通訳者拒否を通して見える、権利侵害

会社は費用負担をしたくないようです。
理由はいろいろ考えられます。
例えば、

①「なぜ、聴覚障害者個人の情報保障のために、
 会社が費用を出さなければならないのか、
 納得できない」

②「聴覚障害者が連れてくる通訳は無料なのでしょ?
 今までの派遣(入社前や、労働問題相談などでの通訳者派遣)
 は無料なのに、どうして入社後は原則、会社負担になるの?」

③「会社の中でのことであっても、
 会社が強制参加させているわけではない」
 〔会社から、結論として出された〕
 (例;健康に関する社内面談。
 「健康相談は本人希望によるものだから、
 会社費用負担はおかしい」と主張された)

理由はともかくとして、結局は聴覚障害者が
会社に情報保障を頼むと、
いつもこうした困難にぶつかります。

そして、ほとんどの聴覚障害者は
あきらめざるをえません。
そのあきらめてしまう理由には、
次の二つが多いようです。

①会社に全額負担はおかしい。それなら、あきらめるべきだ。

②仕方がないから、あきらめる。
(なぜ「仕方がない」のかは聴覚障害者本人に聞かない限り、
わかりません)

もし、どうしても通訳を頼みたいならば、
派遣センターに、泣く泣く相談し、
個人派遣が可能な範囲なのか、
判断してもらうことになります。

そして、派遣が認められるという、
喜ばしい結論になったとします。

しかしそれでも、断る会社は多いのです。

会社が、聴覚障害者の権利を保障しなければ、
聴覚障害者が泣いてガマンするか、
公金投入で派遣してもらうか、
のどちらかしかありません。

ところが、公費派遣でも会社は通訳者派遣を
拒否する場合が、当たり前になっています。

この理由が何なのかは、
私もよくわからないのですが、
健聴者が(聴覚障害者と対等ではなく)
上になって判断する以上、
どうしようもないことです。

実際はガマンして、自分だけ会社で損している
聴覚障害者が、圧倒的に多いのです。

皆さんは、ここまで読まれて、
どう思われるでしょうか?

情報障害は、耳が聞こえないからとか、
筆談の日本語がわからないからとか、
聴覚障害者のほうに原因がある、
とばかり考えられています。

しかし、この事実を、よく分析して考えてみると、
それは違うんじゃないか、
と気づかれるのではないでしょうか?

私ならば、健聴者の思考のほうにも原因がある、
と考えます。
それを理解してもらうことから、
真のバリアフリー改革が始まるのだと思います。
理解とは、まずそれからです。

また、

「①なぜ、聴覚障害者個人の情報保障のために、
会社が費用を出さなければならないのか、納得できない。」

ということに対する疑問点には、私なら

「そう言う会社のほうこそ、
聴覚障害者を社員だと考えていない証拠なのではないか」

と、逆疑問を浴びせるでしょう。

もしも、「ボランティア(費用負担なし)なら、認める」
と言われたこともあります。

しかし、費用負担を求めない場合でも、
結局はまた次の理由をつけられます。

「社内に、外部の者を入れさせて、
話しを聞かれるのは困る」

と反対する人もいるからです。
けれども、「会社の秘密保持」を理由に拒否するのも、
おかしいのです。

当たり前のことですが、通訳者には通訳したことの
会話等一切を外部に漏らさない、という守秘義務があり、
違反すると厳しく罰せられます。

ですから「それでも拒否する」ということは、
何が理由なのかと、
疑問に思うのも当然だと思います。

ただし、理由がわからなくても決定的なことが
一つは言えます。
これは聴覚障害者に対する「権利侵害」だと
いうことです。
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by bunbun6610 | 2012-02-18 01:40 | 情報保障・通訳(就労)
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ある聴覚障害者から見た世界


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