障害者雇用の減退効果か、シナジー効果か

皆さんの会社に、障害者は働いているでしょうか?
重度身体障害者が、あなたの身近なところで
働いているでしょうか?

ある日のことです。
私が役所の障がい者福祉課へ相談に行ったときの
ことです。

私が窓口へ行って、誰かを呼ぼうとしましたが、
皆忙しそうな様子だったので、誰に話しかけてよいか、
迷っていました。
そこへ、障害者が私の目の前を、
右へ走ったり左へ走ったりしだしました。
何の障害を持つ人なのか、わからなかったのですが、
ヒマそうなのでとりあえず、その人に声をかけて
みました。

「○○さんという人に相談したいことがあるのですが」

そう言うと、その人はすぐに向こうへ行きました。
私はその人が担当者を呼んできてくれる、
と思い込みましたが、結局、誰も来なかったのでまた
別の人へ声をかけて、対応してもらいました。

今思うと、その障害者は、普通学校へ通っていた
私と違い、養護学校卒業生だったのかもしれません。

職場で誰にもかまってくれない障害者だったのかも
しれません。

「職場にとって、障害者とは、一体何だろう?」

漠然とそう思ったものです。

その頃、私はクローズ
(当ブログ『難聴者の会社面接対策(3)』2011-07-07 20:55)で、
一般就労者として働いていたので、それが障害者雇用
(福祉的就労)だとは知りませんでした。
そして、まさか自分も、そのなかに入ることになるとは、
思ってもいませんでした。

障害者雇用になるだけで職域制限(差別)を受け、
年収500万円から150万円以下になるという経験も
しました。
一般枠(クローズを含む)と障害者枠とで、
こんなに差があるとは思ってもいませんでした。
これでは所得税も当然「払わなくていい」と言われました。

こんな経験をしたから私は、日本の消極的な障害者雇用を、
大いに批判したいと思っているのです。


障害者の仕事は、どうして簡単な仕事ばかりなのだろうか?

あるろう者に、昔、脱サラをした人がいます。
その人は自分の会社をつくり、自分のやりたいことを
始めました。
たった一つのハンディは、手話通訳者を雇えば大丈夫、
と思っていました。

ところが、実際に会社経営を始めてみると、
手話通訳費を払うだけでも大変でした。

普通、ビジネスはコミュニケーションから生まれることが
多いものです。
そのコミュニケーションをするのに健聴者はタダ、
それなのにろう者は高額な通訳費を払わなければならない、
というハンディは、あまりにも大きかったのです。

その人は相当悩んだ挙句、自分の会社をたたみました。
そして今ではまた、以前と同じく、福祉的就労に甘んじています。

この話は、非常に残念ではありませんか。

その人は高い能力を持っているのに、障害者だから、
という理由だけで、その能力が社会に発揮されず、
せっかく税金で養成された通訳者という社会資源もほとんど使えず、
低所得により税金もほとんど払うことなく、
手厚い超恩恵型福祉のなかで、保護されながら生きています。

こうした保護政策のなかで生きる障害者にとって、
福祉は本当に「ありがたいこと」なのでしょうか?

この国策はどう考えてもおかしい、と私は思います。

本当は障害者も、能力のある人ならば通訳を使って、
健常者と同じように仕事ができ、税金ももっと払えるように
サポートするほうが、社会にとってプラスになることは明らかです。

この場合、当然、通訳費は本人または会社の費用負担有り
(有料)でしょう。
通訳費の金額も公金との比率によって、調整すればいいことでは
ないでしょうか。

現状は、手話通訳だけで食べてゆける手話通訳者だっていない、
とも言われています。
それだけ、聴覚障害者は通訳を十分には使えない、
ということなのです。
そのままでは、手話通訳士という最高の資格を取っても、
辞めてゆく通訳士もいます。

聴覚障害者だって、使えない通訳をアテにはできなくなるでしょう。

しかし、労働通訳を有料実施し、聴覚障害者が労働市場に
進出してゆくこと、そうすれば今までのバリアは除去され、
聴覚障害者の所得も上がると思います。

より平等な社会実現への足がかりとなるでしょう。

そうすれば、障害年金もこの場合、停止もしくは廃止できるはずです。
現物支給的な福祉サービスも、本人が自分で稼いだお金で
買うべきなのが、本来の経済活動ではないでしょうか。

ハッキリ言って健聴者は、自分自身にも聴覚障害者にも
甘やかし過ぎている、と思います(※A)。
それが実は、障害者の自立を阻害しているということに、
気がついていないのでは、と思います。

(※A)障害基礎年金や障害者福祉サービスの財源は税金です。
そろそろ、この馬鹿げた障害者福祉へも、健常者がメスを入れても
いいのではないでしょうか。
もちろん、そこには障害者も含めてのフェアな議論が前提という
ことは、言うまでもありませんが。
当然、差別問題の議論も出てくるでしょう。



今のような、障害年金等に依存する障害者施策ばかりでは、
健聴者は障害者との関わり方を学ばず、
障害者も年金を遊びのカネに回したりする人もいる、
と思います(※B)。
そんな税金の遣われ方は、誰が見てもおかしいのでは
ないでしょうか?

(※B)「年金の存在は就労意欲の減退効果を持つ」
(『障害者の経済学』中島隆信/著より)
 …これは生活保護受給者が低賃金の仕事ではやろうと
しないのと、同じことだと見てよい。
また、年金と給与の二つをもらっていれば
「お金持ち障害者」であり、年金は株、ギャンブルなどに
使い込んでしまう障害者もいる。

さらに、障害基礎年金の場合、所得制限があるため、
給与がそれ以上に上がれば、減額または停止される。

→http://www.sia.go.jp/seido/nenkin/shikumi/shikumi03.htm

それで障害者は

「頑張ってまで、給料を上げたいとは思わない」

のである。
これも、やる気の無い障害者が多くなる一因だと思います。



そして、このままでは聴覚障害児が成人後の自分の職業を
考えるうえでも、非常に悩ましくなります。

せっかく頑張って医師免許を取得しても、就職できなければ…。
就職できたとしてもコミュニケーション問題が解決できなければ…。
開業医が夢でも、諦めたほうが…。
悩み続け、答えを出せないままで結局「仕方がない」で妥協し、
なりたくもなかった仕事に就く聴覚障害者は、
今まで一体どれだけいたでしょうか。

永遠にそうだと信じたくありませんが、放置すれば本当に
半永久的に続く問題だと思います。

今の若い聴覚障害者も「通訳は要らない」と主張する人が
増えていますが、そんなことを言えば逆に、
自分たちの首を絞めることになるのだということに、
いい加減に気づかないといけないと思います。

一方、働きたくても働けない障害者はどうするのか?
これも、放っていおいたり、障害基礎年金を支給するような
対策だけでは、良くないことは明らかです。

年金は本人がそれを上手に使いこなす知恵が必要なので、
場合によっては親任せにしたりします。

しかし、これが本人の自立のために有効に遣われて
いない例もある、ということは述べました。

その他にも、障害年金を目当てに重度聴覚障害者に
なりすました事件なども起きています。
この被害額も、かなりのものらしいです。

 →http://maroon.way-nifty.com/welfare/cat1712769/index.html

 →http://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%BA%AB%E4%BD%93%E9%9A%9C%E5%AE%B3%E8%80%85%E6%89%8B%E5%B8%B3%E9%9B%86%E5%9B%A3%E4%B8%8D%E6%AD%A3%E5%8F%96%E5%BE%97%E4%BA%8B%E4%BB%B6

障害者が今の差別社会のなかで生きていくためには、
生活費はもちろん必要ですが、
その方法として年金に依存させてしまうよりも、
本人の自立(いかなる就労とその報酬も含めた)
をサポートする社会システムを構築したほうが、
上のような犯罪も防止でき、より健全な社会に
なるのではないでしょうか?

この考え方はJD(日本障害者協議会)案にも、
組み込まれています。

 →http://www.jdnet.gr.jp/

つまり、これまでの画一的なシステムではなく、
恩恵型がよいのか、権利実現型がよいのか、
その中間に持っていき、バランスよく配合していくのか、
福祉サービスをその障害者に合わせてスライド制に
変えてゆこう、という考え方です。

障害者だからといって切り捨てる社会ではなく、
それぞれが関係しあって問題を解決してゆき、
シナジー効果を生み出せるような社会になって
ほしいものです。


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by bunbun6610 | 2011-07-12 23:14 | 障害者の経済学


ある聴覚障害者から見た世界


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