手話言語法って、何? (1)

財団法人 全日本ろうあ連盟から、

『みんなでつくる手話言語法』(財団法人全日本ろうあ連盟)

 →http://www.jfd.or.jp/2011/10/22/pid7175

 →http://www.jfd.or.jp/2011/08/05/pid6302

 →http://www.jfd.or.jp/2011/12/27/pid7106

という冊子が出版されています。

昨年9月に、ようやく「(仮称)情報・コミュニケーション法」を
求める116万筆の署名が、国へ提出されたばかりです。

その後に、手話を日本語と同等に言語として
実質的にも認めてもらうために、
手話言語法も求めることになったのかな、
と理解していますが。

具体的には、手話言語法とは一体何なのか、
健聴者はまだ誰も知らないだろうし、
身近なろう者に聞いても、知らない人ばかりです。

私はこの冊子を読んでみましたが、
ろう者の権利を護る法律の必要性は理解できます。

ただ、何度読んでみてもわからない点、
疑問点も幾つかあります。

健聴者や他の聴覚障害者(ろう者でない聴覚障害者)に、
この冊子の内容を全て理解し、
納得してもらうことは、
まだ非常に難しいのではないだろうか、
と思います。

ろう者は、自分たちの言語文化である手話を、
社会的に認めてもらいたいわけなのだが、
例えば

「『ろう者』とは何?」

「『手話』とは何?」

ということもきちんと理解されていないと、
問題が起こることは避けられない、
と思います。

しかし、だからといって

「この法案は、まだムリだ」

でも困ると思います。


個人的な視点で述べると、これは今の社会に対する、
ろう者側からの問題提起とも、とらえることができます。

そして、今までの“ろう者に対する間接差別解消”
の道筋にもなると思います。

その辺が目標ではないだろうけれども、
まずそこから始まってゆくのではないか、
と思っています。

この冊子を読んだ限りでは、「手話言語法」の場合、
「情報・コミュニケーション法」との違いは大きいです。

まず、この冊子の著者は、
(財)全日本ろうあ連盟ただ一つです。

その他の聴覚障害者団体にも、
手話を使う聴覚障害者はいますが、
一切関わっていないようです。

それでなぜ「みんなでつくる」なのでしょうか?
その「みんなで」とは、どういう意味なのか、
どうもよくわかりません。

というのも、必要とする対象者は、
この冊子の32、33ページの記述にもあるように、
聴覚障害者のなかでも、
「ろう者」のための法律だとしている点です。


「『情報・コミュニケーション法とは何が違うのですか?』
情報・コミュニケーション法の対象者は、
ろう者、難聴者、中途失聴者、盲ろう者などの聴覚障害者のほか、
視覚障害者、知的障害者、発達障害者など、
情報とコミュニケーションの支援が必要な
すべての障害者となる予定です。

法律の内容は、情報へのアクセスやコミュニケーション手段の
選択と保障が中心となります。
コミュニケーション手段は、手話のほか、文字、触覚による
意志伝達などが含まれます。

それに対して、手話言語法の主たる対象はろう者です。
ろう者がろう者の手話である言語を獲得し、
使用する権利のひとつとして、情報へのアクセスおよび
コミュニケーション手段の選択が位置づけられます。」



「手話言語法制定の取り組みはそれらの前提となる
ろう者の手話に焦点を当てています。
ろう者の立場から手話言語法制定を進め、
手話の法的な位置づけをしっかりとしたものに
することによって、他の法律もろう者の意志を
正しく反映するように導いていくことができます。」



当然に、ろう者の手話というのなら、
ろう者の使う「日本手話(JSL)」
を指している(おそらくですが、確実なことは不明です)
と思われます。(※)

(※)参考1;『<手話とはなにか> 日本手話(以下単に手話)は
日本のろう者の言葉です。
それは、「ろう者だけの言葉」というより
「ろう者の使っている言葉」という意味です。
…言葉は同時に言語を意味しますが、
手話は未だ法律的に「言語」と認知されている
わけではありません。
そのことはろう者にとって社会的不利な条件の
一つとなっています。』
(『手話教室 入門』〔厚生労働省推薦、
(財)全日本ろうあ連盟2003年7月25日第11版発行〕)



こちらは「ろう者」、それぞれの人(他の聴覚障害者や健聴者)が使う
「それぞれの手話」を明確に区別して、考えている例です。
(※)参考2;http://www2s.biglobe.ne.jp/~kem/library/syuwatowa.htm


こちらは「ろう者」ではなく「聴覚障害者」と記している例です。
(※)参考3;http://www.symphony.co.jp/fukusi/shuwa/hazime.html
       http://www.jintsuken.com/600/2010.06.pdf

このような例は、インターネットで

「手話は聴覚障害者の大切な」

などで検索すると、幾つかでてきます。

あちこちから聞いているうちにだんだん、
何が何だかわからなくなってきますよね。

しかし、用語の本来の意味から考えれば、

「聴覚障害者(deaf)=ろう者(Deaf)」

ではありません。

また、

「手話には、
 ①日本手話(主にろう者使用)
 ②日本語対応手話(主に難聴者使用)
 ③中間型手話(主に手話通訳)
の3つがある」

で、現実に全員一致しているわけではないようです。

聴覚障害者(deaf)には、
手話が全く分からない聴覚障害者(deaf)も含むし、
手話が分かる聴覚障害者(deaf)でも、
それは日本語対応手話しか分からない聴覚障害者(deaf)
もいるし、とにかくいろいろな人がいる
(文化・言語学的に言えばDeafとdeafの人がいる)
のです。

最近は生まれつきのろう(deaf)でも、
手話を知らない聴覚障害者(deaf)がいます。

ちなみに、英語表記の「Deaf」が、日本手話を使う、
ネイティブサイナーのろう者(Deaf)をさしています。

では、ろう者の言語(日本手話)でない他の手話は手話ではないのか、
というと、それは答え方が難しい。
『基礎から学ぶ 手話学』(神田和幸/編著)を読まれてみても良いと思います。
 →http://www.amazon.co.jp/%E5%9F%BA%E7%A4%8E%E3%81%8B%E3%82%89%E5%AD%A6%E3%81%B6%E6%89%8B%E8%A9%B1%E5%AD%A6-%E7%A5%9E%E7%94%B0-%E5%92%8C%E5%B9%B8/dp/4571121067


私は健聴者や難聴者、中途失聴者とも
よく話すのですが、やはり「ろう者」とか「聴覚障害者」とか、
「手話」とかいう言葉の意味のとらえ方が、
ろう者側の主張と健聴者、他の聴覚障害者とでは違っているな、
と思いますし、そのズレを感じるわけです。

一年や二年の手話学習者には、まだ理解できないかもしれませんが、
たとえ長い人でも、ろう者(Deaf)、
その他の聴覚障害者(deaf)とも関わらない人は、
実情を理解できていない健聴者が多いように思います。

そんな経験から私は、

「手話ができること、上手いこと=(イコール)ろう者(Deaf)への理解、
ではないのだな」

と思っています。
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by bunbun6610 | 2012-01-16 21:06 | 手話言語法


ある聴覚障害者から見た世界


by bunbun6610

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