シラノ・ド・ベルジュラック(エドモン・ロスタン原作)


「コーダ」と呼ばれる人をご存知でしょうか?

 →「コーダ」(ウィキペディア)を参照。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B3%E3%83%BC%E3%83%80_(%E8%81%B4%E8%80%85)

コーダ…コーダ(Coda,Children of Deaf Adults)とは、
ろう者の親を持つ聴者のことである。
ろう者の親から聴覚障害児が産まれている割合は1割
なので、ろう者の親から産まれる子供の9割はコーダとなる。



以前に、あるコーダの方の講演を見たことがあります。
その人の家族は両親がろう者で、両親とは手話で
会話をした、といいます。
普通の家庭とは違うために悩み苦しんだこともあった、
と話していました。
そのなかで出てくるのはやはり、差別問題で、
その方はある人と結婚前提の交際をしていましたが、
なかなか婚約には至らず、不安に思い続けた、
という経験をされました。
その方が理由を知った時は

「ショックを受けた」

と吐露しました。
相手から

「あなたの両親がろう者だから、両親から反対されて
いる」

と言われたのです。
もう悲しいというより、怒りのような感情が湧き起こった
そうです。

普通、反対されればされるほど、2人の間にある結婚
への障害が大きければ大きいほど、
恋も大きく燃え上がるものだ、と言われます。
故遠藤周作氏が、そのように話されていました。

その遠藤氏が絶賛する恋愛戯曲『シラノ・ド・ベルジュ
ラック』(エドモン・ロスタン/原作)をご存知の方は
多いと思います。

私はこの物語を映画でも観ました。
( →http://www.allcinema.net/prog/show_c.php?num_c=11112

観終わって思ったのは、
「シラノがしたことは、果たして良かったのだろうか?」
という疑問でした。
私は「(シラノは)良くはない」と思いました。でもそれが
恋というものです。

その次に、シラノはラストシーンで、クリスチャン名義の
恋文の作者が、実は自分だったことをロクサーヌに、
そっと悟らせています。
これだって

「死の直前だというのに言わなければ、生涯の悔いを
残す」

と思ったのかも知れません。
私は、これは

「言って良かった」

と思いました。

人並み外れたデカ鼻を持ち、そのコンプレックスから
起こしたシラノの行動が、ロクサーヌの恋の起点に
なった、と思うのです。
そして戦争で離れ離れになっても恋文を送り続ける
情熱は、ロクサーヌの心に灯をつけたのだと思います。

死にかけているシラノから真実を知ったロクサーヌは

「早く言ってほしかった」

と言っていますが、
自分の罪を深く感じていたシラノには言えるはずも
ありません。

最初はコンプレックスから言えなかったのが、
クリスチャンを悲劇に招いてしまったシラノは罪を感じ、
ロクサーヌの純愛のためにも背負い続けたに違い
ありません。

ロクサーヌの心に、永遠に一人の男性を想う純愛を
つくり上げたのは、間違いなくシラノでした。
あるいはシラノには、クリスチャンとの共同作業無しに、
この両想いの恋は無かったという思いもあったかも
しれません。
それを知るのが怖くて、真実を言えなかったのかも
しれません。

確かに戦争中、クリスチャンに促されて、一度は告白
しようとしたシーンが見られました。

聴覚障害者も、自分から言えない恋はきっと、
たくさんしているのではないでしょうか。

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by bunbun6610 | 2011-04-13 22:56 | 雑談

ある聴覚障害者から見た世界


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