難聴者コミュニティ形成の難しさ(2)

私は東京都福祉保健局主催『中途失聴者・難聴者対象手話講習会』に
通ったことがあります。

 →http://www.tonancyo.org/index.html

 →http://www.tonancyo.org/09syuwakosyukaitirasi.pdf

そこでは、最長で2年間学べるのですが、申込者の手話獲得状況を、
まず講師が見てから、どのクラスから学習を始めるか決まります。

そのクラス分けが入門、初級、中級、上級とあり、それぞれが約6ヶ月の
学習期間になっています。
すべて基礎課程レベルの学習で、健聴者対象の手話通訳者養成を
目的とした手話講習会とは、カリキュラム内容が全く違います。

入門クラスは、手話を全く知らない難聴者を対象としており、
OHP要約筆記通訳がついていました。

ここでは、手話学習というより、まず手話とはどういうものなのか知り、
体験してみる、といった感じなのですが、この段階で、
1ヶ月もしないうちにやめてしまう難聴者も何人かいました。

それまで日本語だけに慣れ親しんできた人にとっては、
言語があまりに違うからか、抵抗感を持つ人もいるようです。

これは、難聴者コミュニティ形成が難しい理由の一つになると思います。

初級クラスからは、要約筆記通訳がつきません。

それに対して不満を言う難聴者もいましたが、
要約筆記通訳がつくと情報保障になっても、
講師の手話をきちんと見ない、
手話の学習にならなくなる、という問題が生じてきます。

特に、日本語文字を使っての手話学習をしていると、
難聴者はそれを見ながら、過去に覚えた手話単語を思い出し、
表すだけの、完璧な日本語対応手話になってしまいます。

難聴者の手話が、ろう者の手話とかなり違っている理由の一つが、
この学習法にあることは間違いないと思います。

そして、いったんこの癖がついてしまうと、
なかなか手話通訳でも採用しているレベルの技能は獲得できなくなって
しまいます。
他の手話を覚えようとしなくなります。

この問題は、個人差や、年齢が高くなるほど、手話を覚えるのが難しくなる、
という傾向も原因なので、やむをえないと思いますが、
それによって手話獲得能力と状況に、幅が出るということです。

つまり、ろう学校のように、生徒が比較的まとまって習得されていく、
というわけではないのです。

このバラツキが、同じ手話クラスの生徒でありながら、
集団の分裂へと進んでいきます。

難聴者対象手話講習会の話が長くなってしまっていますが、
この話は難聴者のコミュニティ形成が難しいという話と、
関係があるというか、背景になっていると思いますので、
まだ続けさせていただきます。

中級クラスは初級で学んだことの復習、プラス、ステップアップの
ような内容で、基本文法から幅を広げていきます。

そして上級が、前期はオノマトペとかの手話表現(ろう者の使う
日本手話を学ぶ)、後期から引き続き学習と、発表会の準備を、
半々に行います。

発表会とは、2年間の手話講習会で学んだ成果を、全員、
またはグループに分けて準備、練習し、
修了式の後に全受講生の前で発表する、というものです。

この発表会の準備状況を見て、私は、

「難聴者のコミュニティ形成は本当に大変で、
難しいなぁ」

と痛感しました。

(つづく)

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by bunbun6610 | 2011-08-23 21:29 | 難聴・中途失聴
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