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ある聴覚障害者から見た世界


by bunbun6610

障害者から「おかしい」という声が出ない理由

『聴覚障害者が障害者雇用助成金の使途について、事業所に不満を言わない理由』

この理由はいろいろあるかもしれませんが、
とにかく、まず分かっていることは、
情報が入りにくいろう者でも、

「企業が助成金目当てで重度聴覚障害者を雇用する」

ことは、皆知っているという事実です。

〔重度聴覚障害者(身体障害者2級認定)とは〕
 →http://home.s00.itscom.net/large/ELEC/hear/index.html


(財)全日本ろうあ連盟の刊行物にも、次のような記述が見られます。

「身体障害者の雇用についての法律は1960年、
身体障害者雇用促進法の制定があります。
しかし、積極的に障害者を雇用する企業もあれば、
義務ではないので我関せずという企業もありました。

そこで1976年には納付金を納めることになったのです。

この為、多くの企業が特に新しく設備を作る必要のない
聴覚障害者を積極的に雇用し始めます。」

(厚生労働省手話奉仕員養成講座『手話教室 入門』
財団法人 全日本ろうあ連盟出版局/2003年7月25日 第11版発行)



ろう者も、

「どこの会社もみんなやっているから、しようがない」

と言う。
あるろう者は、

「助成金がないと自分たちは雇用してもらえないから、しようがなし、
おかしいと言える立場にない。
むしろ、この制度のお陰で自分たちは雇用してもらっているのだから、
ありがたい」

と言うのです。
ろう者でさえ、半ば

「このように差別されているろう者が、
助成金目的に利用されるのは、しようがない」

とでも認めてしまったような発言ではないですか。

(この原因は、使用者(事業主)と労働者との力関係で、
具体的には有期契約(短期労働契約しか結べない)が原因です。
この契約が障害者側の不満を抑えているのだと思われます。)


しかし、別の障害者も、就職困難な障害者がこのように
思っているフシが見られます。(下の〔参考〕を参照)

だけどこれは、よく考えると、おかしいでしょう。
助成金の本来の目的は「障害者雇用を促進するため」ですが、
それはなぜかというと

「これから雇用する、または雇用した障害者の
職場環境整備のために遣われる目的で、支給している」
           (つまり「合理的配慮」のことになります)
                          (ハローワーク)

わけです。
現状は、それに沿った遣い方はされていません。

それならばろう者は、手話通訳を求める権利が当然あるのに、
そうは言いません。
なぜなら、雇用してもらうことが優先だからです。

もしろう者雇用のメリットである助成金が、
本当に手話通訳費に変わってしまうならば、
どこの事業所も、ろう者を雇わなくなるでしょう。

〔参考〕
 →当ブログ『身体障害者への就労支援のあり方から』
(2012-02-27 21:44)参照。

>「現行の雇用納付金を原資とする支給金制度は我々といたしましては、
合理的配慮の具体化ではないかと思っております。



→・障害者にメリット(これは企業への支給金制度、という意味では?)
   はないのに、なぜこう考えるのだろうか?

  ・雇用してもらうことが優先だからなのだろうか?
 
  ・合理的配慮は、誰のためにするのだというのだろうか?



>「雇用の場を提供する使用者といたしましては、やはり民間企業の
場合であれば、経営権というものがあり、株主への責務もあります。
…ある面においては、事業主の利益というものも考えないといけない
のだろうと思います。


助成金への疑問については、
当ブログのカテゴリー『障害者の経済学』にある記事を参照されると、
よくわかると思います。

『障害者雇用助成金は、雇用する企業へのご褒美?』
〔2011-08-20 23:54〕



『障害者雇用助成金の問題点』
〔2012-02-01 19:47〕

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by bunbun6610 | 2012-02-27 22:29 | 就労後の聴覚障害者問題B