障害者の経済的依存が生んだ、社会的リスク

「世界銀行の調査では、世界の最も貧しい人々は、障害者の20%であった。
ユースの30%は、障害を持っている。」
         (ドン・マッケイ大使〔元・国連障害者権利条約特別委員会議長〕)


企業のほとんどが障害者を雇用しない、または雇用しても、ただの罰金逃れや助成金目的
だったりすることが蔓延しています。

助成金をもらっていても、パート・契約社員のままで正規雇用せず、その金は障害者のいる
職場改善や、新たな障害者雇用のために遣われていない、という問題点が残ったまま、
障害者への差別的状況の改善にはつながりませんでした。

日本の企業の多くが障害者を利用して、公金を食い物にしている状況なのです。

【特定求職者雇用開発助成金の使途目的】
「助成金は、雇用された、また新たに雇用される障害者の職場環境整備のために支給している。
しかし、ハローワークは助成金の使途目的の指導までしていないし、実態調査もしていない。」
(ハローワーク専門援助第二部門職業相談担当 2010年8月当時〕)


【特定求職者雇用開発助成金】

 →http://www.mhlw.go.jp/general/seido/josei/kyufukin/c02-4.html


【特定就職困難者雇用開発助成金】

 →http://www.office-iwamoto.jp/article/13155587.html

経済学的にいうと、問題の根本は、障害者を雇用しない、また雇用しても助成金目的でしか
ないという、企業側の歪んだ姿勢にあるといえます。

【参考】障害者を解雇、雇止め(雇用契約の更新なし)をした場合の失業給付金の受給期間→http://tt110.net/13koyou2/P2-teate-kyuufunisuu.htm

 ・健常者の場合 90~270日間
 ・障害者の場合 150~360日間


〔日本の法定雇用率とは…〕
厚生労働省のF氏
(厚生労働省職業安定局 高齢・障害者雇用対策部 障害者雇用対策課 調整係長〔2009年6月当時〕)
の説明では、

「障害者雇用促進法もノーマライゼーションの考えに沿って進められている。
1.8%の法定雇用率は、働きたいという希望者数を満たす数値。
それに基づいて決まった数値。
法定雇用率を守っていない企業に対しては、指導している。
障害者が職場に定着し、また働いてもらう支援もしている」

です。
「障害者が職場に定着し、また働いてもらう支援もしている」は、はななだ疑問な答えですが。

しかし、1.8%を達成すれば、わが国の全ての障害者が労働に従事できるのではありません。
これは、とても低い設定値なのです。

参考→当ブログ『日本の超恩恵型障害者福祉施策と、障害者の雇用率』(2011-07-03 09:22)

それでも、法定雇用率未達成の民間企業はまだ54.5%もあります(平成21年6月1日現在)。
大企業の7割弱が未達成、というデータもあるほどです。
下のものは、古い資料ですが。

 →http://wiki.blhrri.org/jiten/index.php?%A1%F6%BE%E3%B3%B2%BC%D4%B8%DB%CD%D1%C2%A5%BF%CA%CB%A1

 →http://q.hatena.ne.jp/1067725017

 →http://web.thn.jp/roukann/topikkusu6.html
 →http://homepage3.nifty.com/afcp/B408387254/C783119433/E20070710223252/index.html


このような現状をふまえて厚生労働省は、今後は障害者雇用納付金制度の対象も
拡大することに決めました。
違反企業が確実に増えることにより、納付金収入はアップしますが、
今度はどう使うのでしょうね?
もっとバラ撒いて、雇ってもらうのでしょうか?
しかし、これまでにも書いているように、それでは聴覚障害者の高転職率問題は、
解決できません。

 ・常用雇用労働者201人以上の事業主 平成22年7月~
 ・常用雇用労働者101人以上の事業主 平成27年4月~

障害者雇用助成金制度は、違反企業が払う罰金(上の納付金のこと)で
賄われています。
この集めた預貯金が数百億円あると言われています。
これが、障害者雇用助成金の財源で、企業はこれを目当てに障害者を
雇っているわけです。
(結局は、福祉と同様に、税金と同じしくみになっているのです)

しかし、それでもまだまだ、障害者が仕事を探すのは、非常に困難です。
さらに、障害者雇用枠が設けられても、障害者と募集職種との相性、
つまりマッチングが非常に難しいのです。
その為に、やっと応募できそうな仕事が見つかっても、採用される障害者は
非常に少なく、狭き門です。
自分の障害では、できる職種・仕事内容は限られています。 →職域が狭い

  (当ブログ 『狭き門のろう者雇用』〔2011-05-13 21:52〕
         『聴覚障害者への職域差別』〔2011-07-03 08:36〕  参照。)

これは、医学的見地からの、私への次の診断結論とは、大きく矛盾しています。

「コミュニケーションに支障がある以外は、働くことに問題はない」
                               (某大学病院の診断結果)

障がい者制度改革推進会議で議論されていますが、こうした医学モデルによる
障害認定では、障害者の就労問題は放置されたままになってしまい、
問題が解決されません。
ですから、社会モデルによる障害の認定が必要なのだと思います。

【障害者は、就労後も問題を抱えています】
●労働市場が狭く、働かせてもらえる時間、給料も少ない
 →社会保険にも加入できない仕事が多く、将来の年金生活も心配になる。

●さらに「重度障害者は障害年金があるから…」と、会社から
「低賃金の雇用で構わない」とされるケースも…

【障害年金に依存するリスク】
①障害年金の悪用
障害年金も実は「親が搾取していて、障害者本人の自立のためになっていない」
という衝撃的な事実が、『障害者の経済学』(中島隆信/東洋経済新報社)にも
書かれています。
最近明らかになった、高齢者年金の搾取事件と同類でしょう。

障害者ではなく、障害者を取り巻く人々が、障害年金を我が物にしている、
という事実が発覚しているのです。

②障害年金に依存する生活モデルではなく、就労参加モデルにすべき。
同時に、家族に依存せざるをえない障害者は、こうして自立への道も妨げられている
結果になっているのです。

しかしそれでも、障害者としては家族に依存しなければどうにもなりません。
こうして「家族が本人の社会的自立を阻む」という問題点が見えなくされてしまう
のではないでしょうか。

こうしたことは、もはや障害者個人の努力では無理で、社会の取り組みによって、
断ち切らなければなりません。


結局、障害者と企業の双方が、国に依存する構図が、自然とできあがってしまったのです。
障害者も生きるために、国に甘えざるをえない結果に。
そして、国の借金が一向に減らない結果にもなっていたのです。

そこで、税金の遣われ方が見直されるためにも、障害者雇用のあり方を、
再検討する必要があると言えそうです。

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by bunbun6610 | 2011-08-12 22:43 | 障害者の経済学


ある聴覚障害者から見た世界


by bunbun6610

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