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自民党政権がつくった『デタラメ障害者福祉』の犠牲者

私の知人に、重複障害を持つ人がいます。

 ①聴覚障害(軽度難聴6級)
 ②軽度の知的障害
 ③両手の手指が不自由(指文字や数字を、完全に表現できない)
 ④両腕の可動性も難がある。(「新宿」の手話を完全に表現できない)
 ⑤片目の視力がないか、かなり弱く、もう片方の目もかなり悪い。
パソコンの画面から30センチの位置でも、フォントサイズ20の文字がスムーズに読めない。

この人の障害等級は、聴覚障害6級と、他の障害を合わせての5級だという。

日本語力は小学2年生程度で、身体機能は子どもより低い。
一般就労は無理なので、福祉作業所で働いている、という。
年齢は50歳を超えており、両親はすでに亡くなり、今は弟と二人暮しだという。

他に障害者福祉支援は何もなく、作業所で聴覚障害者は、その人だけだという。
そこでのコミュニケーション方法は、健聴者社会と同じく、日本語音声会話のみなので、
コミュニケーションにも不自由な思いをしている、という。
その人の唯一の楽しみは、仕事が終わった夜に毎週通う、聴覚障害者対象の日本語の勉強と、
手話サークルだけだという。

私はこの人と手話で話し、初めて「こういう人もいるんだ」と知った。
その人は手話ではコミができるし、正しき心と向上心も持ち続けている。
これは、家族や社会の無理解がもたらした、ほったらかしの犠牲者だ。

私も、聞こえないことによる差別を経験しているが、私の場合は耳が聴こえないだけでも
重度身体障害者に認定されているので、支援も受けられる。
私は、耳が聴こえないだけで、他は何ともありません。
働くことも問題なくできます。

しかし、重度身体障害者に認定されている私よりも重い障害者だとわかるその人は、なぜ5級で、
支援がないのだろうか。
国の決めた障害者認定基準は、全く理解できません。
ろう重複障害者施設にも入れないのだろうか。

日本の場合、要するに、持っている障害の数が多くても、それぞれが皆中途半端で、高すぎる基準に
達しなければ、この人のようになってしまうのだろう。
逆に、たった一つの障害でも、高い基準をクリアすると、超恩恵型福祉で手厚く保護されるわけです。

私は今、このブログで『障害者の経済学』で持論を説いているように、
保護されるよりももっと生かせる障害者だっている、ということも社会が考えてもらいたいのですが。
しかしそれだけでなく「今の障害者福祉は、何という不平等なことか!」と正直に思いました。


今日の朝も、次のようなニュース記事がありました。

『高血圧・心臓病は高齢で難聴になりやすい』
「65歳以上の高齢者で聴力に障害がある人は、全国で1500万人に上るとの推計を、
国立長寿医療研究センターがまとめた。」(読売新聞)

 →http://dailynews.yahoo.co.jp/fc/science/lifestyle_disease/?1307947088

この内訳はおそらく、ほとんどが障害者認定基準に達しない、65歳以上の難聴者でしょう。
というのも、障害者手帳取得の聴覚障害者は全体でも36万人しかいないのですから、
そうとしか考えられません。
データが全然合わないのですから、厚生労働省はきちんとした統計調査をしていないということです。
それと、次の資料を見ても、理由がわかります。

 『スウェーデンの聴覚障害者 ―日本との比較を通じて』 副主任研究員 水野 映子 (289 KB)
 →http://group.dai-ichi-life.co.jp/dlri/ldi/watching/wt1009.pdf

これも、日本では障害者認定基準が極端に高くされているために、聴覚障害者の統計には出ないのです。

その1500万人には、先天性難聴者、若年層や中年の難聴者人口は含まれていません。
こんなに多くの数の高齢難聴者が、放置されているのです。

「歳をとれば皆、難聴になるから、仕方がない」で済まされてしまい、高齢者の社会参加という
人権は放棄を迫られてしまうのです。

この人たちには、何も支援はありません。

また、18~50歳の6級聴覚障害者でも就職は厳しく、働けない人のなかには、
月額約8万円の生活保護費とアパート代補助4万5千円の支援を、
毎月受けている人がいますから、この人のほうが、先の重複障害者より、
ずっと恵まれているでしょう。

福祉作業所は、障害者がまず作業所に利用料を払い、そこを使わせてもらって、
働いた工賃をもらいます。
工賃から利用料を差し引くと赤字になってしまうところもあるようです。

それに、目が悪いというのに、眼鏡も買ってもらっていません。
こうした障害者を守るためにも、国連・障害者権利条約に見合う国内法整備が早急に必要です。
50年以上にも及んだ自民党政権が、それを今までずっと、やろうとしなかったのです。

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by bunbun6610 | 2011-06-13 22:46 | 国連・障害者権利条約

ある障害者から見た世界


by bunbun6610