健聴者には気づかれにくい障害

聴覚障害者には、相手の健聴者が何と言ったのか、
正確な確認はできない場合があります。
そんな時は、健聴者の言いなりになってしまうこともあります。

【実例】
私の作文
「私が中学生のとき、授業中に先生が生徒全員に

「目をつぶれ」

と言いました。
皆は目をつぶったのですが、私だけ聞こえないので

「目をつぶらなければいけない」

とは知りませんでした。
その時、先生は私だけ目をつぶっていないことに気づいて

「目をつぶれ!」

と言いました。
しかし、それでも私は目を開けたままでした。
そして先生は怒った顔をして私に近づきもう一度

「目をつぶれと言っているだろう!」

と怒鳴り、私の頭を叩いた。
それで私はびっくりして目をつぶりました。
それからしばらくして目を開けてみると、
皆は目を開けていて、先生は話をしていました。

その話とは、言うことをきかない私の頭を叩いたら、
目をつぶった、という話でした。

なぜそれがわかったのかというと、
その状況を見聞きしていた皆が大笑いしていたから
です。」



さて、読者の皆さんは(特に健聴者の方)、
これを読んで何か思うことはありましたでしょうか。

多分、

「聞こえないあなたが、ここまで状況を
文章にして書けるのはなぜ?
おかしいではないか?」

と思う方もいると思います。
私も、健聴者からそういう疑問が出てくることは
自然なことだと思っています。
なぜなら、この文章は完璧で矛盾点が見当たらない、
と思うからです。

別に、自慢しているわけではありません。
正直に言って、この文章はよく書けているとは思っていても、
本当にこの通り(つまり事実)であったかどうかは、
私にはわからない
のです。

自分の人生経験に基づく、推測で書いているに過ぎないのです。
それにしても、よく書けていると思いませんか?
あたかも、私は聞こえる人間のように、です。
この特殊能力こそ、私が今まで、
健聴者から誤解をもらってしまう原因だったのです。

私の特殊能力の種明かしをしてみましょう。
(「特殊能力」はオーバーかも?)


(1)先生がだんだんと怒ってきて、私に近づいてきたので、
指示とか注意を言われているのだとわかった。

(2)先生がたまたま、私の頭を叩いたので、
怖くなって目をつぶった。
そうしたら、先生に怒られなくなった。
だから「目をつぶれ」と言ったのだとわかった。

(3)聴覚障害者には、口パクの数と口型を見ただけでも
「目をつぶれ」と言っていたのだろう、と推測が可能だった。
私の場合でも、後になって推測し、わかった。

(4)事が終わった後、なぜ皆が目をつぶっていたのか、
その理由が上のことを体験して、わかったから。

(5)その時には、何が起きていたのかわからなくても、
後になってみると、状況を分析できる。
それで、わかっていた情報に自分の推測を加え、
ストーリーを論理的に組み立てることが可能である。
だから、このような作文は、完全に聞こえていなくてもできる。


というわけで、頭の良い難聴児だったら、
親も先生も気づくのが難しくなるのかもしれません。
これでも、聞こえているのとは違う、というわけです。

聴覚障害は気づきにくい障害だということが、
この例でもおわかりになると思います。
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by bunbun6610 | 2012-02-05 23:38 | 聴覚障害
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