挑戦する気持ちの持続

2月26日(日)NHK教育テレビ『ろうを生きる 難聴を生きる』で、
世界ろう者卓球選手権に日本代表として出場する上田 萌選手が
紹介されていました。

 →http://www.nhk.or.jp/fukushi/chokaku/

そこで観たものは

「スポーツなら、耳の障害があっても関係ない」

という生易しい世界ではなく、ハンディがあることの厳しさでした。

私も、耳が不自由でありながら、補聴器を装用して、
一生懸命に料理人やパティスィエに挑戦したことがあります。
そこでハンディをわずかでも克服しながら修業を続けることの厳しさを、
体験的に知っています。

上田選手は、これまでに何度も「やめたい」と思ったそうですが、
続けています。

「聴こえないので、身体でわかるまで自分で練習し続けるだけ。
彼女の場合はそのぶん、練習しなければならない」

という監督の言葉は、よくわかります。

卓球の場合は、一流選手になるほど、音を聴いて球種やスピードを
一瞬で判断するそうです。
上田選手の場合は、それができないので、相手の打った瞬間に自分も
瞬間的に判断し、反応できないのか、遅れがでやすいそうです。
そのぶん、視覚でとらえるしかありません。
自分が打つ場合も、健聴者は微妙な音で覚え、球をコントロールし、
体得する部分があるそうです。
しかし、ろう者にはそういった面で不利があるそうです。

こういう不利は、違う世界でもあります。

例えば、料理だと揚げ物の調理をしている時、健聴者は見ていなくても、
どのくらいまで揚がっているか、あとどのくらいで揚がるか、わかります。
健聴者は、音を聴いているだけでわかるのです。

しかし、聴こえないと、たとえば自分の体内時計で計測したり、
目で何度か見て確認もしなければならないので、健聴者と比べ、
仕事量や技術力に差がでてきてしまいます。

パティスリーの世界では、音を聞き分けることはあまりありませんが、
それでも「パチパチ」という微妙な水分が跳ねる音に注意力を働かせなければ
できない仕事もあります。
例えば、フランス菓子では高度な技術とされる、アメ細工の仕事の場合でしょう。
直火を使う仕事では多くなると思います。
聴こえないというハンディを克服するために挑戦することは、
誰にでもできますが、それを本当に克服できるのかどうかは、
自分で探さなくてはなりません。

それを覚悟の上で、自分のなりたい職業を探し、
そして諦めずに挑戦し続ける気持ちを持たなくてはなりません。

上田選手の今度の試合は、同じろう者が相手の
『世界ろう者卓球選手権』ですが、
強豪校の健聴者とともに練習している以上は、
優勝は当然目指してほしいと思います。


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世界ろう者卓球選手権まで2か月(1)
つかめ金メダル! -上田萌さん-

【内容】
<シリーズ趣旨>
2012年の4月下旬から5月にかけて、東京で、第2回世界ろう者卓球選手権大会
が開かれる。
ろう者の世界的なスポーツ大会が日本で開かれるのははじめて。
世界の頂点を決める戦い(個人戦)に、日本ろうあ者卓球協会は、男子4人女子4人
の選手を出場させる。選手の横顔を紹介する。

<この回の内容>
上田萌さんは22歳。ひとつ年上の福原愛さんの試合を見て卓球を始めた。
いまや若手のホープに成長し、2011年12月の全日本ろう者卓球選手権では、
見事優勝した。
上田さんを指導するのは、東京富士大学卓球部の西村卓二監督。
西村さんは、福原愛さんなどを育てた指導者で、アテネ五輪の代表監督もつとめた。
西村さんのきびしい指導のもと、大きく変化する投げ上げサービスなど得意技を
磨きながら、世界選手権優勝を狙う上田さん。その挑戦を追う。

【出演者】
上田 萌さん(世界ろう者卓球選手権日本代表)
西村 卓二さん(東京富士大学卓球部監督)



【世界ろう者卓球選手権大会】
4月29日から5月6日まで、東京で開かれます。
ホームページ:http://2012wdttc.org/jp/

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by bunbun6610 | 2012-03-02 07:43 | 聴覚障害
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ある聴覚障害者から見た世界


by bunbun6610
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