『母べぇ』

8月14日(日)夜、テレビ朝日放送の日本映画『母べぇ』を観ました。

 →http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%AF%8D%E3%81%B9%E3%81%88

途中から観たので、物語の全体像はわからなかったのですが、
山ちゃん(山崎)という難聴者が出てきて、
その役が映画の物語の中でわりと占めていたので、
その点でも少し興味を持ちました。

「片耳が遠い」という障害程度では、障害者認定はないし、
本人も、どうしてもコミュニケーションに困ったときだけ
カミングアウトする程度なので、これも難聴者っぽいシナリオ、
演技だと思いました。

あと、山ちゃんは映画にあまり登場してこないですが、
子どもを助けるシーンなど、子どもと会話するには、
コミュニケーションに困っていないように見えました。

私はテレビの音声も聞こえないので、子どもの声がどれぐらい
の大きさだったのかわからないのですが、私の子ども時代の
経験では、子どもの声は大抵元気で大きい場合が多く、
話し言葉も短く、内容を理解しやすかったと思います。

そのあたり、健聴の視聴者には、

「難聴には見えない」

と思ったのではないか、と思いました。


だけど、恋愛には、難聴者にもある、どこか億劫そうな性格がにじみ出ていました。
好きな相手はいるらしかったのですが、言えないでいる性格とか。

あるいは、大人しくて、話し好きとは思えない性格とか。

そして、山ちゃんが戦友に託した最期の言葉は、
まさに愛する人へのものだと思うではありませんか。
なぜ、出征する時に相手に言わず、あの時になって言ったのか。
シラノと同じでしょう。

 →当ブログ『シラノ・ド・ベルジュラック(エドモン・ロスタン原作)』(2011-04-13 22:56)参照。

シラノの鼻のコンプレックスも、難聴者の難聴コンプレックスも、
似たようなものです。


この映画の核心的部分ですけど、
「日本はどうして戦争をしたのだろう?」
と思います。
「どうして日本人は国家に従順で、戦争を悪いと思う人があんなにも少なかったのだろう?」
とか、思います。
「あの戦争を止めようとする人がほとんどいなかった日本は、
ある意味で異常な社会でしたが、あれが今でも、日本人の常識なんじゃないか?」
と思ったりします。
「もう過去の話」ですむことではないと思いました。


私の両親もそんな感じです。
ただ国家が決めた流れに向くまま、生きているのだと思います。
今も、何が正しいか、を国民一人ひとりが、自分で真剣に考えていないのではないか。

両親が戦争について語ったことは、ほとんどありません。
多分、ほとんど何も知らないのだろうと思います。


終戦日から66年になりましたが、戦争体験の話を聞くことができずに育った
聴覚障害者もたくさんいたと思います。

逆に言うと障害者が人間らしく生きられる社会こそ、本当の平和なのかもしれません。

平和に見えるけど、平和でない。
それじゃあ、本当の平和とは何か?
どうしたら、そういう社会にできるのか?


映画を途中から観たので、よく言えませんが、母べぇにとって、
国家が父べぇを引き離しすという国家暴力から、平和ではなくなったんじゃないか、
と思います。

平和とは、戦争のない時代、という意味だけではないと思います。


 「愛の反対は憎しみではありません。無関心です。」(マザー・テレサ)

この言葉の意味は、人により、いろいろな受け止め方があると思います。
愛も憎しみも、相手と向き合い、影響しあっているのですけど、無関心はそうではありません。

日本人は太平洋戦争のときも、無関心という罪を犯した、と思うのです。
無関心が罪だったと認めているからこそ、忘れないように、残し続けようとするのだと思います。

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by bunbun6610 | 2011-08-15 23:01 | 雑談


ある聴覚障害者から見た世界


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