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『福岡タワーの聴覚障害者バリアフリー』――手話のできるエレベーター・ガールが添乗員!

「あんな狭いエレベーターの中に、エレベーター・ガールがいて、意味があるのだろうか?」
「贅沢だなぁ」
と最初は思ったものです。
しかし後になってよく考えてみると、いろいろ気がつきました。

例えば、手話ができる。非常時にも、対応ができる人がいれば、お客様は安心できます。
手話によるコミュニケーションは、実は目には見えなかったバリアフリーで、
これは聴覚障害者から「健聴者」と呼ばれる一般客には、なかなか理解しづらいバリアフリーなのです。

これならば、東京新国際空港のようなエレベーター(※ 聴覚障害者バリアフリー設計になっている
 →http://journal.mycom.co.jp/articles/2010/08/02/haneda-80/index.html)
でなくとも、よいはずです。
何もこのようなエレベーターにすることだけが、バリアフリー策ではないと思うのです。

そこまで考えたとき、盲ろう者の東京大学教授・福島智氏の
(バリアフリー対策についての質問に対して)「人に勝るものはない」
という言葉を思い出しました。

人がいれば、手話だけではなく、様々な障害者に対しても、個別に対応し、適切なバリアフリーができる
のではないでしょうか。
盲ろう者の介助者を見ると、本当にそう思います。
今まで、健常者は「盲ろう者は何もできない」と決めつけていました。
しかし、そうではないのです。
マジョリティの健常者が、マジョリティだけの合理的配慮を進めてきた結果が、
マイノリティであった障害者へのバリアとなっていってしまったのです。
障害者への合理的配慮だけが欠けていたのです。
(この考え方については、詳しくは「国連・障害者権利条約」のカテゴリーをご参照下さい)

今の世の中、「コンシェルジュ」
(→http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B3%E3%83%B3%E3%82%B7%E3%82%A8%E3%83%AB%E3%82%B8%E3%83%A5)
という職業をしている人が増えつつあります。
そのような人がいるのだから、そろそろ国連・障害者権利条約に合わせて、障害者のバリアフリーを担う人が
出てきてもよいと思います。
本当に、どうして障害者には対応出来ないケースが多いのだろうか? と疑問に思います。
もし障害者にも優しいバリアフリーが実現すれば、それは「本当に全ての人々にとって利用しやすい、
最高のバリアフリー施設だと言える」と思います。

このような考えによるならば、本当のバリアフリー施設は機械の進歩とは関係がありません。
人こそ、最も大切なのだということになります。
会社でも、良い企業だと「会社の財産は人(従業員)」と教えます。
少し前に話題になった『日本でいちばん大切にしたい会社』(坂本光司/著)にも、そのようなことが書いて
あります。
本当に良い会社は、人への教育・研修、育てる労力を惜しみません。

人類が目指すべきものは格差を生む経済成長なのか、それとも全ての人々が真に豊かになることなのか。
これは、人権思想にも関係します。

『福岡タワーの聴覚障害者バリアフリー』――手話のできるエレベーター・ガールが添乗員!_a0196876_1104417.jpg




by bunbun6610 | 2011-04-17 01:11 | 情報のバリア&バリアフリー

ある障害者から見た世界


by bunbun6610