かれました。

そのときに私は

「聞こえない音声には反応できませんから、仕方がないです。
相手に(聴覚障害を)理解してもらうことも必要です。
相手には『私の肩を軽く叩くとか、視界に入ってから声を掛けてみる、
といった方法で呼んで下さい』とお願いします。」

と答えました。
これに対し、会社はまた次の質問をしてきました。

「前にいた聴覚障害者には、自分の名札をつくり、
聴覚障害者だということを知らせていたけど?」

私;「私も自分でつくっていて、持っています」(と言って、実物を見せる)
  「また、メールの自動署名に「聴覚障害者ですので、
   ご用件はメールでお願いいたします」という文字を入れ、
   関係者に伝えています」

会社;「…わかりました。選考結果は、一週間後に郵送かメールで伝えます」


面接で、聞こえのことや聴覚障害問題を自分でどうするかを、
あれこれ質問攻めにされた挙句、選考試験は落とされました。
落とされた理由は、わかりません。

さて、これを読まれた皆さんはどう思うでしょうか?

聴覚障害者は、面接に臨むにあたって、
会社からの質問を幾つかシュミレーションし、
それに対してどういうふうに答えるのかを準備して
いなければなりません。
そして本番では、臨機応変さが求められます。

慌てふためいてしまったり、ウソをついたりしては失敗です。
経験談を話すことは有効だと思いますが、ないものを言っても、
突っ込まれてウソがバレたら終わりです。

また「経験がないからわかりません」でもダメでしょう。

どんな質問にも相手が満足するような答えを
出すことも難しいので、どのように答えるとしても、
一定の覚悟はいるでしょう。

健聴者も、聴覚障害とは何が克服不可能で、何が克服可能になるのか、
また克服可能にするためにはどうすればよいのかを、
考えていただきたいと思います。


たまたま、会社の人事担当者が理解のある人で採用となったとしても、
配属部署には理解者がいなくて、辞めてゆく聴覚障害者もいます。

会社では、聴覚障害者が超えていかなければならないハードルは、
幾つもあるのです。



ちなみに、多くの聴覚障害者が通訳を使おうとしない状況にあっても、
私が面接試験で要約筆記通訳を利用する理由を、幾つかあげておきます。

①筆談でコミュニケーションができる、ということを視覚的に理解してもらうため。
 話で説明し、聞かせただけではすぐ忘れる健聴者が多いので。

②耳が聞こえない、ということをきちんと理解してもらうため。
 合理的配慮(筆談など)が必要だということを、暗黙的に理解してもらうため。
 聴覚障害者にはいろいろな人がいるため、実際の聴力は説明してもわからない。
 「聞こえたふりをして後で困る」ということは、自分はもうやめたから。
 耳のことをきちんと理解してくれる会社に就職したいから。
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by bunbun6610 | 2012-03-07 20:38 | 就労前の聴覚障害者問題A
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