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ある聴覚障害者から見た世界


by bunbun6610

ろう者と健聴者、難聴者の言葉の違い

ある日、ろう者から次のようなメールが届きました。

「●月●日に●●●がありますので、
午前10時50分前に●●に集合して下さい。

よろしくお願いします。」

「10時50分前」って、何か間違えていないだろうか?
それとも、この通りでいいのだろうか?
(だとしても、意味がどうも…???)

初めて見るメール文だったので、
私はしばらく考え込んでしまったものです。

聴者の方には、こんな経験はないでしょうか?
聴者同士では、こんなことはないのかもしれません。
でも、

『ろう者のトリセツ聴者のトリセツ―ろう者と聴者の言葉のズレ』

という本では、こういうことが実際にある、と書いてあるそうです。

 →http://www.amazon.co.jp/%E3%82%8D%E3%81%86%E8%80%85%E3%81%AE%E3%83%88%E3%83%AA%E3%82%BB%E3%83%84%E8%81%B4%E8%80%85%E3%81%AE%E3%83%88%E3%83%AA%E3%82%BB%E3%83%84%E2%80%95%E3%82%8D%E3%81%86%E8%80%85%E3%81%A8%E8%81%B4%E8%80%85%E3%81%AE%E8%A8%80%E8%91%89%E3%81%AE%E3%82%BA%E3%83%AC-%E9%96%A2%E8%A5%BF%E6%89%8B%E8%A9%B1%E3%82%AB%E3%83%AC%E3%83%83%E3%82%B8/dp/4863720084

例えば、手話通訳者が

「2時10分前に集合して下さい」

と手話で伝えても、健聴者は1時50分までに
集まっているのに、ろう者は2時10分になる直前に集まります。
だから「ろう者は時間のマナーが悪い!」と怒る健聴者もいたそうです。

しかし、その原因が「言葉の違いにある」ということが、
わかってきたそうです。

実は、私も「もうすぐ9時10分になる」の意味を
「9時10分前」と言っていた時期が、
ずいぶんと長くありました。

初めて自分の間違いに気づいたときは、
皆に国語力を疑われ、笑われていました。

これは、聞こえないため、自分の主観で
言葉の意味を推察して使っていたため、です。
だから、その言葉の正しい使い方を知った後は、
直しました。

でも、そのろう者の場合はそれを知っていても、
直さないという。
よく、おせっかいにも教えてあげる健聴者もいる
ものですが、それはそれで親切です。
でも、ろう者同士では、そのままにして使っている、
という。
なぜなら、ろう者同士では、それが普通のこと
だからだという。
このことはおそらく、ろう社会ではろう者の先輩を
尊重するからではないか、と思われます。

健聴者の言うことが正しくても、
ろう者同士でのコミュニケーションでは、
その慣習、日本語であっても、ろう者世界ではろう者の
日本語の使い方に従う、のだという。

難聴者のなかには手話論争をする人を、
ときどき見かけますよね。
正しい手話しか覚えようとしない人、
正しい手話を使う人としか、
交流しようとしない人がいます。
その意地には、ものすごいものもあります。
私も、そういうタイプの人に攻撃された
ことがあります。

でも「正しい」って、誰か決めている人がいるのでしょうか?

(財)全日本ろうあ連盟が新しい手話をたくさん
つくったりしますが、そのなかにも広まらずに、
なくなっていく手話も多いですよね。

また、標準手話を使おうとしないろう者を
日本中の聴覚障害者の手話が通じない
原因とし、非難する難聴者もいます。

言葉の正統性にこだわる人は

「正しくなければ、通じない」

とでも思っているのでしょうか。
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by bunbun6610 | 2012-02-20 18:56 | コミュニケーション能力