視覚障害者への就労支援のあり方から

当ブログ
『精神障害者への就労支援のあり方から』(2012-02-13 22:05)

『第4回労働・雇用分野における障害者権利条約への対応の在り方に関する研究会議事録』
(平成20年8月7日)
議題; 障害者関係団体からのヒアリング
より。

に続く、視覚障害者側の意見です。

これも
社会福祉法人日本盲人会連合 副会長 時任基清氏のお話は非常に長いので、
一部抜粋(青字部分)させていただきました。

これまで通りに、私の思ったことも後で加筆してみたいと思います。


○時任氏
>「数年前には、視覚障害者の職域として電話交換というのが
非常にもてはやされたというか、前進した時期がございました。
ところが、ご存知の通り、電話事業があまりに進みまして、
ダイヤルインがどんどん入ってきたものですから、
電話交換は全くなくはないのですが、非常に多くの部分では、
もうダイヤルインになってきて、電話交換手というのは全国的に
非常に数は減ってございます。
従って、視覚障害者の職域としてもしぼんできています。

また、やはり同じ頃にコンピュータプログラマーというのが大変
進んでまいりました。
ところが、これについても、コンピュータそのものがどんどん進んで、
ビジュアル化してきています。
写真とか絵とか地図とか、その他いろいろ取り込んでまいりますと、
ちょっと音声対応ではやり切れなくなってきています。

どうしても、コンピュータプログラマーとしての業務を遂行していくには、
健常者のサポートといいますか、必要になってきているというのが
実状でございます。

しかし、一方では、パソコンとかそのネットワークが普及してきたので、
事務的な仕事についても音声パソコンを使っての視覚障害者の
道が何となく開けてきています。
従って、ここでは今後、この訓練が非常に重要だと考えております。」



 →時任氏のお話を読んで、聴覚障害者の立場で思えたことが
あるのですが、視覚障害者の話し方というのは、こんなに細かい
日本語使用で、長くて難しくなりがちなのかなぁ、と思ったりしました。

私の周りの聴覚障害者で難聴者を除いた人なら、
もっと短くストレート言葉で話す人が多いような気がするのです。

難聴者の話し方も健聴者と同様で、長ったらしい言い回しが多い
人も見かけたりします。

ですから、これも各障害者の特徴なのかな、と思ったりします。
視覚障害者は、見えないぶん、耳でできるだけ多くの情報を
取り入れたいと望むため、その人たちへの話も細かいのかな、
と思ったりしました。

ところで、職種が狭まっている、とのことですが、視覚障害者の場合は、
パソコンのビジュアル化が原因ですが、聴覚障害者にとっては
逆にそれがバリアフリー化になっているという、相反した結果に
なっているようです。

でも、ハローワーク関係者の話によると聴覚障害者も、
精神障害者が法定雇用率にカウントされるようになってから、
優秀な人が多い精神障害者の雇用が進んできたため、
聴覚障害者の雇用が逆に減ってきている、という証言も
あるくらいです。

このような関係があるからなのか、障害者労働市場は、
なかなか全体的な底上げにはなりにくいようです。


>「視覚障害者に対する合理的配慮というところです。
視覚障害というのは情報障害だとよく言われておりますが、
情報障害というと、ピーンとくるのは、情報という言葉の意味ですが、
マスメディアの情報というのをまず考えるかと思いますが、
実は、視覚障害者における情報障害というのは、そういうことでは
ありません。

よく私が例にしますのは、道を歩いていて、そこにちょっと穴があった、
水たまり場があったという場合、目のいい方は、もう何の意識もなしに、
視認しているわけです。
ところが、私どもはそれが全く分からないので、ボチャンといったり、
ゴロンとはまったりするということなんですね。
どんなことに困っているかというと、移動とか、文字処理とか、
コミュニケーションとか、そういうことが大変に困難なわけですが、
では、音声パソコンなどの補助機器を使ってくぐり抜けることが
できるかということなんです。

ところが、これだけではやはり無理で、人的な支援、ヒューマンアシスタントと
いいましょうか、そんな支援がどうしても必要だということになります。

これは、視覚障害の場合には、あらゆる場面でいえるのではないかと
思います。」



 →視覚障害者の情報障害、コミュニケーション障害とは何か、
よくわかる説明だと思いました。
正直、考えたことがなかったです。

それと、やはり福島智氏が「人にまさるものはない」と言われていましたが、
ヒューマン・アシスタントはどの障害者にも必要だと思うし、
障害者の生活の安全だけでなく、高い労働力の実現にも必要不可欠なの
ではないか、と私も思います。
これはきっと、企業にとってもプラスになるはずです。

勿論、このためのヒューマン・アシスタントを開発し、活用することは、
社会資源の活用、また経済全体にも良い影響を及ぼすはずです。


>「ハローワークに行きますと、求職者はみんな機械の前に座って、
求人の状況を検索するわけですが、このツールがやはり視覚障害者に
全く使えない状況になっています。
これを改善して、目の見えない者も使えるようにするか、あるいは
人的サポートをつけていただいて、検索ができるように変更していただく
ことが何より大事だろうと思っております。」



 →ハローワークのやり方には、視覚障害者だけではなく、
聴覚障害者にとっても、問題があると思います。
その点は、別の記事欄で取り上げてみましたので、参照して下さい。

 →『聴覚障害者が応募できない職種を減らそうではないか』
   (2012-02-18 07:59)参照。


>「中途視覚障害者については、賃金の賃下げということが行われたり、
それから、障害年金を受けているような人については、その年金分を
差し引いて賃金を考えるといったようなことが行われているようです。
これは合理的配慮に欠けるというよりは、むしろ差別であるということで、
そのようなことの禁止を決めるべきではないかと考えております。」



 →障害年金があると、これは非課税なのですから税収は上がらない、
というデメリットになります。
ですから、健全な社会とは障害者といえども障害年金を廃止し、
障害年金がなくとも暮らせる社会にすることではないか、と思うのですけれども。

これについては、当ブログのカテゴリー『障害者の経済学』を参照して下さい。


>「中途失聴者・難聴者の方々は、例えば、課長職に就いた時にという
お話しがございました。職務能力の評価の場合に、いろいろな機器や
ツールを使ってやっていただけでは、正しく発揮できません。

やはりそこにヒューマンアシスタントを使うことによって、その人の
もっている能力が大きく発揮できるんだと考えます。」



 →ヒューマン・アシスタントは、既にあります。

 →http://ns2.ikuseikai-tky.or.jp/~iku-tokyo-jc/

 →http://www.fuku-syuuro.or.jp/jobcoaches/index.html

支援制度はあるのに、企業は使おうとしないのです。


>「採用された後に視覚障害に陥る中途視覚障害者の職員の問題が
あります。
失明したというだけで、解雇したり、退職を勧奨するということは、
明らかに差別に当たるということをはっきりと決める必要があるだろうと
思います。
これを禁止すべきであると考えます。
これはどういうことかというと、その会社の仕事で、この視覚障害を
受けた人が一定の訓練を受ければ、行える職種は必ずあるはずです。
いきなり見えないということだけで解雇や退職勧奨というのは不法だと
考えます。
また、社内研修や試験などについても、合理的な配慮が必要だと考える」



 →障害を受けても、リハビリテーションにより、仕事を続けられる、
ということは社会全体にとっても、メリットがあるという
『障害者の経済学』が、まだ広まっていないのだと思います。


>「就職前に訓練を受ける、それから、就職直後に訓練を受けるというのは、
特に会社の中におけるコンピュータの特殊なソフトなどのことがありまして、
就職前訓練だけでは職場に適応し切れない場合があるので、
就職後の訓練も必要でありますし、在職中にも環境の変化、
例えば会社のコンピュータを入れ替えるとか、特別の訓練が
必要だと考えます。

視覚障害者の訓練については、一般の例えばコンピュータの
会社から来た人が、会社の人に説明するというだけでは、
対応仕切れません。
その意味で、高度の専門性が要求されるだろうと思います。

例えば、社外での訓練を受けるなどについての、会社としての理解、
もちろん本人の努力もありますが、会社としての理解と、
それから行政としての、このことについての援助が必要だと
考えております。」



 →聴覚障害者の私も、この点は苦心しています。
ハンディが克服できないため、なかなかスキルアップができず、
取り残されてしまうのです。
これも企業、さらに社会にとっても損失だと思います。
日本の現在の障害者施策は無駄と言えるかもしれません。


>「失明するまでに身に付けてきたその職場としてのノウハウを
十分に生かすことができるということがありますので、
就職後の中途視覚障害者は雇用を
継続していくという事が非常に大切です。
そのために、リハビリテーションを受けるということが必要で、
事業主の理解と協力が必要になります。
このリハビリテーションの訓練内容は、まず生活訓練と、
それから職業訓練ですが、例えば、歩行訓練、そしてコンピュータ等
の取り扱い、音声パソコンなどの使い方の訓練などです。

いわばリハビリテーションというと、機能を回復し、社会復帰ということ
なんですが、目が再び見えるようになることは見込めないため、
この一連のリハビリテーションの状況を研修として受け入れて、つまり、
在職のまま企業の職務研修としてこれが受けられるようにしていただき
たいと考えております。」



 →障害を回復できないため、それを目的とするのではなく、
それと上手に付き合いながら、障害者の労働力を高めていくことが
必要なのではないか、と思います。
それには、企業の協力も勿論、必要です。

国立リハビリテーションセンターには、例えば下記のようなセミナー等
があります。
企業もこれを積極的に活用してほしい、と思います。

 →http://www.nvrcd.ac.jp/t_seminar.html

これらのセミナーには原則として、企業の金銭的負担はほとんどありません。
にもかかわらず、企業はなぜ利用しようとしないのでしょうか?

これは、企業側の障害者雇用助成金だけを目当てとする、
障害者差別が原因で起きている問題です。


>「特に医療関係の職種における欠格事由が廃止されております。
目の見えない者とか、耳の聞こえない者というのが、あらゆる職種に
あったのですが、それを廃止したというだけで留まっていないで、
点字とか拡大文字による受験、あるいは音声パソコンによる受験、
それからほとんどが今、私たちが受けられる試験は時間を延長して
いただいております。

点字、拡大文字等による障害者の受験については、大体1.5倍の時間を
いただいておりますが、これがどの程度が合理的かは別にして、
時間の延長ということが必要です。」



 →欠格条項の撤廃のことを言っています。
『障害者欠格条項をなくす会』の臼井久美子氏が有名です。

 →http://jinken.ne.jp/challenged/kekkaku/usui_1.html

それだけではなく、職場の一層のバリアフリー化も望まれています。

これによって、真の働く権利が保障されるといえるでしょう。


>「「あはき」についても、業務の中でいろいろと文字処理が必要なことが多い
わけです。
それから、医療機関においても、もう今や大きな医療機関では、
カルテが電子化されておりますので、それを読み上げてもらうなどの
援助がどうしても必要だということで、人的援助というのは、
もう標準化していく必要があるだろうと思います。」

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by bunbun6610 | 2012-02-18 10:27 | 就労後の聴覚障害者問題B


ある聴覚障害者から見た世界


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